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2008年 8月号 No.721 |
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じっくり考え、持てる力を その場ですべて出し切る――、 それが純粋に楽しいんです
丸木 太さん
クライミングジムHANG DOG代表 フリークライマー バックカントリースキーヤーー
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丸木太さんは、国内に数人しかいないプロのフリークライマーのひとり。ワールドカップをはじめ国内外の大会や指導イベントなどで活躍しています。普段は県下最大級のクライミング・ジムを運営。四百余名の会員に、自身で設計・建築した壁を提供し、レッスンやアドバイスを行っています。
丸木さんがこの道に入ったのは、信州大学在学中、大峰山の「物見の岩」に残るクライミングの痕跡を目にしたのがきっかけでした。もっとも当時の丸木さんが青春を賭けて取り組んでいたのは、自転車のロードレース。出身地の大阪から遠い信大を選んだのも、絶好のトレーニング・フィールドと自転車競技部があったからでした。土木工学を学ぶ一方でロードレースにのめり込み、スポンサーがつくまでになったものの、事故に遭ってプロを断念。卒業を控えて悶々としている時、物見の岩と出会ったのです。
卒業後、一度は大阪の企業に就職した丸木さんですが、クライミングの世界でもすぐに頭角を現し、信州を拠点にプロとして生きることを決意。現在では選手・指導者としての活躍に加え、競技会のルートセットやクライミング施設の設計・建築・メンテナンスを手がけることのできる数少ない専門家として存在感を放っています。また雪のシーズンにはバックカントリースキーヤーとして、「世界最高のロケーション」と絶賛する北信一帯を主なフィールドに活動しています。
「決してメジャーな分野ではないので身近に前例や見本がなく、何をするにもすべて一から自分でやらなくてはなりませんでした。ジムの建築もそうです。ほかに選択肢がないので、とにかく自分の力で前へ進む。リスクはあるけれど、やれば自分自身の理解が深まり、課題も分かるから、次に進む道が見えてきます。そう考えると、仕事も、クライミングも、バックカントリーも、ある意味、似ていますね」。
前進することに対し「恐怖心はほとんどない」という丸木さん。命がけに見えるクライミングにも、事業にも、共通する思い切りのよさがうかがえます。「闇雲に前へ進むわけではないからですよ。経験と理解と科学的な根拠を裏付けにした確信があるから、いたずらに怖がる必要がないんです」。
丸木さんにとって、クライミングは「パズルを解くような」論理的な楽しみに満ちているのだとか。同時に、自分の身体を動かし、持てる力をすべて出し切るおもしろさも「たまらない」と、目を輝かせます。 「年齢とともに体力が落ちていくのは事実。自分に与えられた時間の中で、ベストを尽くしていきたい。そして自分ができなくなっていくのと引き換えに、人に伝え、人を育てることにウェイトを移していく大切さも感じます」。丸木さんの次のアクションも、確信に満ちたものといえそうです。
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