CCI

   2006年 11月号 No.700

何かを知ることの楽しさを
この時、知りました
弓場 ます美さん

英語講師




「私が英語を教えていると子どもたちに『弓場ちゃんさあ、ホントに英語が好きなんだね。だってすごく楽しそうだもん』と言われるんです」。

 東京で結婚後、三〇歳で単身オーストラリアに留学。シドニー近郊の田舎町で六カ月間ホームステイを経験しました。「英語は高校卒業以来で全然できないのに、着いたところは日本人は初めてという町で英語しか通じない。最初は言ってることも書いてあることも分からず、日本恋しさに行ったチャイニーズレストランではラーメンを頼んだつもりがビーフンが出てくる、ローストチキンを頼めば鳥の丸焼き。失敗はたくさんありました」。
 ところが一カ月が経つ頃から少しずつ相手の話すことが分かるようになり、二カ月目からは片言の英語が出てくるように。「一度糸口が分かると繭玉の糸を引くようにぱーっと分かるようになった。赤ん坊と同じ体験かもしれませんね。三カ月後には英語を英語で理解し話せるようになっていました。ホストファミリーには『マスミは受け答えがスムーズになって面白みがなくなった』と言われましたけど。六カ月間本当に楽しかった」。

 帰国後、通訳・翻訳者の人材派遣会社で働いていましたが、「子育ては自然の中で」という東京出身の夫のたっての希望で三四歳の時、夫の母親とともに実家(上田市)に近い長野市に移住。出産を機にやめていた英語を再開しようと入学した英会話学校で決定的な影響を受ける教師と出会います。

 「きれいに発音できない人と歴史や経済の話をしたいとは思わない。どうせ英語を学ぶならそれができる人になりなさいと言われました。そこで発音を学ぶとともに日本の歴史から世界史、中国や朝鮮、中東の歴史まで独学。さらに子供が寝た後、毎晩一時から三時間『ジャパンタイムス』を読むことにしました。『学問の根は苦く、その実は限りなく甘い』。座右の銘にしているこの言葉をかみしめて四年間生まれて初めて本当に勉強した。三十数年間世界のことなど何も知らずただ面白おかしく生きてきたと後悔する一方、何かを知ることの楽しさをこの時知りました」。

 その後、月一回東京の英語教育機関に通って発音と英語指導法を修得。現在、週半分は長野市初の私立小学校である「学校法人いいづな学園 グリーン・ヒルズ小学校」の講師として活躍しています。

 子どもたちに「弓場ちゃん」と慕われ、笑顔とエネルギッシュな立ち居振る舞いで応える弓場さん。「たまたまオーストラリアに行ったおかげでいろんなことを知ることができた。それが本当に楽しいんです」。いくつになっても何かを一からスタートできること、そして「知る」ことの楽しさ。弓場さんはそれをみんなに教えています。




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