2022年2月号

View Point

荻原 健司(おぎわら けんじ)

長野市長

昭和44年生まれ。平成4年アルベールビル・オリンピック冬季競技大会スキー・ノルディック複合団体 金メダル。平成4年早稲田大学卒業後、北野建設株式会社に入社(令和元年7月退社)。平成6年リレハンメル・オリンピック冬季競技大会スキー・ノルディック複合団体金メダル。平成16年参議院議員(平成22年7月任期満了)、令和3年4月特定非営利活動法人日本オリンピアンズ協会理事、令和3年11月長野市長。

まずはコロナ禍で打撃を受けた経済を回復させ
 その先に「長野にいて良かった、幸せだ」と
  誰もが感じられる長野市にしていきます

 オリンピックという舞台をつくり、たくさんの声援をいただいた長野市と市民の皆様を、今度は自分が応援できる立場に就けたことの喜びと重責を感じながら、市長の職務を果たしていきます。まずはコロナ禍からの回復に全力を傾けたうえで、長野商工会議所ともしっかりした協力関係を築きながら、善光寺御開帳を起爆剤にコロナ禍後も見据えた経済振興、まちづくりを進めます。

お世話になったまちと市民を
応援するために

── 長野市長に就任された今の想い、抱負についてお聞かせください。

荻原
 そもそもなぜ市長選に立候補したのか、その背景からお話しさせてください。ご承知の通り、1998年の長野オリンピック当時私は選手で、日本選手団の主将でもありました。世界的なウインタースポーツイベントを長野市が招致し、市民の皆様の力によって長野オリンピック・長野パラリンピックが成功しました。これだけ大きな舞台をつくっていただいたこと、皆様から「荻原頑張れ」と応援いただいたことに、私の胸の内は感謝で一杯でした。だからこそ私はこのまちに暮らし続けてきましたし、日々の暮らしの中で何らかのお返しができたらと、ジュニア選手の育成等に携わってきました。
 さらに、長野のまち全体を応援する立場になりたいとの想いが日に日に強くなり、その立場とは長野市長であろうと考えました。加藤久雄前市長が2期8年で退任される意向を示されたのを機に、ここでチャレンジしてみようと、市長選を戦い当選させていただきました。これまでお世話になった市民の皆様に、今度は私がお役に立てる立場に就けたことの喜びを噛みしめ、37万市民の命と暮らしを守ることの重責を痛感しながら、それゆえに同時に大きなやりがいも感じています。
 12月議会も無事終えることができました。就任から2カ月、日々身の引き締まる思いで職務に取り組みながら、徐々に市長という立場とその仕事に慣れてきたところです。いつも初心にかえるために、今後もこの緊張感を保てているか自分に問いながら、職責をしっかり果たしていきます。
 まずやらなければならないことは、コロナ禍で打撃を受けたまちの経済の回復、とりわけ仕事が減ったまま環境が改善しない飲食や観光に携わる事業者の皆様への支援です。たとえば、市内経済が回っていくよう、「長野市推し店プラチナチケット」に続けて商工会議所をはじめ、経済団体と連携し、「地域応援キャンペーン」として商店街でのクーポン事業やキャッシュレスのポイント還元などを実施します。さらに、生活に困難を感じているご家庭のお子さんを救いたいとの思いから、「ながの子育て応援給付金」を支給することが12月議会で決まりました。
 一方、令和元年東日本台風の災害から2年経った今も、いまだに被災地では暮らしの安心を取り戻せていない方がいらっしゃいます。今後も長野市では、被災地域と被災者に寄り添いながら復興対策を進めていきます。

