信州大学工学部では、下記の通り講演会を開催いたします。
事前申し込みは不要で、どなたでもご参加いただけます。是非ご参加をよろしくお願いいたします。
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長野市から見た戸隠連峰
信州大学工学部では、下記の通り講演会を開催いたします。
事前申し込みは不要で、どなたでもご参加いただけます。是非ご参加をよろしくお願いいたします。
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/engineering/sastec/topics/2024/06/741800.html
◆開催日時 2024年7月4日(木)18:00~19:00
◆場 所 信州大学工学部 講義棟(C3棟)201講義室
【講師】 STAMPの会(技術経営士の会)
三木一克氏(元株式会社日立メディコ代表取締役社長)
【演題】 究極のエネルギー源核融合発電の現状と将来
<講演概要>
(1) トカマク型核融合実験炉ITERの開発が、日本、EU、米国、ロシア、韓国、中国、インドの7極により進められている。2001年7月に設計完了し、2007年にフランスで建設が開始された。運転開始は当初の2020年から2027年以降に遅延し、本格運転は2035年の予定である。建設費用は当初見積もりの約10倍、500億ドル(約5兆円)に拡大している。
(2) ITERには主に下記の技術的課題がある。
① 国際共同PJの弱点 ② 巨大で複雑な炉構造 ③ コイル重量によるコスト高 ④ 高速中性子による炉壁の損傷・放射化 ⑤ 大量の高ベータ・ガンマ廃棄物⑥ トリチウム処理 ⑦ 戦略物質 Be、Liの利用 ⑧ 建屋の中性子遮蔽対策
(3) 21世紀になり30社以上のスタートアップが設立され、民間からの資金調達額は48億ドル(約6500億円)以上にのぼる。産業界で実用化された新技術(高温超電導体など)の利用や新たな磁場閉じ込め方式の開発を進め、核融合実現に向けた大きな進展が具体的に見え始めてきた。ITERの遅れにより、核融合実用化で先行する可能性が出てきた。
(4) 日本では、核融合発電の実用化に向けた産官学の連携組織が2024年3月に発足した。国の原型炉計画は2035年建設開始、2045年発電実証としているが、欧米の核融合実用化に遅延する可能性が大きい。2030年代実用化を前提にした開発戦略が必要である。
(5) 2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、自動車産業では、CASEの出現で産業構造と社会システムが大きく変化しようとしている。エネルギー産業においても、新しい概念の核融合発電が大きな変革を及ぼすのではないかと予想される。