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2006年 9月号 No.698 |
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点字をきっかけに感じてほしい
「共有」できる社会の大切さ
戸崎 公恵さん
長野点字研究会代表
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「生徒たちはつねに評価、採点される立場で一喜一憂している。でも点字を通して、自分も社会を作っていく一員なんだと実感してもらえればいいなと思っているんです」。
社会人講師として皐月高校で「社会福祉基礎」の授業を担当し、点字を教えて五年。「もともと人見知りだった」という戸崎さんですが、授業を通して繰り返す生徒たちとのキャッチボールの楽しさにすっかり魅せられてしまったそうです。現在は中条高校、長野俊英高校でも授業を受け持ち、心から楽しそうに進める授業で生徒たちを引きつけています。
点字とのなれそめは二五年ほど前、交通事故で視力を失った知人に点字で年賀状を出したいと思ったのがきっかけ。間もなく長野市広報誌の点訳を手がける長野点字研究会にも参加し、実際に仕事をしながら点訳を覚えていきました。
点字は縦三点、横二点の六つの点の組み合わせからなる文字。これに対して普通の文字を「墨字」と呼んでいます。組み合わせは六三通りあり、それぞれが五十音、数字、アルファベット、記号を表します。
授業ではまず名刺作りから。さらに方言による憲法九条の意訳絵本『オラホの憲法9条』などの点訳や、飲食店の点字メニュー作りにも取り組みます。携帯用点字器に用紙をはさみ、点筆で右から左へ書いて(穴をプチプチと打って)いく根気のいる作業。しかも打つ位置を一つ間違えただけで違う文字になるのでとても神経を使います。
「初めのうちは、なんで点字なんだとふてくされる生徒もいます(笑)。でも名刺を仕上げる頃には明らかに表情が変わっています。達成感もあるのでしょうが、目の輝きが違う。メニューなど実際に使っていただくものには責任があり、冬でも汗をかくほど緊張する。その緊張感が社会に関わるということだし、点訳を通して憲法にも関心を持つようになった。そういうきっかけづくりという意味でとても良い教材になっています」。
こだわるのは墨字と点字が並んだ健常者と視覚障害者が「共有」できるメニュー。七月には大門町の「The Fujiya Gohonjin」にもプレゼントし話題になりました。
「それを通して、誰もが共有できる社会であれと生徒たちが感じてくれるようになれば」。最近とてもうれしかったのは、その思いが生徒たちにしっかり伝わっていることを確認できたこと。「新聞の取材である生徒が、目が見える人も見えない人も一緒にこれを使うのが普通の世の中になればいいな、と答えたんです。思わずホロッとしました」。
点字を通して、「ユニバーサルデザイン」が生徒たちの心に根づき始めているのを実感しています。
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