2017年6月号

View Point

小松 盛喜(こまつ もりよし)

長野商工会議所商業振興委員長
株式会社信毎販売センターふれあいネット代表取締役社長

昭和21年生まれ。昭和44年法政大学卒業、信濃毎日新聞社入社。平成18年2月信毎販売㈱代表取締役社長就任。平成24年3月㈱信毎販売センター代表取締役社長就任。平成27年5月両社合併 ㈱信毎販売センターふれあいネット創立、現在に至る。

個人消費が低迷するなか
今後より大きな影響力をもつ
高齢者向けビジネス構築を目指して

 商業を取り巻く環境は、個人消費が低迷を続ける中にあって、高齢者の個人消費が5割余を占め、高齢化が進むにつれ、年々増え続けているとのデータもあります。経済成長のためには、如何に若年層の購買意欲、消費を喚起していくかということも課題ですが、同時に高齢者に消費を支えてもらう仕組みも含め、高齢者向けのビジネスモデルを考えることが必要です。そのためには、如何に高齢者の生活を支えていくかという観点も必要でしょうし、非常に難しい問題ですので、商業振興委員会だけでなく、他の委員会や部会、行政などのお力も借りながら取り組んでいきたいと考えています。

えびす講煙火大会への
ご協力に感謝します

── 小松社長は、長野商工会議所商業振興委員長に就任されました。抱負をお聞かせください。

小松
 長野商工会議所にお世話になって3年目の私が、こんな大役を仰せつかるとは思ってもおらず、今回のことはまさに晴天の霹靂でした。これまで当委員会の副委員長を務めていたとはいえ、名ばかりでしたし、他にふさわしい方々がいらっしゃいますので、ただただ驚くばかりです。何ができるか分かりませんが、一生懸命やってみるつもりです。
 委員長としての初仕事は、昨年のえびす講煙火大会になりました。当日は寒風吹きすさぶ非常に寒い一日、翌日は降雪と厳しい天候の下、準備から後片づけまで、委員会の皆様、商工会議所職員のご尽力、協賛いただいた皆様・各企業の皆様、そして足を運んでくださったお客様のご協力により、無事に開催できたことに感謝申し上げます。
 えびす講煙火大会は、非常に伝統のある花火大会でありますし、初冬の花火は全国でも珍しく、県内外をはじめ外国の方にもお越しいただいています。今年は112回目を迎えるわけですが、昨年までと同様、協賛企業の皆様をはじめ、多くの方々のご協力をいただきながら、回を重ねるごとに盛大になっていけばと思います。

 

高齢者向けビジネスの
モデルづくりが課題

── 長野地域の商業について、どんな点に課題があると思われますか。

小松
 当委員会のいちばんの課題は、人口減少の中で高齢者にどう向き合うかです。経済成長を左右するGDPの6割を占めると言われる個人消費が低迷する中、消費に5割余の大きな影響を持つ高齢者向け市場に訴えることが商業者に求められています。今、若年層の消費が伸び悩んでいますし、さらに今後少子高齢化が進めば、日本の内需を支える上で、若年層はもとより、ますます高齢者の購買力が鍵になります。商業に身を置く我々自身が、高齢者向けのビジネスモデルやサービスをどう提供していくかなどを考える必要があります。
 長野市も市街地や山間地を問わず高齢化は進んでいて、企業各々にふさわしいモデルが異なるかもしれません。たとえば、衣食住について、あるいは医療について、高齢者の皆さんは何を求めているのでしょうか。交通弱者と言われる人の存在や、高齢者ドライバーによる事故が社会問題になる今、たとえば買い物に行く手段をどうするかもテーマの一つになります。高齢者の消費を拡大するには、高齢者の生活を支えていく仕組みも考えていくことが大切だと思います。
 ただ、これはたいへん難しく重い課題ですので、商業振興委員会だけで解決できることではなく、他の委員会や部会、行政のお力添えが必要です。こうした皆様のお知恵を借りながら、方向性を見出していけたらと考えています。まずは委員会内で、高齢者向けビジネスについて何ができるか考え、意見を出し合い、これを集約するところから始めてみたいと考えています。
 高齢者の皆さんに対して、個々の企業が何をできるか。たとえば、これはビジネス以前の話になりますが、当社では新聞を配達した折に、高齢者宅の見守り活動をしています。電気が点けっぱなしだったり、新聞が数日分溜まっていたりなど、普段の様子と違うことがあれば、関係機関に連絡するようにしています。この取り組みを通じて、これまで事故などを未然に防げたことが何回かありました。また新聞配達中に認知症による徘徊らしい方を見かけたら、これもすぐに連絡するように、長野市と提携しています。まず個々の企業が自分たちの事業特性から考えてできることをやってみることで、高齢者向けビジネスのヒントが見えてくるかもしれません。

