2021年7月号

View Point

高橋 要(たかはし かなめ)

長野市芸術館館長
一般財団法人長野市文化芸術振興財団専務理事

1960年生まれ。長野県立吉田高等学校卒業。長野市役所入庁。観光振興課長、商工観光部長を歴任、2020年から現職。

市民に身近なホールとしての存在感を高め
 「文化力あふれるまち長野」の実現を通じて
  まちの魅力、活力の向上に寄与してまいります

 長野市芸術館は5月に開館5周年を迎えました。これからも市民の皆様が身近に文化芸術に触れる機会を提供し、市民にとって身近なホールとしての存在感を高めていきたいと思います。そして、このホールを拠点に市民とともに新しい文化を発信し、「文化力あふれるまち長野」の実現とともに、まちの魅力、活力の向上に寄与してまいります。

 

地方における
公共ホールのテーマは市民参加

── 長野市芸術館はこれから、長野市の地域振興や文化発展にどのように寄与されていきますか。

高橋
 地方都市における公共ホールの最大のテーマは、市民参加であると考えます。そのため長野市芸術館においても、市民にとって身近なホールとしての存在感を高めて、市民とともに成長していけるような環境を創り上げていかなければなりません。
 今後の事業展開について、何点か申し上げますと、まず1つ目は、市民参加の視点から長野市芸術館ジュニア合唱団ならびに60歳以上を対象としたシニア演劇アカデミー、高校生が参加するスーパーウインドオーケストラの取組みを充実させていきたいと思っています。また、新たな取組みとして、芸術館での事業企画を公募し、その企画を市民と芸術館スタッフが一緒になって実現させる、といった事業を立ち上げる予定です。さらに、プロのアーティストと市民が気軽に触れ合えるようなワークショップなど、市民を巻き込んだ楽しい企画を増やしていければと考えています。
 2つ目は、芸術館がアーティストと協力して創り上げた芸術館ならではのオリジナルプログラムを提供することで、ホールの存在感と魅力を高めていきたいと思っています。
 3つ目は、無料で誰でも気軽に鑑賞することができるランチタイムピアノコンサートやロビーコンサートの開催を継続するほか、地域の公民館や学校などでの訪問コンサート(お届け芸術館)を充実させていきます。特に、学校への訪問回数を増やし、多くの子ども達に生演奏の素晴らしさを届けたいと考えています。ホールで待つのではなく、積極的に出向くことで、音楽文化の普及につなげるとともに、芸術館を身近な存在として感じてほしいと思います。
 今後の事業展開の一端を申し上げましたが、文化とは、人の生き方や暮らし方を通して培われるまちの魅力そのものであり、まちの活力であると思います。文化力の向上というのは、一朝一夕に叶うものではありませんが、より多くの市民の皆様と一緒になって、着実かつ継続的に取組むことで、「文化力あふれるまち長野」の実現に寄与してまいります。

 

復興音楽祭はじめ
5周年記念事業を開催

── 誌面を通じて市民の方々に伝えたいことがございましたらお願いします。

高橋
 おかげさまで長野市芸術館は開館5周年を迎えました。記念事業といたしまして、本格的なクラシックコンサートをはじめ、親子で楽しめるコンサート、ジャズ、ポップス、演劇など、年間を通して節目の年を盛り上げる楽しいプログラムを用意しました。とりわけ11月には、台風19号で被災された皆様を元気づけるべく、南こうせつさん、坂本冬美さん、平原綾香さんらトップアーティストをお招きして復興音楽祭と題したコンサートを開催します。
 また、6月から芸術館の各ホールを格安料金にて練習で利用できるステージ体感プランを新設しました。メインホールやリサイタルホールが空いている日に一時間単位で気軽にご利用いただけるようになります。当館自慢のホールの響きやピアノの音色の素晴らしさをご体験ください。
 コロナ禍にあって、文化芸術は不要不急と言われがちですが、文化芸術には人の心を豊かにし、心にやすらぎを与える力があります。現在、コロナワクチン接種が始まっていますが、文化芸術はまさに「心のワクチン」ではないでしょうか。一度も芸術館を利用したことのない方もいると思いますが、当館では、感染防止対策に万全を期していますので、気軽に足を運んでみてください。きっと元気になるはずです。

 

長野商工会議所は芸術館運営に
不可欠なパートナー

── これからの長野市芸術館と長野商工会議所との関わりについて、お考えのことがございましたらお願いします。

高橋
 もとより長野市芸術館の運営は、協賛スポンサーのご支援に支えられています。長野商工会議所の多くの会員企業の皆様からもご支援を賜っておりまして、この機会をお借りして、心から感謝を申し上げます。
 長野商工会議所は、長野市芸術館の運営に不可欠なパートナーであります。これからの関わり方につきましては、長野商工会議所の各種事業と芸術館の連携、あるいは会員企業の皆様との交流の機会等を設けることができたら、たいへん嬉しく思います。これまで以上に強く太い関係を築いていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。
この長野市文化芸術振興財団を立ち上げたとき、私は事務局長を務めていましたが、芸術館が開館する前に市の職員に戻り、商工観光部で仕事をしておりました。当時も長野商工会議所とは深い関わりを持って、様々なご支援をいただきました。また、会員企業の皆様には顔なじみの方も多く、今後の連携もきっと円滑にできると心強く感じています。
 文化芸術は観光振興のお役にも立てます。長野市芸術館の強みは、アーティストと当館のスタッフが一緒になって独自プログラムを制作している点にあります。ツアーものとはひと味もふた味も違う当館のプログラムを鑑賞するため、市外・県外からお越しになる方も多くいます。当館でしか鑑賞できない魅力的な公演を行うことで、人の交流を促すことができます。
 私は市の職員として長年行政に携わってきましたので、市や関係団体との情報交換もしやすい立場にあります。今後も前職の経験やノウハウを存分に活かしながら、市の文化政策はもとより観光行政や教育行政とも足並みを揃え、より相乗効果の高い事業運営に努めてまいります。
 最初に申し上げた通り、長野市芸術館の活動は「市民参加」がテーマです。市民ニーズは多岐にわたりますので、クラシック音楽を中心に据えつつも、多様なジャンルに対応しながら多くの市民にとって「楽しいホール」でありたいと思います。
 そして、コロナ禍を乗り越え、「市民参加」をテーマに事業を展開し、ここ芸術館から長野市の元気を発信し続けることで、文化力の向上と町全体の盛り上がりに貢献してまいります。さらに、文化芸術は心の領域に関わることゆえに、文化力の高い地域は、心豊かで人に優しいまちになっていくはずと信じています。

 

高橋 要さんの横顔
休みの日は日帰り温泉でゆっくり寛いだり、お嬢様とデートに出かけたりされるとか。今後はしばらく休んでいたゴルフを再開しようと考えている。


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