CCI

 4月号 No.669

クオリティの高いお菓子づくりを
細く、長く、この町で
大日向和美さん

パティスリー カズーリー




 「気がつけば、お菓子の世界に入って十年。寂しくなった長野の街を見て、善光寺近くのこの町にお菓子屋を開くことで、少しでも活性化になればと思ったんです」。

 毎日同じことの繰り返しで、自分の頑張りも評価されない。そんな仕事に疑問を感じ、大手食品メーカーを三年で退職。料理やお菓子づくり、食べることも好きだった大日向さんは九一年、お菓子の専門学校に入ります。

 一年後、東京渋谷の有名フレンチレストラン「シェ・松尾」に入社し、三年間ケーキづくりを勉強。さらに「アフタヌーンティ・ティールーム」で半年間パンづくりを学びました。九六年からは外資系ホテル「パークハイアット東京」で菓子、パン、レストランデザート、結婚式など、様々な分野を経験。世界の有名シェフたちの腕前をも目の当たりにしながら、パティシエとしての技術とキャリアを積んできました。

 そして〇三年三月、青果店を営む実家近くの倉庫を改装し、念願の自分の店「パティスリー カズーリー」をオープン。ちなみに店名は「かわいい」という意味のスワヒリ語で、以前から店を出すならこの名前と決めていました。

 オープンにあたって「何かひとつ名物をつくりたい」と取り組んでできたのが「そばシュークリーム」。クリームにそば粉を混ぜたオリジナル商品は評判も上々。ファンも増えてきました。

 お菓子づくりの面白さは「ひとつ素材を変えるとまったく違った味になること。そして材料など手をかければかけただけ、おいしいお菓子になること」と大日向さん。経験と技術をベースにしながらも直感(ひらめき)を大切にし、時には実家で扱う珍しい果物も使いながら、新しいお菓子をつくり上げていきます。

 「場所柄、年配の方が多いので、オーソドックスなものが売れ筋。今は新しいものよりもまず、うちのケーキの味を覚えてほしいと思っています。それに品数をあまり増やすと手が回らなくなり、一品一品のクオリティが落ちてしまう。ホテル時代の師匠(ペストリーシェフ横田秀夫氏)の『自分のできる範囲で精一杯のことをしろ』という教えをしっかり守っています」。

 毎日立ち通しのハードな仕事。休日の楽しみは「愛犬の散歩と、日帰り温泉に浸かること(笑)」。一人で切り盛りする店だけに健康には気をつかっています。




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