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   2009年 10月号 No.735

渾身のパフォーマンスだからこそ
「真田勝鬨太鼓」は
人を釘付けにするんです
海沼 和幸さん

真田勝鬨太鼓 保存会代表、
長野県太鼓連盟 副理事長
 有限会社長野星和 代表取締役






 武者装束をまとい、真田六文銭が刻まれた大太鼓に思いを打ち込むように撥を振る海沼和幸さん。「真田勝鬨太鼓」に出会って30年、演奏も裏方も一手にこなしながら、郷土芸能の枠にとらわれない、世界に通用するパフォーマンスへと育ててきました。「自分自身が楽しむ」をモットーに、舞台の一つひとつに全身全霊で取り組んでいます。


太鼓は”魅せて“”聴かせる“もの


▲武者装束をまとう海沼さんは、まさに「サムライ」。
迫力に満ちた響きが聴衆を魅了します
 高く、低く、重く、猛々しく、まさに戦国の勝鬨を想像させる太鼓の調べ。「真田勝鬨太鼓」は聴く人に強烈な印象を残します。さらに、黒地に金の六文銭が浮き出た太鼓や、独特の武者装束、一心不乱な演奏者の姿に、人々は目を奪われます。いつもその中心にいるのが海沼さん。真田勝鬨太鼓を今のスタイルに育てた指導者であり、演奏集団「かちどきグループ」の代表です。
 全国に数ある太鼓芸能の中で真田勝鬨太鼓がひときわ目立つ存在となったきっかけは、昭和53年の「やまびこ国体」でした。岡谷の故・小口大八氏の呼びかけで集まった400人の太鼓奏者が、天皇陛下の前で披露した前代未聞の揃い打ちに海沼さんも参加。「太鼓は魅せて、聴かせるパフォーマンスだ」と実感したのだといいます。

自立したパフォーマンス集団

  「真田城下の伝統もある、勇壮な調べもある。それを、見た目でも表現しようと試みたのです」。
 その意図はみごと的中。古色香る伝統のリズムを生かしつつ、現代の人々の心をとらえるパフォーマンスに生まれ変わった真田勝鬨太鼓に、県内外から年100回もの出演依頼が舞い込むようになりました。
 松代在住の小学生による「子供真田勝どき太鼓」や、中高生による「影武者」チームも結成。子どもたちは、海沼さんの指導のもと、太鼓だけでなく地元に伝わる木遣り唄や獅子舞、剣舞なども身につけ、地域文化の担い手として成長しています。
 こうした活動のすべてを、海沼さんたちは後援会や補助金を頼みにせず、有志の熱い思いと行動力で続けてきました。衣裳、太鼓、撥、舞台装置や大小の道具、さらには遠征用のマイクロバスなど、すべてを自分たちの出演料だけで賄うのは、決して楽なことではありません。しかし「だからこそ演奏グループとして常に向上心を持ち続けられるし、全国でも海外でも、自由に羽ばたいていける」と、笑顔を見せます。 


パフォーマーとしての新たな挑戦


▲遠征用にオリジナル塗装をほどこしたマイクロバス。海沼さんが運転して全国の舞台へ出かけて行くことが多いそうです
 太鼓との出会いは、海沼さんの世界を大きく広げました。
 「長野冬季五輪やパラリンピックの開閉会式をはじめとする大舞台の経験、国内外で活躍するアーティストとの出会い、全国の太鼓関係者や教育関係者、地域づくりに関わる人との交流など、かけがえのない人生の宝を得たと感じます」。
 たくさんの出会いは、「真田勝鬨太鼓」に奥行きをもたらすとともに、海沼さん自身がひとりのパフォーマーとして成長を続ける糧ともなっているようです。
 「ステージをいかに楽しくするか、何が人を楽しませるのか、新しい”ショー“の構想を、いつも考えているんです」。勝鬨を打つサムライとは趣が異なる、舞台アーティストの海沼さんが垣間見えました。

※10月11日(日)の「松代藩真田十万石まつり」では、今年も海沼さんたちの太鼓に送られて恒例の真田十万石行列が出陣します。


組織名:
信濃之国 真田十万石・松代藩 真田勝鬨太鼓
発 足:
起源は12世紀と伝えられ、昭和45年に保存会創設
現在のスタイルが定着したのは昭和50年代
連絡先:
真田勝鬨太鼓
TEL 026-278-2534
(長野商工会議所松代支所内)
有限会社 長野星和
TEL 026-278-2560

松代の伝統芸能として地域に息づいてきた「真田勝鬨太鼓」の演奏者として、全国でパフォーマンスを展開するほか、保存会の代表として営業、事務、後継者育成、舞台設営、対外活動まで一切を取り仕切る。レジスター製造加工を手がける有限会社長野星和の社長としても多忙な毎日。



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