2021年8月号

View Point

石黒 宏之(いしぐろ ひろゆき)

公益財団法人ながの観光コンベンションビューロー
専務理事

須坂市出身、長野市在住。53歳。中央大学卒業後、平成3年株式会社JTB入社、長野支店配属。その後、中部地方複数の県庁所在地支店を勤務し、平成29年2月長野支店長。令和3年4月より現職。

旅マエ・旅ナカ・旅アトに
 デジタルも積極的に活用しながら
  観光による経済効果を広く行き渡らせ
   この長野地域が明るくなるよう努めます

 新型コロナ感染症から観光地と地域住民の健康を守りながら観光振興を図るべく、ながの観光コンベンションビューローでは、デジタル技術も積極的に活用しながら、旅行者目線の商品造成、情報発信・観光宣伝、的を絞りコンベンション誘致をしています。来年には善光寺御開帳も開催されますし、観光がもたらす裾野の広い経済効果により、長野地域がより明るくなるよう努めます

デジタル化推進により
満足度向上とリピータ化を

── ながの観光コンベンションビューローの専務理事に就任されての抱負をお聞かせください。

石黒
 微力ではございますが、精一杯努めてまいりますので、引き続きご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、世界規模で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症への対応では、ワクチン接種が自治体の尽力により進められていますが、どの地域にも共通している当面の課題は、観光地や地域住民の健康を守りながら、観光振興をどのように進めるかだと思います。令和4年には、延期された善光寺前立本尊御開帳の開催も予定され、人出が多いスポットやイベントで3密を避ける工夫はもちろんのことですが、リアルだけでなくデジタルを活用した取り組みも必須と考えます。
 経済効果の呼び水となりますようGW明けから「長野市旅行商品支援金制度」を旅行会社へ案内し、OTA宿泊企画、旅行会社主催募集旅行や修学旅行の誘致を行っています。特に修学旅行は、当初予定されていた春の旅行の振替となる夏休み明け以降の企画に期待し、当法人が県内中南信含む近隣県旅行会社へセールスや情報提供をしています。すでに南信や静岡県、北陸方面等から来訪の予定があります。大切な思い出となる修学旅行が長野市を目的地に実施されれば、この街を知っていただく良い機会になるはずです。
 さらに、修学旅行は平日の実施が多く、松代や長野市街地で班別行動をしていただくと街に活気が湧きます。県立美術館のオープンや城山公園の整備で、これまでと違った展開もできるでしょう。併せて大学のご理解ご協力をいただきながらキャンパス見学も行えると、長野市への進学のきっかけになるかもしれません。様々な工夫で、将来の再訪、長野市ファン拡大へ繋がればと思います。
 加速しているデジタル化は、旅行者に対しても旅マエ、旅ナカ、旅アトと様々に活用できます。コロナ禍では、地方や自然も注目されています。当面はデジタル化推進により地域素材や情報を必要とする来訪者へ繋ぎ、満足度向上とリピータ化を図りたいと考えます。
 また、近い将来に、デジタルを駆使した観光予報を採り入れられればと考えています。天候等を含めたデータから来訪者を予測し、食材の仕入増減コントロールができれば、効率的な食品ロス削減が可能です。長野市や長野商工会議所が推進する「30・10運動」とも関連しますし、関係する地域の皆様にご協力いただきながら実現すれば、SDGsへの貢献にもなり、環境の視点からも未来への投資となるのではないでしょうか。
 旅行会社時代は、転勤による出入りはあったものの通算19年間長野支店に勤務し、皆様にお世話になりました。今度の着任で少しでもそのご恩返しができればと思っています。

