
「家族」の信頼関係で結ばれている社員の皆さん
山浦悦子さんは、女性起業家がまだ珍しい存在だった80年代初頭、OA機器の組立・製造という当時としてはきわめて先進的な事業を長野市で立ち上げました。FAXもまだ普及していない当時、情報産業の時代が来ることを確信した、たった3人での起業でした。今では耳になじむ「ハイブリッド」という社名も事業内容も、当時はただ「ユニーク」と受け止められ、周囲を驚かせたものでした。しかし世の中が実際に情報化時代を迎えるに至り、山浦さんの先見性に注目が集まるようになりました。大手情報機器メーカーの信頼に応えて業績を伸ばしてきた独自の営業スタイルをはじめ、働きやすさに配慮した雇用体制、女性社員の積極採用、男女共同参画やライフステージに応じた雇用など、山浦さんの取り組みの多くが、中小企業のモデルケースとしてさまざまなメディアで紹介されています。
社員とともに育つ

平成19年度長野市「男女共同参画優良事業者」表彰の楯
「特別なことをしてきたという思いはありません。最初は会社を少しでも大きくしようと死にものぐるい。人が増え始めてみると、今度は規模の拡大より中味をよくすることのほうが大切だと実感するようになりました。そのための仕組みを、その都度整えてきたに過ぎないのです」。
長いOL経験を持つ山浦さんは、経営者に対する従業員の目線を忘れたことがありません。また一方では、一経営者として大企業のトップと対等にコミュニケーションを図る場面も頻繁にあり、いろいろな経営者の哲学やスタイルに触れています。「すべての最終責任を負うのが社長の仕事。その他のことは、社員と同じ目線で、同じように向上心を持って、ともに成長していくというスタンスです」。その姿勢は、社員が家族のように信頼し合う、同社独自の空気を育んでいるようです。
信頼すること、甘えないこと

中ページはスケジュールでびっしり埋まった手帳の扉には思いのこもった言葉が手書きされている
「お互いの信頼関係の上に仕事をするということは、互いに甘えない、自分を甘やかさないということにもつながります」。厳しいニーズを提示する大手顧客からも信頼され、着実に伸び続けている同社の業績は、山浦社長の思いが社員の方々にしっかり伝わっていることの何よりの証しといえそうです。