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2009年3月号 No.728 |
| 地域をいかに元気にできるか、
それが商工会議所と地方銀行の存在意義です
経営環境の厳しさばかりを憂うのではなく、元気がでる芽を育てていくことが大切です。たとえば、今春の御開帳を大きなビジネスチャンスと捉えましょう。もとより商工会議所も当八十二銀行も、地域とともに生きているわけですから、ビジネスマッチングをはじめとする事業を通じて、長野の経営者の皆さんを、さまざまな角度からご支援していきます。
御開帳はマインドを前向きにする
絶好のチャンス
― 百年に一度の不況と言われる今、商工会議所や地方銀行の役割はどこにあるとお考えですか。
小出 商工会議所も八十二銀行も、地域あっての存在です。当行が「健全経営を堅持し、もって地域社会の発展に寄与する」を経営理念とするように、商工会議所もその理念とするところは同じです。地域が元気になれば、会議所も元気になり、銀行も元気になる。だから、地域を応援することこそ、両者に共通する役割です。そして今こそ、その存在意義が問われているときです。
今回の不況は、その端緒となったアメリカにおける金融危機にとどまらず、実体経済にまで及んだことに問題があります。しかもあらゆる産業分野が打撃を受け、1929年の世界恐慌に近い状況となっています。当時と比べ、個々の企業の体力はあるものの、このままの状況が続けば、次第に持ちこたえられない企業も出てくるでしょう。
しかし、いたずらに厳しさばかりを強調し、人々のマインドを後ろ向きにしては、さらに状況はスパイラル的に悪化していきます。こんなときこそ、明るい要素を前面に出すべきです。たとえば、善光寺御開帳のようなイベントで地域を盛り上げることも重要です。「やればなんとか頑張れるね」という機運を地域経済に生み出すのです。今年の御開帳、さらに来年の御柱と、長野県で大イベントが続くことは、長野県経済の見通しに対するマインドを前向きにする絶好のチャンスですよ。
日本における個人金融資産は、今回の金融危機で目減りしたとはいえ、ゆうに1300兆円はあるでしょう。これがアメリカとの大きな違いです。消費下支えする背景的な要素が日本にはあるわけです。そこでお客様を消費に導くには、ニーズを捉え、それに適うサービスを提供することです。御開帳においても御柱においても、長野県を訪れたお客様に心から「来てよかった」と思っていただけるサービスを準備しましょう。その際、これまで以上に広域的な視点をもち、市町村の枠を超えて連携し、より大きな価値や魅力をアピールしていくことがポイントになります。今まさに長野と松本が観光連携に取り組んでいるように、地域それぞれの魅力をうまく組み合わせ、相乗効果を発揮させるよう、各地の商工会議所が知恵を出し合うべきです。
顧客のビジネスを側面から
支援するマッチング事業
― 長野県ものづくりについては、明るい材料はあるでしょうか。
小出 世界が同時不況に陥っているため、かつて日本がバブル後の不況から脱したときのように、輸出産業に頼ることはできません。かといって、今の日本の経済規模を内需だけで賄うのは無理でしょう。現状が厳しいことは事実です。しかし、長野県の製造業には、海外には決して負けない高い技術力があります。その技術力をもって、明日の糧となる種を辛抱強く育てられれば、我慢の時期を乗り越えた先に大きな実りを手にできる可能性も見えてきます。
これまで県内製造業の経営者の皆さんは、企業の収益を上げ業績を回復させるために、生産のムダ、経営のムダを徹底的に省きながら、コスト削減に取り組まれてきました。とはいえそれにも限界があります。ならば次に打つ手は売上を拡大することです。しかし販路がない。多くの経営者の方々がそこで悩まれています。
そんなときこそ、幅広いお客様とお取り引きしている銀行の出番です。当行ではさまざまなビジネスマッチング事業を、長野県内はもとより東京や上海などで開催し、お客様のビジネスを側面から支援しています。この3月には、県内の酒造メーカーに参加いただき、ロンドンで酒フェスタも開催する予定です。
地域とともにある当行は、お客様が「相談できる銀行」でなくてはなりません。お客様が何を悩まれているかいち早く掴み、これを解消するために何ができるか共に考え、一歩を踏み出すお力になりたいと思っています。
サービス業の原点は、
お客様と仲良くなること
― ニーズをつかむために、基本となることは何でしょうか。
小出 商売の現場に足を運び、その商売について知ることです。お客様のニーズは、現場で現物、現実を見なければ分かりません。現場には、数字には表れない努力や知恵や悩みがあります。ただし、こちらがお客様の製品や設備、技術についてある程度の知識がないと、それは見えてきません。逆にこちらが勉強していれば、お客様との会話もスムーズになり、「この人は分かってくれる」と信頼もいただけます。
ときには仕事の話だけではなく、様々なお話をすることも大切でしょう。銀行員がくると、たいていのお客様は構えてしまいます。「お金を借りてください」はあくまで最後の話。お客様の心を開き、今何を考えているか、何がやりたいのかを掴むことが大事です。会話の幅をどれだけもっているかは、サービス業に携わる者にとって大切な資質なのです。
だから私は、行員に常々「雑学でもいいから興味は幅広く持ちなさい」と言います。例えばお客様の応接室に絵が飾ってあれば、それに気づき観て差し上げるのが礼儀です。誰の絵か分かれば話も弾むでしょう。分からないまでも「すばらしい絵ですね」の一言が会話のきっかけになります。サービス業の原点は、お客様と仲良くなることなのですから。
そうして築かれた信頼関係の先に、地域を元気にする芽がきっと見いだせると、私は信じています。
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