CCI

   2010年 4月号 No.741

技を磨き、心を鍛えて
“武芸のまち・松代”を未来へつなぐ

倉石 秀章さん
清野育成会剣道クラブ 監督
ジュエルクライシ 代表






 時代劇映画や歴史ドラマのロケで使われることが多い「松代藩文武学校」。たたずむだけで凛とした空気に包まれる道場は、いまや全国の少年剣士たちのあこがれの試合場としても注目される存在です。その礎を築いた立役者が、倉石秀章さんです。少年剣士の育成や剣道振興への尽力は、松代という地域の個性創造にも大きな役割を果たしています。


松代藩文武学校に竹刀の響き再び


▲松代藩文武学校道場での大会風景。全国の少年剣士たちが歴史ある武道場で竹刀を交わす瞬間にあこがれています。
(写真提供:長野市)
 「松代イヤー」の今年、松代地域では『エコール・ド・まつしろ』の一環で、多彩な文化催事が予定されています。5月は松代藩ゆかりの文化財を舞台に、「質実剛健の町、武芸をたしなむ町」をテーマとする催事が目白押し。中でも注目されるのが、5月15・16日に開催される「第7回松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会」と「第4回松代藩文武学校杯争奪小学生選抜剣道大会」です。2004年、『エコール・ド・まつしろ』の立ち上げに合わせて始まったこの大会(小学生は3年後から)を主催事務局として支えているのが、倉石さんです。
 倉石さんは生まれ育った清野で、1980年代から少年たちに剣道を指導しています。当時、地元の「松代藩文武学校」が見学しかできない文化財であることに、歯がゆい思いを感じていました。剣道の先輩をはじめ各方面に何度となく話をもちかけ、ついに剣道大会の開催にこぎ着けたのは2001年の「真田まつり」。以来、伝統ある文武学校で竹刀を交わすことは、北信エリアの少年剣士のあこがれとなりました。そして「松代藩文武学校旗」「松代藩文武学校杯」をかけた大会を創設。今では参加者1、000人を超す、規模、格式ともに高レベルな大会に成長し、全国の少年剣士が、この道場でまみえることを楽しみにしています。


勝つ喜びが
探求・鍛錬の楽しみを生み出す



▲“楽しく、強く”をモットーに、緩急に富んだ指導で少年剣士を育てる倉石さん。
 歴史ブーム、時代劇人気とは裏腹に、今、日本の武道人口は減少の一途をたどっています。全国から一目置かれる松代といえども、例外ではありません。倉石さんにとっても、次代を担う子どもたちや若い世代に剣道の魅力を伝えていくことが大きな課題です。
 「稽古が厳しいというイメージから、とかく敬遠されがちな剣道ですが、厳しさの先にある喜び、楽しみの奥深さは武道ならでは。一度でも勝つ喜びを知ると、どんどん楽しくなり、興味も深まっていくのです」。
 文武学校の大会をはじめ県内外のいろいろな大会や稽古会に出場し、他の道場の剣士や指導者との交流を経験することで、子どもたちが技術的にも精神的にもぐんと成長する様子を、倉石さんは何度も目の当たりにしてきました。ひとりでも多くの子どもたちに、そんな機会を提供したいとの思いから、倉石さんの指導のモットーは「楽しく教えて強くする」こと。技のかたちやタイミングを、自ら動いて見せて身体で教え込む熱い指導を続けています。


剣道は人生そのもの

 子どもたちにいい指導をするため、倉石さん自身も日頃の稽古と研鑽を怠るわけにはいきません。
 「剣道に費やす時間が長くなるばかりで、仕事との両立に苦慮する昨今ですが、家族の理解と協力を得て、ここまでやってきました。剣道が縁の出会いも宝です。私にとって剣道は人生そのもの。生涯、磨き続けていきたいと考えています」。
 その情熱を受け継ぎ、若い指導者も育っている松代。倉石さん指導のもと、激しい気合いとともに竹刀の音が響く道場には、“武芸のまち”らしい折り目正しさと活気が息づいています。


企業名:ジュエルクライシ
創業:昭和63(1988)年
所在地:長野市松代町清野1943
TEL:026-278-7710
(清野育成会剣道クラブの連絡先も同じ)

宝石・貴金属・眼鏡等を扱う店舗経営のかたわら、剣道指導者として地域の子ども、学生、成人剣士を育成。全国的に注目度の高い「松代藩文武学校旗」「松代藩文武学校杯」剣道大会の企画・運営に携わる。長野県剣道連盟常任理事として長野県剣道のレベル底上げにも尽力。錬士七段。



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