地域の特色を活かした
旅行者目線の商品を

── 今後の活動を通じて、長野市の観光業、地域振興にどのように寄与されていきますか。

石黒
 いわゆる3密を避けるため、旅行では個人旅行化が増しました。また、コロナ禍では自分の時間が生まれ、時間やお金を各々の趣味に充てる方が増えたとも聞きます。貸切バスが動く旅行会社主催の募集旅行も趣味趣向に合わせたテーマ性の高いツアーが造成されています。さらに旅行会社もオンライン商談の際、旅行者に発地ではなく着地の店舗に相談、申し込みいただく体制を推進する動きがあります。それゆえ、長野が旅行の目的地として選ばれるためには、旅行者の多様な要望に対し、心に刺さる体験を用意し、きめ細かな現地情報を提供する必要性があります。
 最近話題のワーケーションも体験メニューが鍵になります。たとえば、早朝戸隠神社でお掃除体験をし、正式参拝を済ませた後、戸隠観光情報センター2階のワーキングルームでオンラインで仕事をする。午後は来年4月にオープンする飯綱高原の森の駅でEバイクを楽しむ。自然の中で仕事と体験(観光)を交えて過ごすことで、より充実した働き方になると思います。
 当法人もこれまで長野市の観光情報収集を行い、体験メニューの構築を行ってきましたが、観光業を取り巻く前述の社会情勢を鑑み、より季節や地域の特色を活かした旅行者目線による商品造成が求められると考えます。
 情報発信・観光宣伝では、昨年度YouTubeを活用したデジタルプロモーションを複数行いました。今後もデジタルやオンライン環境での発信に努めるとともに、旅行者が快適に街歩き等ができる仕組み「DX」も整備し、デジタルデータ収集から長野市のマーケティングを行うことで、未来の観光振興へ繋げていきたいと考えます。
 コンベンション誘致については、今後はリアルとオンラインのハイブリッド案件も見据え、中小規模の誘致に的を絞り誘致活動を展開してまいります。スポーツイベントでは、8月に全国高校総体の柔道と水泳の2種目が開催され、全日本大学軟式野球選抜大会も2年ぶりの開催準備が行われています。まずは、アスリートにとって大切な大会を着実に開催し、長野市としても新たに実績を積み上げていきたいと考えます。
 観光とは、その地域の光(暮らし・名所等)を観ることですが、コロナ禍を機にその価値がより問われています。また、観光の経済効果は裾野が広く、多くの産業に影響を及ぼします。地域を一つの企業と見立て、観光により少しでも明るくなるよう、長野市観光振興課とも連携している当法人がその中核組織となり情報収集をしながら、地域の魅力を伝え滞在時間の拡大等地域振興に結び付くような事業展開をしてまいりたいと考えております。皆様方のより一層のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

善光寺御開帳を
コロナ禍の疲れを癒やす機会に

── 来年の善光寺御開帳を踏まえまして、長野商工会議所との関わり方についての考えをお聞かせください。

石黒
 コロナワクチン接種が進んでいるものの、観光地や地域住民の健康を守りながら、善光寺御開帳をどのように進めるかが大前提としてありますが、令和元年東日本台風19号災害とコロナ禍から長野市の経済回復へ最大限繋がる機会となりますように考えてまいります。善光寺御開帳を目的に長野市へ訪れた旅行者に、市内の他の地域へも訪れていただくには、御開帳に関連する等の大きな動機(理由)も必要かと思います。そのため、善光寺御開帳奉賛会様をはじめ長野商工会議所会員の皆様とはこれまでの経験を含む知見を得ながらプロモーション等の準備から開催まで連携していきたいと考えます。御開帳では、多くの方にコロナ禍で疲れた心と体を癒せるよう来訪していただきたいと考えます。安心・安全は旅行の大前提となりますのでデジタル、DXの力も用い、正しく、わかりやすく情報を発信し、様々な回遊性を高め、可能な限り密も回避していきたいと考えます。

 

 

石黒 宏之さんの横顔
コロナ禍を機に早朝ウォーキングを始めた。木々の粧いの移ろいや野鳥のさえずりに気持ちがリフレッシュでき、健康維持にも役立っている。同じように毎朝歩く人たちと挨拶を交わし、神社を毎日掃除する人の存在にも気付いた。


ページ: 1 2 3