2019年5月号

人きらっとひかる

健康な食、地域活性化、事業の“三方よし”
信州産ソルガムの販路拡大を目指して

 

AKEBONO 代表
信州産ソルガム普及促進協会 代表
長野市地域おこし協力隊(七二会地区担当)

井上 格さん

 

 グルテン・アレルゲンフリーの食材として、また健康をサポートする雑穀として、今、ソルガムが注目されています。井上格さんは七二会地区を担当する市の地域おこし協力隊員に着任し、地域でのソルガム栽培や収穫を支援する一方、魅力的な製品開発や販路拡大に向け積極的に活動しています。その取り組みからソルガムの可能性を探ります。

「全国創業スクール選手権」で
中小企業庁長官賞受賞

 経済産業省ならびに中小企業庁では、全国の若き創業者を発掘、支援し、日本の産業を盛り上げていく取り組みとして、毎年「全国創業スクール選手権」を開催しています。各地で展開する創業スクールを受講した起業家たちがエントリーし、練りに練ったビジネスプランを発表。審査によって日本一を決定します。
 今年2月に行われた第5回選手権で、全国10名のファイナリストの一人としてプレゼンテーションを行い、みごと中小企業庁長官賞に輝いたのが、当会議所主催の「ながの地域創業スクール」を受講した井上格さんです。
 井上さんは栃木県出身。商社勤務を経て、かねて志望していた起業家となるべく30歳で独立。妻の出身地であり、暮らしや仕事の環境として魅力を感じていた長野市に移住し、七二会地区の地域おこし協力隊員となりました。実は、長野市への移住も、七二会地区担当の協力隊員となったことも、今回受賞したビジネスプランのテーマ「信州産ソルガムの普及拡大による、人と地域の課題解決事業」と深い関わりがあります。

注目の穀物 ソルガム

首都圏の食への感度が高い人々を意識し、パッケージにも工夫を凝らした。手前は精穀前のソルガムの穂。
 ソルガムはイネ科の一年草穀物。七二会をはじめとする長野市周辺の中山間地では、古くから「モロコシ」「タカキビ」「コーリャン」などの名称で栽培されてきた雑穀です。
 「雑穀」というと、かつては「白米の代用」といったイメージを持つ人が多かったようですが、現在は一転。健康的な食をサポートする穀物として、豊かで健康的な食文化への関心が高い人々が熱いまなざしを注ぐ素材となっています。ことにソルガムはグルテン(小麦たんぱく)をはじめとするアレルギー物質を含まず、抗酸化作用の高いポリフェノールや神経伝達系アミノ酸の一種GABA(ギャバ)が豊富な健康食品です。
 井上さんがソルガムに着目したのは、2歳の長男の小麦アレルギーがきっかけでした。ソルガムは小麦の代用になる穀物だったのです。
 「しかし、流通しているソルガムのほぼすべてが外国産。幼い子に安心して食べさせることのできる国産のソルガムを流通させれば、自分の子だけでなくアレルギーに苦しむ多くの人に喜ばれると確信しました」。
 井上さんは、七二会で生産を支援するかたわら、研究者や食品の販売に詳しい人々らとともに「信州産ソルガム普及促進協会」を設立。信州大学地域戦略センターや食品販売店などと協働しながら、安心して食べられるソルガムの安定流通と販路拡大に向け積極的に活動しています。 

中山間地農業の活性化にも貢献

信州産ソルガムの可能性に関し共通の想いを持つ井上格さんと佐藤恵さん。販促アイディアの話題が尽きない。
 「地域の特産品という位置づけにとどまらず、信州の素晴らしい環境で育った魅力ある食品としてのブランド力を、信州産ソルガムは持っています」。都内の百貨店や、自然食品を扱う店舗などへの営業を通じ、井上さんは改めてその価値と可能性を実感しているといいます。
 今回、取材の場所を提供してくださった㈱清水製粉工場の佐藤恵さんも信州産ソルガムの普及に協力する一人。精穀、製粉、販売で協働するとともに、地元産穀物の優れた魅力を発信する自らの活動の一環として井上さんをサポートしています。
 小麦アレルギー、健康志向、そしてビーガン(動物性タンパク質を一切摂取しない菜食)に対応する食材として多様な方面から注目されている信州産ソルガム。さらなる普及により中山間地の農業振興に貢献していくことも、井上さんの目標です。
 
 

組 織 名 信州産ソルガム普及促進協会
創  立 2018(平成30)年
業務内容 信州産ソルガムの研究・開発、長野市七二会地区をはじめとする中山間地での栽培促進、精穀・製粉による製品化と販路拡大
所 在 地 050-5435-7233(長野市七二会支所 026-229-2311)
U R L https://www.sorghum-nagano.com/

1989(昭和64)年、栃木県出身。都内の大学院修了後、総合商社に就職。国内を含むアジア地域向けの海外営業職に従事。起業を決意し、30歳で独立。ソルガムに着目し、妻の出身地である長野市に拠点を移して七二会地区の地域おこし協力隊員に。ソルガムの栽培、製品化、販売、普及に取り組んでいる。屋号のAKEBONOは義父の会社であるあけぼの印刷㈱から。


ページ: 1 2 3