CCI

 10月号 No.675

その時そのお客様に最高の一杯を
それがバーテンダーの仕事です
上市 真輔さん

エランドール




 錦町通りに面した古い飲食店ビル。その二階最奥にひっそりと「隠れ家」のようにある一軒のバー。それが世界六十種類のビールを揃える上市真輔さんのお店です。

 「バーは敷居が高いというイメージがある。気楽に来ていただきたいので、最初はバーという冠をつけるのをためらったんです。でも、長野の人にバーというものを知ってもらうのも大切と、あえてバーを名乗ることにしました。一人の時間を愉しみたい方から、仲間同士でワイワイ飲みたい方々、仲間に会うために来る方など、男女問わず幅広い年齢層のお客様がいらっしゃいます」。

 人生の転機が訪れたのは十年前、東京で建築関係の専門学校に通っていた時でした。友人のアルバイト先のバーに初めて行き、バーテンダーの分け隔てない気持ちの良い対応と気づかいに感動。カウンターの中で手際よくカクテルを作り出す格好良さに、「いつかは自分も」と強い憧れが芽生えたのです。その後、たまたま行ったビヤバーで飲んだフルーツビールの味に驚き、この店で二年間アルバイト。ビールを極めるとともに、カクテルの面白さも知りました。

 卒業後、長野に戻りゼネコンに入社。将来自ら設計した自分の店のカウンターに立つことを夢見ながら現場監督として働いていましたが、二年後に会社が倒産。これを機に「自分のやりたいことをやろう」とバーテンダーの仕事を本業にすることを決心し、長野市内の有名バーの門を叩きます。ここでの五年間が厳しい修業期間となりました。

 「接客やカクテルを作る技術など多少は知っているつもりだっただけに、挫折の連続。カウンターの下で先輩の足が飛んできたり、『気持ちがこもってない』と厨房で怒鳴られたことも。バーテンダーとしてのサービス全般に対して細かく、厳しく仕込まれました」。

 現在、カクテルのレパートリーは二百五十から三百。しかしバーテンダーのサービスとはカクテルの作り方や出し方ではなく、その一杯にいかに付加価値をつけるか。目の前のお客様との会話の中から、その時その人にとって最高のカクテルを作り出し、心からの満足を味わってもらうことだと考えています。
 開店以来、売上げは当初見込みの三倍強。「怖いくらいに好調です。前の店で五年間真摯にお客様と接してきた成果かなと思っています」。今日も口コミで広がった新しいファンの輪が広がっています。




[会議所だよりトップに戻る] [長野商工会議所トップに戻る]

ご意見・ご感想を下記へお送り下さい
長野商工会議所  〒380-0904 長野県長野市七瀬中町276
電 話:026-227-2428/FAX:026-227-2758
E-mail:ncci@nagano-cci. or.jp

copyright