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2007年 3月号 No.704 |
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善光寺は間違いなく、 ぼくの代表作のひとつに なると思う
細見 知憲さん
株式会社村上社寺工芸社
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「高校に来た求人票に、屋根を葺く仕事、というのがあったんです。それを見て興味を持ったのがきっかけ。コツコツやる自分の性格にも合ってました」。
片道二五キロの峠道を自転車で通った兵庫県内の産業高校土木科を卒業後、社寺などの伝統的建築物の屋根葺き職人になって七年目。今年完成予定の善光寺三門平成大修理で、屋根の栩葺(とちぶき)を手がける職人の一人として腕をふるっています。
檜皮葺(ひわだぶき)、柿葺(こけらぶき)といった伝統技術を持つ屋根葺き職人は全国に約百五十人。その職人たちが北海道から九州まで全国に出かけ、場合によってはチームを組んで伝統的建築物の修復や新築にあたっているのです。
「善光寺本堂も当社も葺かせてもらいましたが、全国に知られる文化財を手がけられることにすごくやりがいを感じます。全国いろんな所に行けるのも楽しいし。ただ結婚して子供もいるので、いつも家族と一緒にいたいという気持ちも。二週間に一度帰るのが楽しみです」。
善光寺三門ではあらかじめ厚さ十二ミリほどに加工したサワラの板をすき間なく並べながら、口に含んだ大量の竹クギを一本ずつ先端を前にして出し、打ち付けていきます。その速さと流れるような動作はまさに職人技。「入社してまず覚えることのひとつが口からクギを出す方法。一日目は舌が痛くなり、飯がまずくなりました(笑)。クギを打つのはそんなに難しくない。職人としてはいかにスムーズに口から出せるかが重要なんです」。 一人前になるまで数年から十数年という職人の世界、技術は先輩の仕事を見て盗むのが基本。時には先輩から容赦のない言葉が飛んでくることもあります。
「三年目のある日、なに勝手なことやってんだ、もう帰れと物凄い剣幕で怒られた。教わった段取りと違ってたんです。先輩は仕事が丁寧で、誰も見ないような部分まで決して妥協しない人。とても尊敬できる先輩です。少し仕事ができるようになり、自分でもできるんやと自信過剰になってたぼくを戒めたんですね」。 一番思い出に残る仕事は、一昨年初めて任された広峰神社(姫路市)の三坪ほどの社の柿葺。京都八坂神社の本社とされる由緒ある神社で、本殿と拝殿は国の重要文化財にも指定されています。
そして、善光寺。「厳島神社と並んで、間違いなくぼくの代表作のひとつになると思います」。
「いつか、同じ屋根を再び手がけるのが楽しみです。若い頃自分が葺いた屋根を見て、こんなやり方をしてたのかと思ったりして(笑)。その頃にはきっと責任者として現場を仕切ってると思うし」。飄々とした中に、伝統を受け継ぐ職人としてのプライドを強く感じさせる細見さんです。
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