2016年9月号

人きらっとひかる

「販売士」1級取得で広がった視野
売場・サービス向上に生かしたい

堀内 裕和さん
株式会社ながの東急百貨店
営業本部 営業部 服飾雑貨 化粧品・服飾小物 マネジャー

 少年時代、百貨店でホスピタリティに満ちた接客を体験したことが、百貨店の販売員となるきっかけになったと話す堀内裕和さん。数十年経った今、ながの東急百貨店で販売の現場をマネジメントする仕事に情熱を傾けています。超難関の「販売士」1級取得によって、堀内さんの販売への思いや行動にどんな変化がもたらされたのでしょうか。

合格の秘訣は
早起きと喫茶店でのひととき

 商工会議所が、経済産業省、中小企業庁の後援で主催する検定「販売士」(1~3級)は、「販売のプロ」を育成する資格。流通・小売業界で必須の定番資格として、社会的に高い評価と信頼を得ています。なかでもマーケティングや経営管理における高度で幅広い知識と的確な判断力を身につける1級は、合格率が20%に満たない超難関です。ながの東急百貨店に勤務する堀内裕和さんは昨年、この難関をみごと突破。1級販売士の資格を持つ、社内でただ一人の売場マネジャーとして活躍しています。
 1級の試験は2月。試験勉強の追い込みと年末商戦やバーゲンが重なります。「家では勉強できないタイプ」という堀内さんは、試験勉強を往復約1時間の通勤電車と、早朝7時から出勤までの数時間、駅前の喫茶店で行うと決め、集中して勉強する習慣を自らに課しました。こうして多忙な時期でもコツコツと試験勉強を重ねることに成功。特に11時出勤の遅番の日は、喫茶店での集中度が高まり充実した時間になったといいます。

検定に向けた勉強の過程で
視野が大きく広がった

 試験勉強を通じ、堀内さんは、流通小売業のさまざまな業態における流通の仕組み、マーケティングの特徴、販売方法などを学びます。
 「思いがけないほど視野が広がりました。それまで百貨店にしか目が向いていなかったのですから」。
 以前は何気なく立ち寄っていたコンビニやホームセンターが、百貨店とは異なる流通小売の現場や仕組みを自分の皮膚感覚で学ぶ、生きた教材に変わりました。その一方、他業種との比較のなかで「百貨店が厳しい時代」といわれる理由も痛感したといいます。
 「だからこそ百貨店の人間として、これからすべきことがあるはずだと確信しました。合格できたことはもちろんうれしいですが、この視点と感覚を得たことが、受験の一番の成果でした」。

百貨店で働く日々が
今までに増して充実

いい商品、いいサービス、そして魅力的な展示で、お客様に魅力を感じていただきたいと、常に売場の工夫を心がける
 堀内さんが現在、マネジャーとして携わっているのは、1階の化粧品・服飾小物の売場です。季節感をいち早く取り入れ、リピーターのお客様の目にも新鮮に映るようダイナミックに売場を変化させる挑戦を続けています。
 販売士1級の取得以降、それらをトップダウンで指示するのではなく、実際にお客様と接し、その声に触れる販売スタッフ一人ひとりの意見を大切にし、企画展開や売場のデザインに生かすようになりました。同時に、常に売場を見渡し、スタッフのモチベーションアップにつながるようなサポートを心がけています。
 「お客様が百貨店に期待するのは、高いホスピタリティです。シーズン最先端の商品が他より早く並んでいて、気持ちのよいサービスとともに提供される、そこに安心や喜びを感じていただけるのです。売場の人間一人ひとりがそれに気づき、意識して行動しなくては、お客様の心に響くサービスにはなりません」。
 1級取得を通じ、百貨店で働くことに前にも増して責任を感じるようになったという堀内さん。加えて、働くことにこれまで以上の楽しさも見出しているようです。
 ながの東急百貨店は今年、50周年の節目を迎えました。「地域の方々に支えていただいた50年なのだと思います。100年続いていく百貨店になるためにも、いい商品、いいサービスで、地域の方々に愛される努力をしていきたいですね」。

 

企 業 名 株式会社 ながの東急百貨店
設 立 1958(昭和33)年11月
長野地域唯一の百貨店として、話題性の高い商品から生活基礎商品まで、豊富な品揃えと生活提案で地域のニーズに応えている。今年長野駅前開店50周年を迎えた。
所 在 地 長野市南千歳町1丁目1番地1 TEL 026-226-8181
URL https://www.nagano-tokyu.co.jp

須坂市出身。高校時代、ながの東急百貨店で家族へのプレゼントを買った際の対応に感動したことがきっかけで、百貨店の販売員を志す。同社に就職し、販売部門でキャリアを重ねるかたわら、販売士2級、カラーコーディネーター2級、1級、メンタルヘルスマネジメント検定を取得。昨年2月には社内で唯一、販売士1級を取得。その過程で学んだことを生かし、化粧品・服飾小物売場のマネジャーとして活躍中。商品装飾展示技能士検定にも挑戦し、売場とサービスのブラッシュアップに余念がない。


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