2020年6月号

人きらっとひかる

BCPは、有事に備えておくべき
安定的な事業継続へと導く羅針盤

 

プレステージ株式会社 代表取締役兼CEO

鈴木 浩之さん

 

 未曽有の新型コロナ危機に直面している現在、中小企業の経営者に求められているのは、会社や社員を守るための事業継続力の強化です。その対策を具体的な文書にしたものが、BCP(事業計画書)であり、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。緊急事態を生き抜くために、何が必要か。BCPにいち早く取り組んでこられたプレステージ株式会社の鈴木浩之さんにお話を伺いました。

コロナ禍で再注目される
BCPとは

 BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧のために、その方法や手段などを取り決めておく計画のことです。東日本大震災が発生した際に、全国的にBCP策定の機運が高まりましたが、残念ながら中小企業には浸透しませんでした。
 「経営者の関心が薄れていくなかで、私がその必要性に気づいたのは、岩手県大船渡市で被災した友人の存在があったからです」と、鈴木さんは語ります。保険会社を経営する鈴木さんのご友人は、常日頃から地震や津波に備えて避難ルートを社員と共有しており、そのおかげで間一髪で難を逃れたそうです。また、火災や車両保険の請求で経営がひっ迫するなかでも、半年に渡って社員に給料を払い続けられる余力を蓄えていたとのこと。
 「これこそ、まさに潜在的なBCPだと思いました。だからこそ、これからは文書にまとめて誰にでもわかりやすいBCPを作らなければいけないと、強く意識するようになったのです」。

事業の継続は、
経営者にとって社会的責任

 
新型コロナウイルスの影響を受け、BCPに準ずる形で対策マニュアルを作成。

プレステージの経営理念のひとつに、『会社は、公器である』『保険を通して、お客様に安心と幸福をお届けする』が掲げられています。「経営理念とは、会社にとって指針となる重要なコンパスです。保険を通してお客様と社会への貢献を目指す会社だからこそ、事業の継続は、社会的責任です」と、鈴木さんは強調します。
 BCPの策定はハードルが高いと敬遠される経営者の方もいらっしゃるかと思いますが、プレステージが事業継続のために作成するBCPは、とても具体的でシンプルです。
 今回、新型コロナウィルス対策マニュアルのBCPの中で会社が設けたものには3つの手順があります。1番は、中核となる事業を特定し、継続すること。2番に規模を縮小して継続する事業を特定すること。そして3番目に停止する業務を決めること。プレステージにとって1番目となるプライオイリティの高い業務は、お客様への電話事故対応や電話更新などです。さらに2番目の縮小業務には対面での募集を、3番目の停止業務には対面事故対応や対面更新などをピックアップし原則化しました。

BCPを作ることで
確実に経営力は上がる

 1番目の優先業務を継続するために、プレステージでは、『代替制とリスク分散』という体制を敷きました。代替制では、人を入れ替えたり、支店の業務を入れ替えたりしても通常通りに営業ができる体制を採っています。また、スペシャリストを育成するのではなく、1人の社員が複数の業務を実行できるマルチタスクによって、どんな有事にも対応できる事業体制ができあがっているのです。
 BCP策定のためには、平常時から自社のリスクを把握しておくことも大事です。見えないリスクを洗い出し、それを常にアップデートしていく。つまり、BCPは一度作ったからといって終わりではありません。まさに、事業継続のためにBCPも成長させる必要があるのです。プレステージでは、現在、無料でBCPを作成するためのお手伝いをしているとのこと。危機に備えて、常に意識を高く持ちリスク対応をしている会社は、BCPを作ることでさらに経営力が上がる、ということにも気づかされたそうです。
 「講演会の講師として招待された時、皆さんにお聞きしていることがあります。希望って、一体何でしょうかと。私は、今起きていることが将来の良きことに必ずつながる、と考えることが希望だと思っています。辛いことがあっても、必ず将来はあれがあったから成長できた、発展できたと思う。今は大変な時期ですが、希望を持ってともに頑張りましょう」。
 
企  業  名 プレステージ株式会社
創        立 1990年3月15日
業務内容 保険代理業
所  在  地 本店/長野市広田48 神明第一ビル7F
長野県内の3支店を含め、関東・甲信越エリアに10支店を展開する。
U  R  L https://prestige-hd.jp/

昭和38年、長野市生まれ。中学卒業と同時に単身上京し、一人暮らしを始める。早稲田大学時代、友人を介して知った保険の仕事に大いなる魅力と可能性を感じて、大学卒業後に保険代理業を起業。人生のテーマは、〝仕事を通しての成長と自己実現〟。登山家で、年間300~500冊を読破する読書家でもある。

 

 


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