2019年10月号

View Point

林 雅孝(はやし まさたか)

長野県長野地域振興局長

1983年長野県職員に。医療推進課長、環境政策課長、監査委員事務局長を経て、2019年現職。

長野地域のポテンシャルを最大限発揮し
「活力あふれ・人が集い・文化薫る」
中核都市圏の形成を目指します

 長野地域振興局では、県の「しあわせ信州創造プラン2・0」をもとに、長野地域計画を策定しています。計画では「活力あふれる長野地域」「人が集い、文化薫る長野地域」「生活基盤の確保の推進」を重点政策としています。とりわけ、前2者の実現に向け、果物を軸とした地域振興、体験や交流を通じた広域観光については、市町村等の皆さまと特に密接に連携して推進する地域連携プロジェクトとして取り組んでまいります。

県総合5か年計画の
長野地域計画について

── 本日は、長野地域における地域連携プロジェクトの概要、狙い等について教えてください。


地域連携プロジェクトは、長野地域振興局が策定した地域計画に盛り込まれたものです。県の総合5か年計画(18年度〜22年度)「しあわせ信州創造プラン2・0」をもとに、県内に10ある地域振興局では各々地域計画を策定しました。県都長野市をはじめ、3市4町2村を対象とする長野地域計画では、「活力あふれ・人が集い・文化薫る」中核的都市圏を形成することを、地域の目指す姿としています。地域連携プロジェクトについてご説明する前提として、まず長野地域計画の概要からお話しします。
地域計画では、この長野地域の特性を以下のように分析しました。
1.政治・経済・文化・教育等の機能が集積し、県の中核的な地域として発展
2.多種多様な産業が栄え、特に機械・電気・食品をはじめとした製造業は地域経済のけん引役
3.農業も盛んで、中でも果樹は市場性が高く生産量も多く、全県1位(全県の約4割)の産出額
4.善光寺をはじめとする歴史的遺産、温泉や国立公園、自然や伝統文化体験など豊かな観光資源に恵まれる
5.新幹線や高速道路による首都圏・北陸圏との近接性や都市部と自然豊かな地域の共存
地域の有するこうしたポテンシャルを最大限発揮できるよう、次の3つの重点政策を実施します。
まず1つ目、地域資源を生かして県経済をけん引する「活力あふれる」長野地域を作ります。
実現に向けた取り組み内容は以下5項目です。①地域の特長を生かした「ものづくり産業」の強化、②おいしい農産物の継承と魅力向上、競争力の強化、③地域産品の広域的な販路開拓、④地域の森林資源の保護・活用、⑤自然エネルギーの活用促進
次に2つ目、「人が集い、文化薫る」魅力ある長野地域を作ります。
実現に向けた取り組み内容は以下5項目です。①満足度の高い魅力ある観光地域づくり、②移住・二地域居住先として選ばれる環境づくり、③ふるさとを大切にする心の育成、④若者や高等教育機関と連携した地域づくり、⑤文化・スポーツに親しむ豊かな生活環境づくり
そして3つ目、地域一体となって「生活基盤の確保」を推進し、地域重点政策を下支えします。
実現に向けた取り組みは以下2項目です。①地域で安心して医療・介護を受けることのできる体制の構築、②安全・安心・快適な地域づくり
「下支え」とありますように、3つ目の重点政策を基盤とし、前2者の政策を発展させます。そして、地域連携プロジェクトは、この2つの重点政策に関連します。

果物、体験、交流を軸とした
広域連携

── プロジェクトは具体的にどのような内容になっていますか。


地域重点政策のうち「活力あふれる長野地域」と「人が集い、文化薫る長野地域」の両分野に関連し、地域において県が市町村や関係機関等と密接に連携して取り組む必要がある「地域連携プロジェクト」は、次の2つです。
1つ目が、「ながの果物語り」プロジェクトです。農商工観の連携等により、長野地域の特色である果樹を軸に地域活性化を推進します。具体的には、果物の魅力発信・稼げる技術習得支援等による「稼ぐ力」強化、果物を生かした新商品開発支援やインバウンド促進、高生産性団地の形成、果樹園等農村景観の魅力発信がその施策になります。これまで生産者や加工業者とバイヤーとの商談会、管内の果物を使った新しいスイーツ作りイベントなどを行いました。いずれも一過性のイベントで終わらせず、果物のブランド力向上や消費拡大、生産地への観光につなげることが目的です。
2つ目が、「体験」「交流」を軸とした「地域の特長を生かした広域観光」推進プロジェクトです。アクティビティ等の「体験」と地域の人々との心温まる「交流」を軸とした、長野地域ならではの観光を推進することで、観光満足度の向上を図り、再び訪れたいと思われる地域づくりを進めます。
観光は、県として特に力を入れている分野であり、県内10の地域振興局すべての地域計画にその振興を盛り込みました。ここ長野地域においては、「点や線の観光」に留まっている現状から、広域でこの地域に留まってもらう「面の観光」を促進します。プロジェクトの具体策として、「体験」と「交流」を軸としたメニューの磨き上げ、「体験」と「交流」を地域で担う人材の養成、国立公園等の地域の強みを生かした広域観光推進、地域住民や市町村等と幅広く協働した持続可能な観光推進、地域の観光力をのばす基盤整備を掲げています。

意欲的な皆様が多いのが
長野地域の強み

── 林局長は、この長野地域の可能性についてどうお感じになられていますか。


長野地域計画は、私が着任する以前にできましたが、改めてこの地域を見ますと、よく特長を捉えていると考えます。県下人口の4分の1を占める長野地域には、官公庁や民間事業所、高度医療機関、教育文化施設など高次都市機能が集積しています。各市町村を回らせていただいても、学校をはじめ公共施設が立派で、観光資源が豊かです。農工商業にしても、交通アクセスにしても、非常に高いポテンシャルを備えています。
長野地域に限らずどの地域においても、人口減少をいかに抑制し、活力を維持するかが最大の課題です。加藤長野市長も常々おっしゃっていますが、個々の自治体の枠にとらわれず、圏域全体として活力を維持し、少しでも高めていくことが求められます。
その解決に向けては、今日お話しした施策を地道に積み上げていくことが、一番だと思っております。各重点政策には数値化した達成目標があり、この達成のため1年毎の数値目標を設定しています。取り組みが実際の数値として表れるまでタイムラグがあるものもございますが、PDCAを回しながら着実に実施してまいります。
私は以前農政担当部に在籍した際に、この地域の農家の皆さまが、リスクを取って新しい品種にチャレンジされていることを知りました。農業に限らず、様々な産業に携わる皆さまが進取の精神をお持ちです。そんな気概ある皆さまのご意見ご要望を承り、良いアイデアを頂戴しながら、この地域計画を進めていけたらと思っております。

林 雅孝さんの横顔
東筑摩郡山形村生まれ。無趣味と謙遜されつつ、あえて好きなものとして挙げてくださったのは、冷やで飲む純米酒と美術展での絵画鑑賞。


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