2017年8月号

View Point

田村 禮一(たむら れいいち)

長野商工会議所観光地域振興委員長
山甚信濃被服工業株式会社取締役相談役

昭和19年生まれ。昭和41年日本大学経済学部卒業、㈱マル井入社、昭和45年信濃衣料㈱入社、平成5年山甚信濃被服工業㈱入社・信濃衣料㈱取締役専務就任・㈱夏目取締役就任、平成10年山甚信濃被服工業㈱取締役専務就任、平成26年山甚信濃被服工業㈱取締役相談役就任、現在に至る。

観光と地域の振興のため
 人が集まり、ビジネスが生まれる工夫を
   他の委員会とも協力しながら考えます

 今年度観光地域振興委員会では、長野えびす講煙火大会、信州デスティネーションキャンペーン、スポーツ振興によるまちおこしなどに力を入れていきます。観光も含め地域振興において、その大前提となるのは、人を集めることです。メインとなる事業はもとより、さまざまな機会を通じて「見る・食べる・体験する」といった要素で特徴を出し、長野へのリピーターを増やせたらと考えます。

見る・食べる・体験する」で
人を集める

── 田村さんは、長野商工会議所観光地域振興委員長に就任されました。抱負をお聞かせください。

田村
 突然のことで本当に驚いています。北村会頭から直々にお願いされお引き受けすることになりました。前々委員長の長野電鉄笠原社長のとき初めて観光地域振興委員となり、前委員長のタカチホ久保田社長のとき副委員長を務めましたが、観光への知識と情熱にあふれるお二人の傘の下にいただけのこと。委員長にはほかにふさわしい方がいらっしゃいましたし、自分がなるとは夢にも思っていませんでした。たいそうな仕事は出来ないかもしれませんが、少しでも皆さんのお役に立つよう微力ながら努めてまいります。  歴代の委員長に比べ力不足は否めませんが、ご縁もあって海外旅行の経験だけは豊富です。新婚旅行といえば遠くても沖縄だった時代に、グアム、サイパンに行きましたし、その後もエジプト、カナダ、エーゲ海、オーストラリア、ニュージーランド、マチュピチュ、ノルウェーのトロムス、モロッコやカナリア諸島、アジアではタイ、フィリピン、シンガポールなどいろんなところへ行って、勉強させてもらいました。私自身観光することは好きです。
 観光も含め地域振興というのは、人が集まることが大前提で、人が集まらないとお金を落としてもらえません。先日、JR東海の初代社長で現相談役の須田寛さんのお話をお聞きする機会がありました。東京ディズニーランドもUSJも来場者の半分がリピーターだそうです。お客様を飽きさせずまた行きたいと思わせ、常に人を集める工夫をしているのですね。
 こうした大資本と同じことが長野でできるとは言いません。ただ長野にも素晴らしい財産がたくさんあります。善光寺の宿坊での宿泊や翌朝のお朝事、松代の名所旧跡巡り、戸隠や飯綱近郊の中山間地の自然と信州大学教育学部の存在を活かした子どもの勉強合宿など多様な体験メニューが用意できると思います。他の委員会とも協力しながら、長野にある資産を活かして「見る・食べる・体験する」という3つの要素で人を集める方策を考えていきます。

 

長野えびす講煙火大会と
信州デスティネーションキャンペーンがメイン事業

── 今年度観光地域振興委員会では、具体的にどんな事業に取り組んでいきますか。

田村
 メインとなる事業は、長野えびす講煙火大会と7月から9月にかけて行われる信州デスティネーションキャンペーンです。
 長野えびす講煙火大会は、昨年もたくさんの企業の皆様に協賛いただき、行政、警察、消防の方にもご協力を賜りました。まずは心から感謝申し上げます。お客様が帰り際に「来年もまた来てみたい」と口にされたのを聞いて、この大イベントをやって本当によかったと思いました。今年もさらに盛大な花火大会とすべく、新幹線沿線の北陸地方を中心とした全国への広報に各委員会、関係担当者と共に力を入れます。
 また、長野えびす講煙火大会には昨年香港からバス1台のお客様、シンガポールからも16名のお客様がお見えでした。外国人スキー客も増えています。今後、外国語が話せるガイドの充実など、インバウンド対応に向けた受け入れ体制の研究も進めます。
 信州デスティネーションキャンペーンは、長野県とJRが主催の事業ですが、当会議所やながの観光コンベンションビューローなどでも観光客の皆さんに長野のまち歩きを促すスタンプラリーを実施します。加盟店で買い物やお食事をしてスタンプを貯めると、宿泊券や特産品などのプレゼントがもらえる仕組みです。
 また当会議所は、AC長野パルセイロを応援するため2013年に地域の経済団体で立ち上げた長野後援会の事務局をしています。スポーツ振興によるまちおこしに今年度も力を入れます。
 さらに、当会議所では、年に一度高岡商工会議所と交流会をしていますが、北陸新幹線延伸を機に、沿線の方との交流も深めていきます。

 

長野へのリピーターを
増やすために

── 長野の観光について、どんな課題があるとお考えですか。

田村
 長野にお越しになったお客様に、「長野は街がきれいだった。人が親切だった。食べ物がおいしかった。また来てみたい」と言っていただけるような街づくりが必要で、観光地域振興委員会もそのお役に立ちたいです。
 お客様をお迎えする体制については、お店が小綺麗で、店員さんの愛想がよく、商品説明もきちんとできる、訪れて気持ちのいい店が増えるように、社員教育を促していくことも大切でしょう。
 見る観光については、善光寺でも松代でもボランティアガイドさんの活躍は素晴らしいと思います。一層充実していただければありがたいです。
 食については、たとえば長野名物のそばをうまく活かして、狭い範囲で食べ歩きが楽しめるそば横町みたいなものがあってもいいし、外国のように会話やお酒を楽しみながらゆっくり時間をかけて食事を楽しむ店が増えてもいいですね。
 体験する観光は、先ほど申し上げたような、善光寺だけの特別な時間の提案のほか、戸隠古道をからめた企画も大いに可能性があると思います。
 また、観光からは離れますが、高齢化が進む今、県外のお年寄りも含め老人の居場所づくりをして、その家族にも長野へ足を運んでもらうこと、あるいはオリンピック施設などを活用した会議や大会、合宿などの誘致も、人を集め地域にビジネスの芽を育てる意味で、大きなチャンスになります。

 

社員教育は
「人に好かれ頼られる人間になれ」

── 会社経営で日ごろ心がけていらっしゃることはありますか。

田村
 日本の繊維業界は海外に仕事を奪われ、国内縫製の受注が減少し、その影響から長野県の縫製工場は最盛期の10分の1になりました。当社も高度成長期の頃には600人いた縫製スタッフも現在10人になっています。ただ、体力的に疲れても、精神的に疲れるような会社にはしたくないとの想いがあります。社員が仕事にやり甲斐を感じて、いつも風通しがよく、人間関係が良好な会社でありたいと願っています。
 スタッフには日頃より「人に好かれ頼られる人間になれ」と教育しています。そして私自身も常に「偉い」とか「すごい」とか「立派」とか勘(感)違いをしていないか心がけています。何より今手がけている一着一着に責任をもった仕事をして、お客様からの信頼をいただくことが大切だと教えています。

田村 禮一さんの横顔
趣味はゴルフとカラオケ。カラオケで歌うのは「ド演歌」と話す。旅好きでもあり、これまで世界30ヵ国ほど訪れた。


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