CCI

   2011年 2月号 No.751

お客様とも、スタッフとも
夢と感動を分かち合える居酒屋へ


荒井 哲也さん
味な隠れ家 たのしや哲 オーナー・料理人






 全国から1、100店を超す店舗がエントリーし、味やサービスに加え、地域における社会的な存在感を厳正に評価される大会「居酒屋甲子園」。その全国大会に出場できるわずか6店のひとつに選ばれたのが、荒井哲也さんの「たのしや哲」です。外食産業の不振が伝えられる今なお、成長と前進を続けている理由は、どこにあるのでしょうか。

「料理さえうまければ…」が
考え違いだと知ったとき

 割烹の親方の下での熱心な修業を終え、荒井さんが念願の自分の店をオープンさせたのは、今から10年前のことでした。修業の成果を存分に発揮した料理は味がいいと好評でしたが、オープン時のにぎわいは長くは続きませんでした。やがて資金は底をつき、食材の仕入れさえままならない状況に。
 「料理がうまければ、お客様は来てくださる…そのことに何の疑問も持たないほど、当時は勉強不足でした。サービスのことも、経営のことも、何一つ勉強していなかった。それに気づかせてくれたのが居酒屋甲子園です」。



人との出会い、つながりが
仕事・人生を広げる



▲専門誌の表紙を飾り、全国的にも注目された“哲流”創作鍋「焦がし醤油フォンデュ」。お客様に感動していただきたいという思いで編み出した、荒井さんとスタッフの渾身の逸品です。

 「居酒屋甲子園」は、“共に学び、共に成長し、共に勝つ”を理念に、全国の居酒屋が切磋琢磨しながら成長し、地域の活性化に貢献することをバックアップするNPO法人。年1回、各地から選ばれた代表店が思い思いに自店の取り組みをプレゼンテーションする全国大会は、5、000人もの人が集う一大イベントとしても知られています。
 その理念と方針に共鳴した荒井さんは、同じ理念のもとに成功している店舗やその経営者との交流を通じ、目線が180度変わったといいます。
 「それまでの自分目線から、お客様が何を望んでいるか知ろうというお客様目線へと、完全に切り替わりました。そうすると、なぜお客様の足が遠のいたのかが、よく見えてきたのです」。
 お客様の満足度を追求することが味や調理法の工夫につながり、素材や仕入れにも、それまで以上にこだわるようになりました。今まで欠けていたサービスや経営への取り組みも、プロ意識の高いものへと変わっていきました。
 今の「たのしや哲」には、いつも開業当初を上回る活気とお客様の笑顔が満ちています。
 また、同じような思いの同業経営者たちと「長野外食勉強会」を運営。居酒屋が地域を元気にすることを夢見て、勉強会や情報交換などの活動を続けています。



言葉にしてこそ夢はかなう


「居酒屋甲子園」2010年全国大会でプレゼンテーションする荒井さんとスタッフ。出場は、全員の絆を強める結果にもなりました。
 昨年、「たのしや哲」は、書類審査、覆面調査を経て、「居酒屋甲子園」の北陸・甲信越地区第1位、そして全国ベスト6に選ばれました。全員で心をひとつに大舞台に立ち、5、000人を前に行ったプレゼンテーションは、荒井さんはもちろんスタッフにとってもかけがえのない感動の体験として胸に刻まれたようです。
 「夢を決してあきらめないのが私のモットーですが、言葉にすることで確実に実現に近づくものなのだと、最近、しみじみ思います。
 これからの夢は、“おいしい居酒屋一番店”を作ること。ひとりでも多くのお客様と、そしてスタッフとも、感動を共にできる、そんな店を地道に育てていきたいと思っています」。




企業名:味な隠れ家 たのしや哲
創業:平成12(2000)年 創業、5年前に現在地に移転
事業内容:飲食店
所在地:長野市南千歳2-15-19 南千歳信濃ビル1階
TEL:026-224-3855
営業時間:午後5時30分〜深夜0時
定休日:日曜日・祝日

パスタ店でのアルバイト時代、お客様に「おいしいね」と、直接声をかけられた感動から料理人をめざし、割烹での修業を経て2000年に居酒屋をオープン。業績が上がらず苦しむ中、「居酒屋甲子園」に出会って、サービスや経営に開眼。2009年北陸・甲信越地区で第2位。2010年には第1位となり、地区代表として全国大会に出場、高い評価を博した。2008年同業の仲間と「長野外食勉強会」を発足し、副会長として長野の味文化向上に情熱を傾ける。




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