CCI

   2009年 9月号 No.734

特別と思ったら
”特別な人生“になってしまう
当事者も、社会も、
まず意識を変えないと…
中村 美惠子さん

社会福祉法人絆の会
地域活動支援センター 皆神ハウス所長
 精神保健福祉士






 精神に障がいのある人やその家族のための「働く場」「住む場」「憩い・学ぶ場」を創造し、社会とのつながりをはぐくむことによって、総合的な支援体制を確立する活動に身を投じてきた中村さん。当事者と地域の人々が互いに理解し合い、受け入れ合って、安心して暮らせる社会をめざし、意欲的な行動を続けています。


”味で勝負“をめざす
「あんだんて」


▲店舗奥の工場で手作りした豆腐を使ったコロッケやマーボ豆腐の定食は、体にやさしい人気メニュー。献立を工夫し、食堂として着々と成長を続けています。
  篠ノ井の商店街の一画にある手作り豆腐の店「あんだんて」。国産豆腐を原料に手作りした豆腐や大豆製品の販売と、豆腐コロッケ定食などを提供する小さなレストランとして、静かな人気を呼んでいます。
 店を運営するのは、社会福祉法人「絆の会」のメンバーやボランティア、そしてスタッフの皆さん。「あんだんて」は、精神に障がいのある方々の就労支援施設でもあるのです。
 開設当初から店の成長に深く関わってきた中村さんは、「一軒の食堂として、また豆腐店として、味と品質で勝負できる店になろうと努力を重ねています」と語ります。「障がいがあることが決して特別なことではないのだということを、障がいを持つ当事者も、地域の方々も、この店を見て、味わって実感できる、そんな場所にしたいと思ってきました」
 提供する商品の品質や食堂のノウハウを高めていこうと、商工会議所や地域の商店街にも加盟。前向きで誠実な店づくりが地域での評価につながっています。

「わからない」から不安なだけ


▲豆腐のほかにも、全国から厳選した豆腐製品、大豆製品を販売。“町のお豆腐屋さん”として定着しています。
  精神保健福祉士の資格を持ち、数十年にわたって福祉事業に取り組んで来た中村さん。実態が外から見えにくい心の障がいが社会に受け入れられる困難さと向き合いながら、支援体制の充実に尽力してきました。
 実は長野県は、この分野では全国でも先進的な取り組みで高く評価されています。その礎を築いたのは、中村さんやその先輩たちの地道な活動にほかなりません。
 中村さんたちが行ってきたのは、単に「守る」だけの支援ではなく、世の中の意識を変え、障がいのある人もそうでない人も、同じように安心して生活できる地域社会を創っていくことでした。
 「地域の皆さんの不安は、障がいの実態がわからないゆえのもの。一方、当事者や家族が社会から身を隠したら、わからない状態はいつまでも変わらない。自分たちを特別と決めつけたら特別な人生しか待っていないんです。誰もがなり得る病だからこそ、誰もが安心して生活できる世の中にしたいじゃありませんか」
 そのために当事者や家族が積極的に社会に出て交流する機会を設け、障がい者が力を発揮して地域に貢献できる環境を整えてきました。「あんだんて」も、ひとつの挑戦でした。 


未来へつながる活動へ

 オープンして1年、「あんだんて」は順調に地域に溶け込み、知名度を高めつつあります。
 「けれど、これがゴールではありません。いつも現状を検証し、よりよいものにしなくては」と、冷静な視点を失わない中村さん。「あんだんて」だけでなく「絆の会」の活動が発展していくよう、後継者の育成にも力を注いでいます。
 「幸い、志を同じくするスタッフやボランティアさんが一緒に取り組んでくれています。当事者の方々やご家族の皆さんも一所懸命です。手を携え、夢のある活動を未来へつなげていきたいですね」
 


組織名:社会福祉法人 絆の会
発 足:
昭和63年発足の「りんどう会」を前身とし、
平成15年社会福祉法人「絆の会」設立
連絡先:TEL 026-278-7466(皆神ハウス)

精神に障がいのある人やその家族を支援する地域の組織「絆の会」を、発足当時から支え、その発展に寄与。
●手作り豆腐の店「あんだんて」
11:00〜16:00(土曜は15:00まで)
/日曜・祝日休/TEL 0263-213-6122



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