
「僕がこだわるのは戸隠のそば、そのもの。本物の戸隠そばだけでなく、おいしくて新しいそば料理をどんどん創っていきたい。それでお客様が喜んでくださり、僕も喜び、スタッフも喜ぶ。そんな良いサイクルをつくっていきたいですね」。
美術系大学でデッサンを勉強するか、料理の道に進むか…。結局、創業以来三百八十年続く老舗そば店の十三代目となる道を選びました。「味付けでも、盛りつけや包丁の入れ方でも、料理には芸術的な部分があります。子供の頃から絵など芸術関係は何でも好きでしたが、中学の頃にはもう僕の中では料理も芸術のひとつだったんです」。
現在、調理指導、新商品の開発、営業など八面六臂の活躍。特に自ら開拓したという、大手百貨店の催事への出店には積極的で、自慢の商品を抱え全国を飛び回っています。「西日本で戸隠そばはほとんど知られていません。本当においしいそばを伝えることで、戸隠の素晴らしさをアピールしたい。そんな気持ちから積極的に出店しているんです」。
そのきっかけは、そばの新しい食べ方を提案しようと取り組んだ「そばクレープ」。商品づくりに二年半の試行錯誤を重ねた末、本店横にオープンした「おそば屋さんのクレープ」店が、若者の戸隠デートドライブに欠かせない新名所として人気を集める存在に。そこに百貨店の担当者が注目し、出店につながったのだとか。今は原点である戸隠そばのおいしさを伝えることに力を入れています。
「すべてにおいてミスマッチが似合う店。今の雰囲気を残しつつ、古くて新しいという新しいコンセプトを打ち出していきたい。もっとも流れを大きく変えるのは僕のスタイルじゃない。長いスパンで考え、それがじわじわと浸透していくのを楽しみたいんです」。
「ソバストリー」―自由な発想で新しいそば料理を創作する人。洋菓子のパティストリーをもじって、そばクレープ修業先の親方がプレゼントしてくれた言葉は、まさに小林さんにふさわしい称号です。