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2010年2月号 No.739 |
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これからの観光は
地域が自らプロデュースする時代。
鍵となるのは、広域連携と「食」です
善光寺御開帳は過去最高の参拝者数を数えましたが、日帰り客が増加するという新たな傾向も表れました。今後宿泊客を増やすには、広域型の観光、そして長野ならではの「食」を積極的に発信していくことが課題となります。観光の動向、お客様心理をしっかり捉えて、効果的な提案のために知恵を絞りたいものです。
御開帳で浮き彫りになった課題
―― 久保田社長は、昨年の観光の状況をどう分析されますか。
久保田 御開帳にはじまり、ASPACや全国商工会議所女性会連合会全国大会など、市内でビッグイベントが相次ぎ、長野経済とくに観光にとって好ましい材料が多かった年でした。
御開帳には前回より45万人多い673万人の参拝者が訪れました。普段この時期の参拝客は130万人前後ですから、5倍のお客様がお見えになったことになり、非常に大きな経済効果があったと思われます。
一方、これまでと違った傾向も表れました。高速道路ETC休日割引にともない、日帰り客が多くなったことです。一般に、日帰り客の消費単価は4、800円であるのに対し、宿泊客のそれは24、000円と大きく違います。今後の課題は、いかに宿泊客を増やすかです。
打開へのヒントはあります。全県で宿泊客が減少する中、「お朝事」人気の高まりで、早朝参拝を目的に長野市内に宿泊する方が増加しました。御開帳のお参りは、ただ柱に触ればいいというのではなく、お朝事をメインとしたトータルな体験こそ本来の姿だともっとアピールしていくことが大切ではないでしょうか。
仕事柄全国の観光地を歩くことが多いのですが、長野の人は外に向かってアピールするのが不得手のようです。かつては待ちの経営も通用しましたが、これからは厳しいでしょう。
今後は、広域観光と「食」を
発信すべき
― 観光を攻めに転じようとしたとき、何を発信していくことが鍵になりますか?
久保田 まずは広域観光です。近隣の戸隠、松代、小布施、もっと少し広げて上高地、諏訪にも足を延ばしていただくように考える「面」としての観光をPRすべきです。県内の観光地間で宿泊客を取り合う時代ではありません。
こんなデータがあります。長野県は10回以上訪れるリピーターのお客様がたいへん多いそうです。つまりリピーターを取り込む要素が信州には豊富にあるということです。自然景観が素晴らしいのはもちろん、長野県は博物館、ゴルフ場、湖沼の数が全国1位です。スキー場、キャンプ場、旅館、温泉の数は全国2位です。これらを広域でつなげて生かしたいものです。
今の観光を表現する言葉に「着地型観光」があります。これまで旅行業の特徴だった送客型ビジネスではなく、着地側で旅行商品をプロデュースする集客型ビジネスのことです。例えば信州の旅が目的なら、長野市を発着場所にしてそこからバスを仕立てて周遊するツアー、あるいは体験ツアーの基地にするというイメージですね。従来のマスツーリズムと違い、着地型観光は地域がプロデュースすることが特徴です。体験・交流・学習が主な目的となり、住民や地域のNPOなどそこに住んでいる人がガイドを務めたりします。さらに、インターネットなどを使い着地から直接情報発信することが可能で、今まで観光地として無名だった地域が脚光を浴びるケースも増えてきています。ここでも、地元が主体となって情報発信していくことが鍵となります。しかも、インターネットや口コミを通じた事前情報の重要度がますます高まっています。
もうひとつ長野が積極的に発信すべきもの、それは「食」です。長野は観光地として食のインパクトが高くありません。新幹線が延伸される先の金沢は、観光客の食に対する期待も満足度も非常に高いまちです。これから長野が観光地として発展していくには、食の掘り起こしが不可欠です。長野に行かないと食べられない物、わざわざそれを食べに訪れたいと思わせる名物を生み出し、アピールしたいですね。
情報を蓄積し、
データを生かす経営
― タカチホさんは観光に深くかかわる事業をされていますが、久保田社長は経営においてどんなことを大切にされていますか。
久保田 当社は創業から60年、みやげ品の卸、小売、製造を中心に事業を展開してきました。みやげ品は、非日常的な空間で非日常的な時間を楽しむうえで重要な要素です。我々は営業方針に「余暇・レジャーにビジネスチャンスを見いだす」と掲げ、お客様が何を求めるか、こちらが何を提供すれば喜んでいただけるかをずっと追求してきました。釣具・アウトドア用品の店も温浴施設もサービスの形態こそ違え、非日常におけるお客様満足度を高めていくという根柢の発想は一緒です。さらに近年、軽井沢や八ヶ岳、長野市内にみやげ品のコンセプトショップを開店しました。デザイン性を高めるなど付加価値を追求した商品をラインナップすることで、新たなブランドあるいはビジネスの仕組みを創造しようという試みです。
景気が低迷し、新型インフルエンザの影響もあって、観光にみえるお客様の数が減少しています。加えて消費単価も下がっています。同じことをしていては、売上は伸びようもありません。これまで以上にお客様のニーズを捉えること、これに合致した商品開発、提案に努めることが、我々にとって大きな課題です。
そこで役に立つのがデータです。私はいつも携えているノートに、観光に関するさまざまな情報を書きとめています。蓄積したデータを時系列に追うと、観光の動向、お客様の心理が見えてきます。そこから次の手を練ることができます。社内でも全国の営業スタッフから集められた情報を営業推進部門に集約し、データ処理した上で社内で共有するようにしています。これによりある地域での成功事例を他地域に生かすこともできるようになりました。
私は、長野は観光地として恵まれたまちだと思います。2月に行われる長野灯明まつりも、長野の冬を代表とするイベントとして育ちつつあります。全国から寄せられた切り絵を灯ろうに貼って絵柄と灯りを楽しむ「ゆめ灯り絵展」は、情緒あふれる長野の冬の夜を素敵に演出してくれます。今回から入賞作品は、イベント終了後も善光寺表参道に建立された春日灯籠に移設し、1年を通じて参道を彩る予定です。これまで夜の楽しみが少なかった長野で、このまつりは新しい提案の可能性を持っています。
京都はライトアップで冬の集客に大成功しました。スキー場経営が非常に厳しい時代に、白馬や野沢温泉は、インバウンド(海外から日本への入国旅行)の目的地として脚光を浴びています。いずれも、夜のまちを楽しみたいという観光客の心理をがっちりつかんだからです。この灯明まつりを契機に、身も心も温まる癒しをお客様にご提供するまちづくりができたら、長野にとって大きなチャンスとなるでしょう。
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