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2009年6月号 No.731 |
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市民自らが参加し
地域の文化を育成することで 人とまちを元気にしよう
長年、地域で文化芸術活動に関わらせていただく中で、ながのアスペンミュージックフェスティバルや、合唱組曲「千曲川讃歌」の制作・公演など貴重な経験ができました。その中で思ったことは、文化的に潤っている土地は、人間的にも経済的にも元気だということです。まちの活性化の第一歩は、市民の文化意識を育むことではないでしょうか。
元気を出すには、まず声を出すこと
― 塩沢会長は、地域でさまざまな文化芸術活動に取り組まれています。たとえば幹事長をお務めの男性合唱団ZENは、どんな経緯で設立されたのですか。
塩沢 ZENは平成15年の秋、「オヤジ達が大声で歌い、平成の不況を吹き飛ばして長野に元気を呼び起こそう」を合言葉に、県経営者協会、長野商工会議所などを通じ地域や団体のリーダーに呼びかけ60余名で発足しました。
当時地域を活気づけよう、新しいまちづくりをしようと、さまざまな提案がなされましたが、どうもうまい具合に具体的な動きにつながりませんでした。
元気を出すには、まず大きな声をはっきりと出すことです。たとえば、野球でもバスケットボールでも、負けているチームは声が出ていません。そんなとき監督やサポーターは、必ず「声を出していけ!」と気合を入れます。プレーヤーは声を出すことで、瞬間的に「よし、やらなきゃ」と自分を見直すわけです。
また、声を出すことは健康にもいいと言われます。大きな声を出して肺の空気をしっかり出せば、自然と新鮮な空気が入り、血行や内臓にもいい影響を与えるそうです。また、行進曲を聴いて気持ちが沸き立つように、歌には精神的効用をもたらす効果があります。
経済も同じことです。まずしっかり声を出すこと。それも経営者が進んで声を出すことが大切だと思うのです。うまいとか下手とか、譜面が読める読めないは関係ありません。とにかく皆で集まって大きな声を出して歌おう、ZENはそんな気持ちで始まりました。
現在も大変な不況下にあります。地域の活性化を考えるとき、何でもいいから勇気が出るようなことをやってみることです。どんなに大きな花火も、導火線がないと上がりません。だから、まずは導火線となる何かを見つけ、やってみることが大事なのです。
ふるさとと命の水への
思いを込めた「千曲川讃歌」
― そうした元気の糸口として、塩沢会長は音楽や芸術を大切になさっていますね。
塩沢 芸術や文化が潤っているまちは、とても豊かなまちだからです。無味乾燥なまちは、そこに暮らす人にとっても、観光で訪れる人にとっても楽しくありませんよね。
そんな思いから私が最も深く関わってきたのが、長野県芸術文化協会での活動です。たとえば、88年から長野オリンピックが開催された98年までの10年間、ながのアスペンミュージックフェスティバルの企画運営に携わりました。これは、米コロラド州のリゾート地アスペンで開催される音楽祭を範として、世界中から有名な音楽家に集まってもらい、コンサートやレッスンなどを行う教育音楽祭です。若手演奏家育成が主な目的ですが、「まちは音楽に染まる」というキャッチフレーズのもと、市内のあちこちでミニコンサートを実施しました。
また、長野五輪の年に合唱組曲「千曲川讃歌」を歌ったのも素晴らしい思い出です。合唱をする人間ならプロ・アマ問わず誰もが知っている曲に「筑後川」があります。しかし、日本一の長流千曲川が流れる長野県で歌うなら、いつかふるさとの大河を曲にして歌ってみたい、以前からそう考えていたところ、三枝成彰さんと知己を得、作曲を引き受けていただけることになりました。詩は柳沢京子さんにお願いしました。この「千曲川讃歌」の創作披露は、行政にも積極的に関わっていただき、佐久市から飯山市まで千曲川流域をリレーするリバーサイドコンサートという形をとりました。地域ごとの合唱団にその土地で歌っていただきながら、川の流下に合わせて曲も連なっていったわけです。
ところで、古代文明がすべて大河の流域におこったように、川は人の暮らしにとって欠かせない存在です。水辺の風景は、それを眺めるだけで気持ちを和らげる効果もあります。また、地球は水の惑星とも言われ、命と水は切っても切れません。水は循環し命を育む。だから川の水をきれいな状態で循環させてあげることは、流域に住む私たちの責務です。「千曲川讃歌」には、そうした意識を育てようという思いも込められています。
昨年2月には、県境を越えた後の千曲川にも思いを致そうと、三枝さんに「千曲川讃歌」の続編「そして信濃川」を作曲いただきました。この曲が悠久の千曲川の流れとともに、これからも歌い継がれていくことを願っています。
文化が豊かになると、
まちは活気づく
― 最後に、地域づくりにおいて長野商工会議所の果たす役割について、ご意見を頂戴できますか。
塩沢 商工会議所は、経済活動を隆盛にすることが目的ですが、お金を流そうとする意識は、生活文化を含めた文化活動に深く関わっていると思います。文化が豊かになると、人との融合の仕方が変わり、まちは自然と活気づきます。つまり、文化が育成されれば自ずとお金が流れるようになると思うのです。経済の振興は、人間的なまちづくりあってのことだと考える次第です。たとえば、松本市のサイトウ・キネン・フェスティバルの成功は、市民の間に音楽文化が浸透したことにより、市民自らが文化を担う当事者として主体的にボランティアを買って出、イベントに関わっていることが要因でしょう。また、諏訪の御柱では、曳航のあるメイン通りだけでなく、裏通りも含めた地域全体が一体感をもって、祭りを盛り上げています。その文化的な参加意識こそ大切なのです。
ですから、全長野市がこぞって参加した形となった今回の御開帳は、とても素晴らしかったですね。これを契機として、長野も大きく育っていくことを期待しています。
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