2015年1月号

View Point

加藤氏加藤 久雄(かとう ひさお)

長野市長

 昭和17年、長野市生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業後、昭和42年に株式会社本久入社。平成21年6月株式会社本久ホールディングス代表取締役会長兼社長に就任。平成19年11月より長野商工会議所会頭、長野県商工会議所連合会会長を務め、平成25年10月の長野市長選に出馬、当選し現在に至る。
 趣味はゴルフ、健康。好きなことばは「ピンチはチャンス」「自分の力は友達の力」。

北村氏北村 正博(きたむら まさひろ)

長野商工会議所会頭

 昭和22年、長野市生まれ。長野工業高等学校電気科卒業後、市内電子メーカーを経て、昭和45年に長野ソフトウェア・サービス株式会社を設立。昭和47年に社名を株式会社システムリース、平成2年に株式会社システックスとし現在に至る。平成25年11月より長野商工会議所会頭。平成26年には株式会社信州フードラボを設立。
 今も昔も仕事が趣味で、「知恵のない者は汗をかけ」が信条。

─新春特別対談─
長野市が元気に輝きつづけるため、
今こそ行政と経済団体の関係強化を

 この春の新幹線延伸で、長野市は大きな変化点を迎える一方、人口減少などの課題も抱えている。
 加藤長野市長は、長野商工会議所会頭を長年務め、北村現会頭との信頼関係も強い。加藤市長が任期にある今こそ、行政と民間が力強く連携して、長野市を変えるチャンスだと期待する声も大きい。就任以来1年余、どんな事業に力を注ぎ、これから何を目指していくのか、加藤長野市長と北村長野商工会議所会頭に語っていただいた。

長野に元気玉を吹き込むのが使命

―― これまでお二人がどんな事業に力を入れてこられたかお聞かせください。はじめに加藤市長、いかがでしょうか。

加藤 一昨年11月11日に市長に就任して以来、私が志してきたのは、何より長野市を元気にすること、長野に元気玉を吹き込むことです。
 その前提として、市役所、職員、議会のなかで風通しをよくし、信頼関係を築くことを求めました。まずは職員の意識改革です。そもそも市役所は市民のためにあり、市民が幸せになるお手伝いをするのが市職員の役目です。市民はお客様であるとの認識を持ち、どうしたらお役に立てるかいつも考えながら、仕事をしてほしいと職員にお願いしました。
 次に挨拶です。元気な挨拶を市役所から市全体に広めていこうと活動しています。最初は庁舎内で互いに挨拶することも少なかったわけですが、一昨年12月に市民はお客様プロジェクトの実施を宣言して以来、雰囲気がガラリと変わり、取り組みはさらに進化しています。過日の市民アンケートでも、多くの方から支持をいただきました。
 3つ目が挑戦すること。行政に身を置くと、とかく前例を踏襲して守りに入りがちです。それでは、長野市に元気を与えることはできません。失敗してもいいから、前例の殻を破って挑戦しようと、職員の意欲を喚起しています。
 元気な長野市のため、安心して子育てできる環境の整備にも力を入れました。こども未来部を新設し、妊娠・出産から始まり、乳幼児、そして18歳に至るまで、子育てに関する相談体制を整えました。
 また、市長直轄プロジェクトで中山間地域活性化を進めています。中山間地は面積で市域の75%を占める重要な地域です。ゆえに現在、移住定住の促進、森林保全や鳥獣被害対策に取り組んでいます。
 さて、新幹線の延伸で、長野駅の発着数が41本になり、長野は劇的に変わります。私は沿線の福井、金沢、富山の各市長を訪問し、県境を越えた連携も動き出しました。善光寺御開帳を機に大いに長野を盛り上げ、長野の魅力を高め、交流人口を増やしていきます。
 なお、風通しをよくするという意味では、私が長野商工会議所会頭時代から松本市との連携を大切にしてきましたが、市長に就任したその日にも松本市を訪問し、以来信頼関係の構築に努めてきました。現在、職員の相互派遣も実施しています。また昨年は、長野でサイトウ・キネン・フェスティバルのスクリーンコンサートも実施できました。

輝きつづける長野へ、産業の活性化を

―― 北村会頭は昨年1年どんな事業に力を注いでこられましたか。

北村 加藤市長が長野商工会議所会頭時代に築かれた実績を、私は副会頭として6年間間近で見てまいりました。まずはこれを継続することに力を入れました。そのうえで私が活動方針として掲げたのが「輝きつづける都市、長野」です。
 そのために何をすべきか。まずは産業そのものの活性化です。会員の皆さんが、時代の変化に対応した企業体制を築けるよう、お手伝いをしてきました。たとえば、小規模事業者のIT化を支援し、経営の合理化省力化を進めるため、勉強会の開催や個別相談を実施しました。また、IT活用もまず隗より始めよと、長野商工会議所内でもホームページの刷新やタブレット端末活用による迅速な情報共有などに力を入れてきました。
 農商工連携については、今のところ具体的な長野モデルを創出できていませんが、今後しっかりと進めていきます。
 産業の活性化とは少し話が異なりますが、長野商工会議所の組織についても意識改革を進めました。平成18年に長野、篠ノ井、松代の商工会議所が合併したものの、今まだセクショナリズムが残っているようです。各々の支部が取り組む事業の独自性は尊重しながらも、全体事業については、ひとつの商工会議所として、皆で一致団結した展開ができればと考えます。
 さて、市長からもお話がありましたが、新幹線延伸と善光寺御開帳は長野市にとって大きなチャンスです。このチャンスを逃せば、長野は輝きつづける都市ではなく、むしろ輝きを失ってしまうかもしれません。
 現在、善光寺御開帳奉賛会として特に北陸・新潟方面に力を入れキャラバン隊を派遣してPR活動を推進し、良い反応を感じています。
 奉賛会の活動もさることながら、行政と一体化した活動が今後重要になります。市長からは「ウェルカム長野2015」というたいへん大きな元気玉を上げてもらいました。これに気を強くし、新幹線延伸後は、金沢や富山との交流人口もより増やす取り組みを活発化させます。
 これまで長野市は、首都圏方面ばかりに目を向けてきました。新幹線延伸後は、北陸と長野が向き合うことで、ときに競合することがあっても、互いに切磋琢磨し、それぞれの価値を高められたらと思っています。

