佐藤康弘さんは、国内でも数少ないプロスノーボーダーのひとり。18歳の時、語学留学したカナダでスノーボードに出会い、のめり込むようにプロの道をめざしました。
日本でスノーボードのプロといったら、ハーフパイプの競技者を指すことがほとんどですが、カナダをはじめとするスノーボード先進地では、まずパフォーマンスを認められることがプロの登竜門。技術を磨くのと平行し、知名度を高めなくては大会に名を連ねることさえ困難です。プロたちは自らのパフォーマンスをビデオやDVDに撮ってマスコミに売り込み、それを見た後進がスノーボードに熱くなる…。その循環がレベルを底上げする厳しい世界で、佐藤さんはプロの流儀を身につけました。
「見て見て!」が想像を絶する大ヒットに

▲南高田にあるショップ「和合堂」では、国内はもちろん海外のスノーボーダーからも「カッコいい」と評価される商品を展示・販売
すでに全国的な知名度を持ち、さまざまな大会で優秀な成績を収めていた佐藤さんは、帰国後、まだ黎明期だった日本のスノーボード界に新風を吹き込みます。それが国内初のプロボーダーチーム「ファーストチルドレン」であり、自分たちのパフォーマンスを自ら撮って編集したDVDでした。
「まず自分たちを”見て見て!“という思いが強かったですね。自分の日本における位置を確認したかったというのが、正直なところです」
それに火がついたのが3作目でした。専門誌だけでなく一般誌やTVにも取り上げられ、全国のショップで爆発的な売れ行きを記録。11作目となる今も売れ続けています。また全国から「自分も!」と名乗りを上げてくるアマチュアボーダーの映像をまとめた『下剋上』も話題です。
地域一丸の新トレンドを信州に!

▲「ファーストチルドレン」ブランドや「眞空雪板等」ブランドなど、佐藤さんがプロデュースした人気グッズも多い
佐藤さんは他にもショップ運営、グッズの企画など幅広い活動を展開しています。ここ数年は全国のスキー場や開発企業から委託され、屋外、屋内のスノーボードパークの企画やプロデュースを手がけています。
信州より関東や四国の方が施策に積極的な分、スノーボード自体の底辺の拡がりや技術レベルも高くなっていることを肌で感じ、少々複雑な思いだとか。「滑る環境がいい上、新幹線や高速にも恵まれています。住んでる人も優しいですよね」と、信州を語る佐藤さん。しかし、せっかくの好条件を冬の観光施策に十分生かせていないことを残念がります。
「文化を発信するソフトも、グッズやギアというハードも、培ってきたノウハウもあります。これらを長野という素晴らしい条件の下で生かしたい。多くの企業さんを巻き込んで、地域が一体となるような取り組みに挑戦したいんです」。長野の冬の新たなにぎわいを期待させる頼もしい一言です。