2019年10月号

人きらっとひかる

信州の伝統食のおやきを守り伝えていく
それが私の使命だと思っています

 

ふきっ子おやき 代表
信州おやき協議会 会長

小出 陽子さん

 

 ふきっ子おやきの店主として、そして信州おやき協議会の会長として、信州おやきの魅力を伝えつづけている小出陽子さん。去る7月には、「おやきの教科書」を発行。初版部は完売と、大好評です。おやきを製造販売するかたわら、おやき教室を開催しており、長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」でも講師を務める小出さんに、信州おやき協議会の今後の展望を伺いました。

キャリアウーマンから
おやき屋の店主へ転身

店内にはイートインスペースもあり、おやきや味噌汁、数種類のお惣菜がいただけるランチも人気
 今から10年前、当会議所と市内のおやき事業者の方々がタッグを組み、伝統的な郷土食である信州おやきの魅力を広く知ってもらいたい思いから、「信州おやき協議会」(事務局=当会議所内)の活動をスタートしました。発足当初から会長を務めているのが、青木島にある「ふきっ子おやき」の店主、小出陽子さんです。
一般に思うおやき屋さんの店主としての印象とは違って、その経歴はなかなか華々しく、大学卒業後は東京の建設コンサルタント会社で働き、海外赴任も経験するなど、バリバリのキャリアウーマンとして活躍されていたそうです。そんな小出さんが会社を辞め、長野に戻る決心をしたのは40代半ばの頃でした。
「組織の中で女性がキャリアアップするのは難しい時代に、60歳で定年を迎え、将来は何をしたらいいんだろうと思い悩んでいた時でした。ちょうど母の病気もあって、母が創業したおやき屋を継ごうと決心したんです」。
とはいえ、飲食業の経営は素人同然。「まるで右も左もわからなかった時に、商工会議所の創業塾を知り、すぐに応募しました」。
塾で経営を学ぶうちに、おやき屋さん同士のネットワークの必要性を感じて、それが信州おやき協議会の発足へと結びついていきました。

協議会のネットワークづくりで
おやき事業者の絆を深める

 「協議会の発足の際には、商工会議所のサポートもいただき、各種助成金事業を通じて基盤作りができました」と、笑顔の小出さん。
現在、協議会では、食に関わる各種イベントに参加するほか、『信州おやきを食す日キャンペーン』や『信州おやきの祭典』を開催。この9月28日には、『信州おやきの祭典』がビッグハットで開催される予定です。市内のおやき業者8店舗のブースが出展し、『秋』をテーマに自慢のおやきを販売します。
小出さんのおやきの特徴は、化学調味料を全く使っていないこと。生地はモチモチ、チュルンとなめらかで、野菜がたっぷり入っているのでヘルシー。主食におやつに、何個でも食べられるほど美味しくて、栄養バランスがいいのも長く愛されている秘訣です。
店頭には、信州の伝統野菜の小森なすや、さつまいも、きのこといった秋の季節おやきも並びます。

おやきの教科書を参考に
誰でも気軽におやきづくりを

「信州おやき巡り」(川辺書林)と、「おやきの教科書」(信濃毎日新聞社)。「おやきの教科書」では、20種類以上の生地、80種類の具のレシピを紹介
 協議会がスタートしてから、世間では“粉もんブーム”が起こり、おやきの魅力も改めて見直されるようになりました。
そんな折、2013年に、著書「信州おやき巡り」を発行。さらに、今年7月には新著「おやきの教科書」が上梓されました。
「出版の一番の目的は、信州の食文化の継承です。今では大手参入で個人経営のおやき屋さんは右肩下がりの経営に苦しんでいます。郷土食として代々伝えられてきたおやきの文化を次世代にしっかりとつなげるためには、家庭でおやきを作ってこそ、という思いです」。
この本の特徴は、様々な食感の生地の作り方、具材の切り方や味つけ方、生地の包み方まで、微に入り細に入り、細かく載っていること。お惣菜作りのレシピやヒントも満載されています。
かつては各家庭で、祖母から嫁、そして孫へと作り方が受け継がれていたおやき。その絆を絶やさぬように、小出さんの挑戦は、これからも続きます。
企  業  名 合同会社 ふきっ子のお八起(店舗名:ふきっ子おやき)
創  業 1986年
業務内容 やき製造販売 おやき教室開催
所 在 地 本長野市青木島1-1-3 TEL 026-284-2934
営業時間 10:00~17:00
定休日 日曜日・水曜日
URL http://www.fukikko-oyaki.com
長野市出身。東京での海外建設コンサルタント会社勤務を経て、2004年に帰郷。お母様のおやき店を受け継ぐ。2009年、長野商工会議所、おやき事業主の仲間とともに「信州おやき協議会」を発足。会長に就任し、おやきの普及活動に尽力する。著書に、「信州おやき巡り」「おやきの教科書」。地元TVのワイドショーのコメンテーターとしても活躍中。


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