2021年10月号

View Point

浅井 隆彦(あさい たかひこ)

長野商工会議所副会頭 八十二銀行副頭取

1963年生まれ、長野県出身。1987年3月 早稲田大学第一文学部卒業、1987年4月 八十二銀行入行、2005年9月 軽井沢支店長、2008年6月 融資部付、2010年6月 松代支店長、2013年6月 東京営業部営業一部長、2015年6月 リスク統括部長、2016年6月 融資部長、2017年6月 執行役員融資部長、2018年6月 常務執行役員本店営業部長、2019年6月 常務取締役、2021年6月 取締役副頭取。

長野商工会議所と八十二銀行が連携し
 互いの専門性を突き詰め、補い合いながら
  長野地域の経済を盛り立てていきます

 新型コロナの感染拡大で経済状況は不透明感を増すなか、中小企業はこの急場を乗り切ることに加え、ポストコロナを見据えた事業の見直し、方向修正の検討も不可欠で、経営環境の変化にどう対処すべきか悩まれている方も多いと思います。現在八十二銀行では、幅広い専門家集団がお客様の課題を見出し、解決に導くお手伝いに力を入れています。今後も長野商工会議所とも連携し、地域経済を盛り立てていきます。

 

「商工会議所はいいところだな」
と感じた原体験

── 長野商工会議所副会頭に就任されての抱負をお聞かせください。

浅井
 何より歴史があり、規模も大きい長野商工会議所ですので、力不足の私にいきなり副会頭が務まるか不安と重責を感じています。
 私にとっての長野商工会議所の原体験は、支店長として松代に赴いていたときのことです。当行松代支店も、長野商工会議所の会員に加えさせていただいており、皆様には大変お世話になりました。
 そのとき長野商工会議所の事業に関わらせていただき、2つのことを感じました。1つは、単純に「商工会議所というのは楽しい」と思いました。地域の商工業者の皆様が集まり、真田十万石祭りなどイベントでは皆で汗を流しました。武将の格好をして、馬に乗らせてもらったのも良い思い出です。
 もう1つ、長野商工会議所の指導員の皆さんがとても熱心に地道に、地元の事業者さんのお手伝いをされており、一緒になって地域を盛り立てていこうとする様子がもの凄く印象に残っています。
 以来私は、「商工会議所はいいところだな」と感じてきましたので、今回のご指名をとても嬉しく思い、ただそれだけに重責を感じています。しかも長野商工会議所の事業について、知らないことがたくさんあります。まずは強いリーダーシップを発揮されている北村会頭のお考えをよく理解し、また経営者の先輩でもあり長野商工会議所でのキャリアも長い副会頭の皆さんにいろいろ教えていただいて、早くキャッチアップしていきたいと思います。

 

経営環境の変化に対応できる
人材の確保が課題

── 現在、長野地域の経済状況、中小企業が抱える課題についてどうお考えですか。

浅井
 経済状況については、7月ぐらいまで比較的良い方向に向いていましたが、その後不透明感が増してきているように感じます。
 長野経営研究所が8月13日にリリースした「長野県経済動向」も、「厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが続いている」としているように、製造業は電気・機械関連中心に好調でしたし、これまで非常に苦しかった宿泊や飲食産業も客足が戻りはじめ、ワクチン接種が行き渡れば、ようやく出口が見えてくるだろうと思われていました。
 しかし、東京で4度目の緊急事態宣言が出された頃から、感染の拡大は長野も含め全国に広がっています。サービス業や飲食業など、つくりおきができない業種では、相当厳しい状況が続いているのではないでしょうか。好調に見える製造業も、様々な供給制約があり不透明な状況です。特に長野県の場合、好不況の振れ幅が全国より大きい傾向があるので、今後の動向が気掛かりです。
 企業が抱える課題は、コロナ後を視野に入れた仕事のやり方や事業の方向性の見直しの必要性を多くの経営者の方が考えておられます。また、かねてからの課題ですが、構造的な問題である人口減少は、需要面だけでなく今後は人手不足の問題として一層深刻になるのではないでしょうか。直近の数字で、長野県の有効求人倍率は1・4。10ヶ月連続で前月を上回っており、9ヶ月連続で全国平均を上回っています。省力化の設備投資への意欲が強い一方、経営者の皆さんはやはり、どうやって人を確保すべきかお考えです。特に、経営環境の変化に対応した仕事のやり方に変えていくために、人材の質を高めていくことが重いテーマになっています。これら課題への対応策は会社毎に様々と思いますが、あえて共通項を探ると2つのキーワードが浮かび上がってきます。1つ目はDX戦略などデジタル化、2つ目は、脱炭素化社会への対応です。現実に受注元や親会社等からの具体的要請が、長野地域の中小企業にもあるようですが、受け身の捉え方だけでなく、これら世界の大きな流れを追い風として捉え、ビジネスチャンスを見出そうとする動きも強まっているように思います。さらに、一昨年の台風19号災害以降、気候変動の影響がより強く意識されるようになり、どうしたら持続可能な地域社会を築けるか考える経営者の方も増えたように感じます

 

金融×非金融で、
地域の発展に向けて取り組む

── 御社は今後どのような役割を地域のなかで担っていかれますか。

浅井
 新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、地域の企業の皆様を資金面で支えることで、この急場を凌いでいただくお手伝いをしてきました。
 この取り組みを継続すると同時に、コロナ渦の出口を見据え始めている事業者さんには、経営計画の立案や経営課題への対処といった場面で、相談に乗らせて頂くことが我々の存在意義であります。これを果たすためには、経営者や企業のことを支店担当者がどれだけ理解しているかにかかっています。地域の皆様のおかげで90年の長きにわたり事業を続けてきた我々は、お取引のある企業の歴史や持ち味を存じ上げています。また、金融に関わるからこそ、お客様から様々な情報も頂戴していま す。これらを踏まえた上で我々は、一社一社のお客様が変化する経営環境にどう対応しようと思っていらっしゃるのかをコミュニケーションしながら深く理解させて頂きたいと思います。最近TVCMしている、オンラインによる少額調達支援「OLTAクラウドファクタリング」等も、これをご利用いただくことで新たなお客様との接点をつくり、コミュニケーションを深めるきっかけになればと願って取り組んでいます。
 また、本部・グループには経営計画策定や、M&A、事業承継といった分野はもちろん、人事コンサルタントやシステムコンサルタント、BCP、SDGsの専門家も充実させています。支店担当者と本部担当者が連携して、まず個々の企業が悩まれていることに耳を傾け、それを経営課題という形できちんとお客様にご提示し、そのうえで自分たちの専門知識を生かしながら、ときには他の機関との連携も図ることで課題解決のお手伝いをすること。簡単ではありませんが着実にこういった行動の質を高め、お役に立ちたいと考えています。当行の中期経営ビジョン2021でも「金融×非金融×リレーション」を通じ、地域社会の発展に向けて取り組むことを掲げています。中心業務である金融を磨きながら、非金融の部分でもお手伝いをし、相乗効果を発揮していきたいと考えます。
 その過程では、長野商工会議所と今後も大いに連携させてください。冒頭に申し上げた通り、長野商工会議所の指導員さんが事業者さんに寄り添う姿を我々としてはお手本にすべきだと感じています。長野商工会議所が国や県の支援メニューにお詳しいように、互いの専門性を突き詰め、不得手なところは補い合いながら、地域経済を盛り立てていけたらと思います。

 

浅井 隆彦さんの横顔
休日は、奥様と食べ歩きを楽しむ。
古民家を活用したり、特色のある魅力的なお店が増え、週末の新たな発見を楽しんでいる。


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