
▲信州黄金シャモ
シャモと名古屋種の交配により長野県が独自に開発した地鶏です。県の厳しい基準により100%管理生産されています。
1998年長野冬季オリンピックの際、ヨーロッパの選手の多くが、自分たち用の食材を持参で来日したのをご存知でしょうか。肉も野菜も長野で手に入るものと大差ないのに、彼らは日本や長野の食材を信頼していなかったのです。
これにショックを受けたのが、草笛農園を創設した青木正彦さん(陽馬さんの父上)でした。当時の日本では、まだ「食の安全」が今ほど話題にのぼらず、しかも青木さんは建築関係の企業経営者。あえて畑違いの農園に挑戦したのは、信頼できる「食」を確立する必要性を強く感じてのことでした。鳥インフルエンザの世界的な蔓延に阻まれ、苦難の立ち上げとなったものの、農学部出身の陽馬さんの帰省と、長野県が独自に開発した「信州黄金シャモ」との出会いを経て、2006年から本格的な生産が始まりました。
「1u3羽」のこだわり

▲ともに飼育にあたる竹内達也さんと餌やりの作業
草笛農園がある須坂市豊丘は標高580m。夏も冷涼な気候が鶏の病気や野菜の虫、病気を防ぐ絶好のロケーションです。豊かな自然に包まれた鶏舎は清潔そのもの。しかも1u3羽を基準とし、鶏たちにとってストレスの少ない環境での飼育を貫いています。これは、県の厳しい飼育基準である1u5羽を軽く上回るゆとりです。ちなみに一般の鶏は1uに数十羽というところも多く、生産効率がいいとはいえません。
「飼育時間も長いし、餌にも気を遣う。確かに効率は悪いです。でも誰からも信頼される生産過程をしっかり貫いているからこそ、偽りのないブランドとして胸を張って出荷できるのです。日本を代表するシェフと呼ばれる方々が高く評価してくださるのも、その結果です」と、青木さんは微笑みます。その表情には、戦略的な新しい農業のスタイルに挑む起業家の意気込みがうかがえます。
”信州はおいしい“のために

▲直営の食事処ひなのやでは、農園産の信州黄金シャモ、その卵、季節の野菜、そして信州の素材を生かした手作りの味が大好評

▲無農薬で化学肥料を使わずに育てている野菜。各地のブランド野菜にも挑戦中
今年2月、青木さんは長野市の中心市街地に農園直営の「食事処ひなのや」をオープンさせました。農園産の信州黄金シャモの肉や卵、農薬や化学肥料を使わずに栽培した季節の野菜等を手料理にして提供し、人気を集めています。
「信州黄金シャモのおいしさに触れていただくと同時に、信州の味の魅力を満喫していただければと思っています。信州にはほかにも全国に誇れる食材がたくさんあります。それが県内でほとんど消費されず、地域の人や観光客が味わいを知らずにいるのは残念なことです。信州の魅力のひとつはおいしい食べ物。そんな風に多くの人に感じてもらえるきっかけになればうれしいですね」。