2014年8月号

View Point

倉石 和明 氏(くらいし かずあき)倉石 和明 氏(くらいし かずあき)

長野商工会議所環境エネルギー委員長
栗田病院院長
昭和41年長野市まれ。日本大学医学部卒業後、平成3年より信州大学医学部付属病院。平成4年栗田病院に入り、平成9年より現職。
社会福祉法人長野南福祉会理事長。社会福祉法人睦寿会理事長。平成16年には(社)長野青年会議所理事長を務めた。

環境やエネルギーへの関心が高い今
大切なのは長期的視点で問題を捉え
継続的な活動をすることです

 環境エネルギー委員会では、エネルギーのベストミックスに関する研究、地球温暖化防止や環境保全活動に取り組むとともに、新幹線延伸後を見据え、観光客の皆様に表参道を歩いて楽しんでいただくため、トイレの確保やごみのポイ捨てを減らす活動、善光寺でのホタル復活活動も実施しています。いずれも長期的視点に立ち、継続的な改善活動にしていくことが狙いです。

エネルギーも環境問題も
長期的視点で

── 倉石様が委員長をお務めの環境エネルギー委員会では、どんな事業に取り組まれていますか。

倉石 東京電力福島第一発電所の事故後、日本ではエネルギー問題が懸案となっており、ここ長野県でも、エネルギー問題への関心が高まっています。そこで当委員会では、エネルギーのベストミックスの研究とともに、国や県、市が実施する各種エネルギー政策の普及推進を図っています。
 2つ目は、地球温暖化防止および環境保全に向けた取り組みです。長野商工会議所が3年前に策定した環境行動計画が見直しの時期にきています。今後、新たな行動計画ができあがってきますので、当委員会もこれに基づいて行動していきます。
 3つ目は、商工会議所が一体となって活動している長野新幹線延伸に伴う対策と研究です。当委員会では、表参道のトイレや分煙などの問題に取り組んでいます。
 では個々の事業について、一つずつご説明します。まずエネルギーのベストミックスの研究と各種エネルギーの普及推進について。当委員会では、数年前に静 岡県の中部電力浜岡原子力発電所を視察し、原子力発電についてレクチャーを受けました。今年も6月20、21日に青森県の六ヶ所村にある日本原燃の再処理 工場を視察しました。こうした機会を通じて、原子力の安全性や今後のエネルギーのあり方について学んでいます。
 なお、エネルギー問題は、二酸化炭素排出や輸入コスト、産業界への影響など、多様な論点がありますから、我々としては長期的視点に立ち、さまざまな可能性について調査研究していきます。
 地球温暖化防止および環境保全に向けた取り組みについては、商工会議所の新たな行動計画案がすでに承認されました。主な変更点としては、二酸化炭素排出チェックシートの普及促進、地球温暖化防止対策啓発ポスターの作成と配布があります。
 昨年の5月、議員・評議員事業所を中心に地球温暖化対策に関するアンケートを実施したところ、省エネ機器やエコカーの導入が進んでいる企業も増えてきたようです。当委員会では、新たな行動計画に基づきながら、こちらもエネルギー問題同様に長期的視点に立って、継続的な改善活動を実施していきます。
 また、懇親会等での食べ残しを減らそうと「2010運動」にも力を入れています。乾杯後20分間は自分の席を離れず、また中締めの10分前にも自席に戻ってきちんと食事をいただこうという趣旨です。この運動を商工会議所から発信して、長野市全体に拡げていくつもりです。

 

表参道のトイレの確保と
環境美化

── 事業のもう一つの柱が、新幹線延伸に伴う対策と研究でした。

倉石 はい。観光客の皆様に長野駅から善光寺までを歩いて楽しんでいただくため、表参道に十分な数のトイレを確保することがポイントになります。当 委員会では、市営公衆トイレの設置を長野市に要望したところ、東町の武井神社の西に一つ設置する方向で話が進んでいます。また、沿線の店舗の皆さんにトイ レを観光客向けにご提供いただけるか意向調査を実施し、同時にトイレ提供者を募集しています。この活動については、おもてなし推進ネットワークと協力して 行っています。
 まち歩きを楽しんでもらうためのもう一つのポイントは、ポイ捨てを減らすことです。商工会議所の要請により、長野市では平成23年4月1日より「長野市ポイ捨て等を防止し、ごみのないきれいなまちをつくる条例」を施行しました。
 ポイ捨てごみの中で最も多いのがタバコの吸い殻です。私たちは、表参道の分煙化を図るため、どこに禁煙スペースや喫煙所を設けるかなど、当委員会で具体的な議論を重ねたうえで、長野市へも提言をしていこうと考えています。
 これまでお話しした事業以外に、もう一つご紹介したいのが、善光寺でのホタルの復活活動です。今年の4月10日には城山小学校4年生80名にも参加してもらい、長野ホタルの会の三石暉弥先生よりホタルの生態などについて教えていただいた後、幼虫の放流式を実施しました。6月25日の夜にはホタル観賞会をしたところです。
 ご存知の通り、ホタルはきれいな水環境がないと育ちません。まず善光寺での復活事業をモデルとして、今後長野市全体に啓蒙啓発の輪を拡げ、各々の地域や家庭でホタルの復活に取り組んでいただくことで、子供たちも含め環境について考えるきっかけになればと思います。

 

精神医療、高齢者医療、
予防医療を3本柱に

── お仕事の話に移ります。栗田病院が地域の医療機関として目指すところを教えてください。

倉石 当院は昭和37年に開院し、一昨年に50年の節目を迎えました。地域にきちんと根づいた病院として役割を果たし、100年目を迎えることが私たちの今の目標であり、今後大規模な建て替えも予定する中で、精神医療、高齢者医療、予防医療の3つを特に強化していきます。
 ストレス社会や高齢社会への対応が課題となる日本で、精神科へのニーズは、統合失調症に限らず、認知症、鬱病、子供の心の病気、アルコールを中心とした 依存性疾患といった具合に増大しています。当院の精神科病床数は643床と県下最大であり、精神科の総合病院に相応しいきめ細かな医療を提供していきま す。
 次に、高齢者医療については、内科の療養病棟としての機能を高めます。なお、特別養護老人ホームやグループホーム、障害者施設など、当グループでは社会福祉施設も抱えていますから、医療・福祉・介護の連携をとって、地域に貢献できる事業所を目指します。
 予防医療は、これまでも人間ドックや企業健診に積極的に取り組んできました。さらにこうした健診等に力を入れ、病気にさせない環境づくりを通じて、長野 県の健康長寿社会の実現に寄与するとともに、当院が提供する4本目の柱としてリハビリテーション医療の追加も視野に入れています。
 超高齢社会において、お年寄りが安心して暮らせるようフォローをすることが、医療人としていちばん大事なことです。たとえば、今後増加するであろう認知 症への対策についても、当グループ内はもとより、他の医療機関や行政とも連携し、長野市で安心して生活ができる温もりあるケアのシステムづくりの一翼を 担っていきます。
 病院の職員には、病院は患者さんあっての存在であり、目の前の患者さんに自分は何ができるか能動的主体的に考え行動しなさいと言っています。これからも当院は、基本理念が示すように、「やすらぎ」「きずな」「希望」のある、開かれた良質な医療を目指していきます。

 

倉石 和明 氏(くらいし かずあき) 倉石 和明さんの横顔
好きなゴルフに充てる時間が取れないと嘆くも、寸暇を惜しんで読書で情報を得たり、家族サービスも兼ねて観劇や音楽鑑賞に出かけたりする。

 


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