善光寺御開帳を
長野経済回復の起爆剤に

── 今年の春には善光寺御開帳が開催されます。

荻原
 コロナ対策、台風被害対策を大前提としたうえで、1年延期になって迎える善光寺御開帳を市内経済回復の起爆剤にしたいと考えています。
 善光寺御開帳の開催期間は従来2ヵ月間のところ、今回は参拝者の密を避けるため1ヵ月延ばし、3ヵ月間となりました。期間が長くなったことで、より多くの方にお越しいただけると思います。セントラルスクゥエアなどで行われる「日本一の門前町大縁日」も、長野商工会議所をはじめとする関係団体との協力のもと進めることで、善光寺から権堂、長野駅周辺に至る中心市街地一帯を、御開帳にお越しになったたくさんの方に楽しんでいただけるよう努めます。
 また、善光寺御開帳にお越しいただいた観光客に、広く市内を周遊していただくため、戸隠、松代へのライナーバスの運行や「観光周遊アプリ」の導入を予定しております。さらに近隣市町村等とも連携し、北信地域での周遊を促す取り組みを実施してまいります。こうした取り組みを通じて、善光寺御開帳の経済効果が単に長野市にとどまらず、広く北信地域に波及すればと願っています。
 長野商工会議所との協力や連携は、善光寺御開帳に限らず、コロナ禍で冷え込んだ長野経済の回復には欠かせません。御開帳を終えた先、コロナ禍後を見据えたなかで、しっかりと協力関係をつくっていきたいと思っています。

長野の魅力に新しい価値を
加えたまちづくり

── 中心市街地のまちづくりについてお考えをお聞かせください。

荻原
 まちに人がいなくなったら、まちはどんどん寂れ活気が失われていきます。人をまちへ呼び込むには、首都圏からの移住を促すことも一案です。コロナ禍において、首都圏にある拠点を地方に移そうと考える方に向けて、長野市へオフィスを移したり、長野市で新規事業を起こしたりしてはどうかとアプローチしています。取り組みを通じて、まちに人が居続ける環境をつくることが狙いです。また、市街地の再開発を含めたまちづくりについては、時代の変化と市民ニーズを捉えながら、首都圏の方々にも魅力的に映り、さらにSDGsの考え方も採り入れたまちづくりを進めます。
 長野市の良さとして、身近に自然が沢山あること、おいしい空気や水や食を摂りながら人間が人間らしく生きられる環境であること、善光寺や戸隠、松代など歴史的な資産に恵まれていること、そしてオリンピックを通じて世界中にこのまちが認知されたことが挙げられます。こうした既存の価値に加え、最先端のデジタルテクノロジー等をミックスさせたら、きっといろいろな方々を惹きつけます。
 最先端技術の活用にあたって、NAGANOスマートシティコミッション(通称:NASC=ナスク)では、産学官が連携して、新産業など長野市における新しい価値を共創し、未来の長野経済を支える産業づくりにもつなげようとしています。将来にわたってまちづくりを担う人材を育成する機関をつくる、あるいは誘致することも考えていきたいと思います。
 さらに、今年度設置する「子育て総合支援センター」を窓口とした子どもに関わる総合的・包括的な仕組みをつくることで、多くの方に子育てしやすい長野市を実感していただくことが、まちの活性化につながると信じます。

長野市が向かうべき姿は
「健幸増進都市」

── 長野市の将来像をどう描いていますか。

荻原
 長野市において私が目指すビジョンは「健幸増進都市」です。「健幸」とは市民の皆様誰もが生き生きはつらつとしていることにとどまらず、行財政改革をしっかり進めることで、行政が安定して継続することも重要です。そして、市内経済に活気があることも含まれます。このため、長野商工会議所と協力して経済振興を進めていきます。さらに、スポーツや文化芸術の分野で世界基準の本物に触れ、豊かさを実感してもらう取り組みを考えていきます。このように、長野の健幸を増進し、ここに暮らすすべての方が「長野にいて良かった、幸せだな」と思える瞬間を、様々なことでつくっていきます。

 

 

荻原 健司さんの横顔
体を動かすことは今も好きで、雪のない時期はランニングを楽しみ、冬になれば子どもを連れてスキーに出かける。好きな言葉は「本気は本物か」。


2022年2月号 CONTENTS

View Point
荻原 健司 長野市長
私のお店・私の会社
長谷川智徳税理士事務所/ロクシキ経営㈱
人きらっとひかる
津金 多朗さん 美術家
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