官民協力して人口減少問題に取り組む

―― 行政と民間の一体化というお話が出ましたが、これからどんな連携を両者の間で進めるべきでしょうか。

加藤 いちばんの課題は人口減少問題です。長野市では、昨年9月26日に人口減少に挑む市長声明を出し、10月1日に人口減少対策本部を置きました。この問題に関して、まずは行政が全部局をあげて音頭を取り対処します。
 ただ、行政だけではできないこともあります。大学へ進学して、長野に戻ってくる若者は現在4割しかいません。これを逆転して6割の人に帰って来てもらいたい。それには、魅力ある就職先が必要です。市では就職マッチングのサイトを立ち上げました。ここへ長野商工会議所の会員さんも数多く登録いただいて、長野には素晴らしい企業があることをアピールしていただきたい。
 少子化対策も鍵になります。婚活マッチングについては、商工会議所と連携していきます。現在、商工会議所やシルバー人材センターで取り組まれている事業について、市は支援をしています。たとえば、結婚を望む方を応援する地元の世話焼きおじさん、おばさんとして、ふれ愛ながの婚活「夢先案内人」研修会を開催しています。
 人口減少問題は、長野市ばかりでなく、周辺市町村も、そして民間の企業の皆さんも、たいへん危機感を感じています。企業も市民も我々行政も一体となってこの問題に真正面から取り組むことで、「よし長野に戻ろう」「長野で暮らそう」との機運を盛りあげていきたいですね。
北村 高速交通網の発達は、地方の利便性を高める一方、人口流出というデメリットも生みました。あまりに東京が近くなったことで、故郷にはいつでも帰ることができるからと、Uターンする人が少なくなってしまったのです。
 でも、これを嘆いていても仕方ありません。加藤市長の会頭時代に、こんぴあNAGANOというマリッジサポートセンターができました。商工会議所の会員組織を母体として、結婚に向けた出会いやきっかけを支援する組織です。また、商工会議所と社協が連携して、情報端末を使った出会いサポートも進めています。残念ながら、今のところ登録数も少なく、登録者の男女比もバランスを欠いていますので、これからPRに努めたいと考えています。
 スポーツでまちに賑わいをもたらす事業も、ぜひ長野市と協力して進めてまいります。長野パルセイロの活躍で、サッカー人気が盛り上がっています。スタジアムに応援に行く人たちの活気を、仕事にも遊びにも広げていけたら素晴らしい。今の長野市は元気がなさ過ぎます。長野市が元気を取り戻す方策の一つとして、長野パルセイロを市民をあげて応援して、活気の輪を拡大しましょう。
 またサッカーに限らず、いろんなスポーツを市と協力して応援することも考えています。間もなく南長野運動公園総合球技場も完成しますから、これを機にスポーツ振興によるまちづくりが勢いづくことを願っています。

今こそ長野市を変えるチャンス

―― 今のお話と重なるかもしれませんが、お二人は今年どんな事業に力を入れていこうとお考えかお聞かせください。

加藤 今、北村会頭が言われたように、長野パルセイロのホームグラウンドとなる南長野運動公園総合球技場が今年完成します。パルセイロと同じ長野県にあるJリーグチームである松本山雅が、いつの日かJ1で信州ダービーを繰り広げるのが私の夢です。さらにスポーツ振興に関しては、オリンピック施設の活用も含め、私も大きなテーマになると思っています。
 文化芸術の振興にも力を入れます。今年、新しい市役所第一庁舎とともに新しい市民会館、長野市芸術館も完成します。久石譲さんを芸術監督に迎える芸術館を核としながら、街角も含めて多面的に文化芸術活動を発信していきます。先ほども触れたように、松本市との連携も進んでいますので、今年から名称が変わるセイジ・オザワ松本フェスティバルとの交流も深めていきます。
北村 長野商工会議所では、地域連携が大きなテーマになります。加藤市長は会頭時代、自ら発信し、自ら行動することを旨としました。私も時間を惜しまず、いろんな皆さんと交流を深め、広域にわたっての連携をしっかりとつくっていきます。
 また、昨年長野商工会議所では、教育問題特別委員会を設けました。就学前の子供の家庭教育に始まり、学校教育、そして社会教育に至るまで、必要な教育がしっかりできる環境づくりを進めます。今年をその元年にしたいと考えます。
 加藤市長が任期にある今こそ、行政と商工会議所が連携して長野を変えるチャンスだと、私の周辺では言われます。これを励ましの言葉として、この1年努めてまいります。
加藤 教育問題に関しては、長野市も教育長制度が新しくなり、市長が今まで以上に責任をもって対応することになりました。長野商工会議所の教育問題特別委員会とも連携しながら、教育県長野を復活させます。北村会頭が話されたように、行政と民間がチームとなって、長野市を元気にします。

―― 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。


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