「なんでもできる」を武器に

自由に持ち運んで高画素イメージを撮影・保存できるインスタント内視鏡HNL−4.6シリーズ
日高剛生さんと原山広一郎さんは株式会社SPIエンジニアリングの共同経営者として、ともに「代表取締役」を務めています。日高さんは機械技術者、原山さんは電気技術者。会社の同僚として知り合った2人は、それぞれ幅広い開発分野で経験を積み、技術者として自負し得るスキルを身につけていました。しかしそれらはあくまでも勤務する企業の中でのみ活かされるもの。より大きな可能性を求めた2人は、「自分たちのブランドでものづくりに携わり、自分たちが納得する会社をつくろう」と独立。機械と電気というそれぞれの専門性を発揮し、補い合って、「なんでも創れる」ことを大きな武器に、メーカーとして歩み出しました。
試行錯誤の果てに得た手ごたえ

電気畑の原山さん(左)、機械畑の日高さん(右)、それぞれに技術を補い合い、仕事をチェックし合って、開発系メーカーとしてのブランドを確立してきた。
同社は信州大学発のベンチャー企業の1社。しかし民間企業と大学の共同研究を産業成果に生かす一般的な産学連携ベンチャーとは異なります。信州大学経営大学院に社会人入学・修了した日高さんが起業したことから「大学発」と呼ばれるものの、開発のシーズや技術を大学と共有しているわけではありません。「なんでも創れる」2人の武器をどう使うかからのスタートでした。
「当初は世の中にないものを創り出そうと意気込んでいました。しかし世の中にないものは、つまりニーズがないものだったりする。製品が売れず、ようやくそれに気づいたり…そんな時期が長かったんです」。
「ニーズがある。しかしまだ世の中にあまりない」もしくは「他とは違う」製品を創ろう。この方向転換が、小型内視鏡や産業カメラのメーカーとしての同社が注目されるきっかけとなりました。多様な産業分野が求める仕様と性能、そしてコストパフォーマンスを提供する、意欲的で小回りの利く製品が評価され、口コミによってSPIブランドは着々と知名度を上げていったのです。
ビジネスモデルの前に「製品」あり
「どこにも負けない、いい製品を創る」。これが日高さん、原山さんの2人に常に共通する思いです。いい製品を開発し、展示会と業界紙でそれを必要としている人にピンポイントで知らせ、試用してもらう。ひたすらこの方法で、同社は知名度と販売シェアを高めてきました。
「ビジネスモデルじゃなく、アイディアをモノにする力が、起業を確かなビジネスにしていくのだと思います」。2人のブランドが今後どんな成長を遂げていくのか、とても楽しみです。