「その道で大成するには ”好きなこと“が一番。好きでないことをいくらやってもだめだと私は思います。そして、何でも先生が教えてくれると思ったら大間違い。陶芸は創作の世界ですから、次はこれを作ろうと常に自分が前向きでないと続きません」。 少年時代からスポーツ好きで、高校卒業後長野市内の会社に就職してからはスキーに熱中。スキー学校指導員としても活躍中の折、たまたま陶芸教室開校の新聞広告を見て「面白そう」と飛び込んだのが、陶芸との出会いでした。 たちまち陶芸の面白さに魅せられ、のめり込みます。始めて一年ほどで自らの窯を開くとともに県展入選。それが評判を呼び、観光地を中心に大量の注文が舞い込むようになりました。またその頃、自ら長野初の本格的な陶芸教室を開き、愛好者の育成も始めます。「とにかく忙しかった。勤めながらでは身体が参ってしまうと三五、六歳の時、会社を辞めました。もう夢中でしたね」。 一方で、国内の主だった展覧会への出品も開始。亜細亜現代美術展、日本伝統工芸展、一水会陶芸部展、長野県工芸展などで入選・受賞を重ね、陶芸家としての評価も高めてきました。 小林さんの作品の特徴は表面に模様を彫り、さまざまな色の土を埋め込んでいく象嵌技法。そしてスキー、水泳、ダンスをモチーフにしたリズム感豊かなスポーツ文様と信州の山野草の文様、アジアの風物文様。「日本伝統工芸展に入選した作品がスキーのシュプール文様でした。人間国宝の三浦小平二先生がそれを説明した時に会場がどよめいた。スポーツに熱を入れたのがこういうところに生かされたと、うれしかったですね」。 現在、指導する会員は長野陶芸教室とカルチャー教室を含めて二百人近く。子どもから高齢者まで、男女問わずさまざまな愛好者が作陶に励み、プロの陶芸家もここから輩出しています。 「教室では何曜日の何時から何時までといった時間の観念を一切とっぱらっています。それが陶芸というものの本質。私自身わがままで、もっと自由に人生を送りたいとこの道に飛び込んだ。こんなに楽しい趣味だから、時間の制限なく自由にやりたいんです」。 生徒の良いところを見つけ、ほめるのが小林さんの教え方。「ほめられればさらにやる気が出て、自分で練習して上達していく。指導者は皆同じだと思いますよ。上手にほめて、その人のやる気を起こさせるのが仕事なんです」。 「ただ上手になることより、温もりのあるものを作ることの方が大事。見て触れてほっとしてもらえばいい。陶器はそういうものを持っているし、それが良さだと思います」。 陶芸とは温もり。いつも自然体の小林さんらしい表現です。