 

地域との「ふれあい」から
信頼関係を築く

── 御社の高齢者見守り活動は、たとえビジネスに直結しなくても、地域との間の信頼関係にとって大きな意味がありますね。

小松
 はい。当社は県紙・信毎を扱う本社直系の販売会社として地域貢献を掲げ、安心・安全なまちづくりのお役に立ちたいと考えておりますので、こうした取り組みを通じて、私どもが地域にとって必要な存在だと思っていただけたら幸いです。
 当社は、長野市に本社があった本社直系の㈱信毎販売センターと、同じく塩尻市にあった信毎販売㈱が、総合力と人材力を一層高めて戸別配達網を堅持していこうと、平成27年に合併。
 これまでのそれぞれの本社を長野本社、中南信本社として、県下を営業エリアに新社を創立しました。もともと信濃毎日新聞の販売会社は、県内で信毎販売センター1社だったのですが、昭和55年に分社化して、南北に広い県内地域に対応してきました。合併を機に、新たに社名に「ふれあい」の文字を入れ、ロゴマークもその頭文字の「ふ」としたのは、地域の皆様とのふれあいの中で、皆様から信頼をいただき、これを社業の発展につなげたいと考えたからです。
 先ほどお話しした高齢者宅の見守り活動の他に、県内各地の当社営業所の2階会議室などを災害時の避難所として提供する協定を、飯田市、塩尻市、茅野市、千曲市など行政との間で交わしています。お役に立つことが無いほうが良いのですが、たとえば千曲市では、市のご提案により避難者を乳幼児とそのお母さんに限る形で、一方、飯田市、塩尻市、茅野市の場合は、老若男女問わず受け入れる形にしています。そうした設備を準備、維持するためには、経費が伴いますが、これも地域の皆様に安心を添えてお届けするという、大切な「ふれあいの場」だと思っています。
 また、近年空き家が社会問題化していますが、空き家の見守り事業も行っています。これは、予め鍵をお預かりして空き家の様子を定期的に見たり、そうでないお宅は外から異常がないか確認したりしています。さらに、長野中央警察署より交通安全活動モデル事業所の指定を受け、会社内での交通事故の根絶に取り組む過程で、地域の皆様の交通安全に対する意識向上にも寄与できればと考えています。日々のこうした活動が地域の皆様のお役に立ち、その結果当社へ信頼をお寄せいただくことになれば幸いです。
 長野市も人口が減少傾向にある中で、今後も生活に必要な情報をお届けするため、読者層を広めていこうと考えています。
また、これは新聞だけに限ったことではありませんが、活字媒体・文化は、理解力、読解力、表現力や情操などを育んでくれる媒体だと考えていますので、小さい時から活字に触れる機会をつくることが必要であり、私たち自身も自負を持って、そうした取り組みに関わっていくべきだと考えています。
 日本の子どもたちの学力が低下し、その原因には読む力の低下があると言われ、NIE活動(教育に新聞を)に続き、学習指導要領の改訂により、小・中・高校の授業に新聞を使った教育も始まっています。新聞販売を事業目的にする私たちも、活字文化を守るべき最終ランナーともいうべき立場にいます。これから先も多くの読者に活字を読んでもらえる環境づくりに向けて、息の長い活動を地道に行ってまいります。

小松 盛喜さんの横顔
休日は無為に過ごすことが多いとか。あえて趣味といえばいつまでも上達しないゴルフと、月に1~2回書店へ出掛けることと話す。


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