2018年3月号

View Point

松下 正樹(まつした まさき)

長野商工会議所副会頭
八十二銀行副頭取

昭和57年3月 慶應義塾大学法学部卒業、昭和57年4月 八十二銀行入行、平成16年2月 同長野南支店長、平成18年2月 同坂城支店長、平成20年6月 同企画部長、平成23年6月 同執行役員諏訪エリア諏訪支店長、平成25年6月 同常務執行役員東京営業部長、平成26年6月 同常務執行役員本店営業部長、平成27年6月 同常務取締役松本営業部長、平成29年6月 同取締役副頭取。

長野の活力を創造するため
  この地域に人を集め、外からの知見を
    商売に繋げる機会をつくります

 人口減少で産業も衰退し、地域の活力が失われると声高にいわれています。状況を打開するには、外からの知見を得ながら、新しい商売に繋げていく必要があります。長野商工会議所では、地域へ人を集め、ビジネスマッチングする機会をこれまで以上に提供していきます。八十二銀行も支援に努めます。会員の皆様におかれましては、積極的に商工会議所組織を活用し、チャンスを掴んでください。

会員は商工会議所を
「使っていく」スタンスで

── 長野商工会議所副会頭に就任されたご感想、今後の抱負についてお聞かせください。

松下
 大変な重責を仰せつかり、正直プレッシャーと緊張を感じております。商工会議所の事業には、これまで私が県内支店を歩くなかで、諏訪や松本で参画させていただきました。しかし、当会議所は県内で一番大きな商工会議所ですし、篠ノ井支所、松代支所も置いて、きめ細かな会員対応をしています。他地域の商工会議所との連携にも積極的です。とても重圧の掛かる組織からお声掛けいただいたことに驚いています。
 ただ、北村会頭をはじめ各副会頭は、この組織のベテランでいらっしゃいます。また、ありがたいことに、私が八十二銀行本店営業部長の頃よりお付き合いいただいている方々です。皆様のご指導をいただきながら、お役に立つことができればと願っています。
 ご承知のとおり、長野地域には製造業からサービス業まで幅広い業種が揃い、商工会議所の会員もバラエティに富んでいます。あらゆる業種の方が、商工会議所の会員であることに意義を見出せるよう、今後勉強して考えてまいります。また、その際、私が諏訪や松本で得た経験や人脈も生かせたら幸いに思います。
 一方、当会議所も会員の減少という課題を抱えています。これまでも会員増強には力を入れてきたものの、廃業により会員が減少するケースがやはり多いようです。こうして会員を辞めざるを得ない方々が、何とか廃業することなく事業を続けられる環境づくりでも、お手伝いをしたいという思いがあります。
 リーマンショック以降、会費を払っても相応のメリットが受けられないからと、商工会議所を退会される方もいらっしゃいました。ただ、商工会議所は、会費に応じたメリットが提供されるのを待つというより、会員が自ら進んで組織の中へ入り、自分に必要な情報を掴んだ方が、ずっと大きなメリットが得られる組織です。今会員になられている方も、これからなろうとされている方も、自分のために商工会議所を「使っていく」スタンスでいけば、人の輪もできますし、この地域の枠を越えた広い地域から知見を得られます。私としても、商工会議所がそういう組織であることをもっと知っていただく努力をしてまいります。

 

商売のチャンスを広げるには、
人を集めること

── 現在の長野地域の経済状況についてどうお考えですか。

松下
  今、地方で最も問題になっているのは、人がいなくなることです。人が減れば産業が衰退してしまうと、昨今声高にいわれています。人が集まらないと、商業活動も工業活動も成り立たないからです。だから、いろんな産業の方にこの地域へ来ていただくこと、多くの人が来て賑わうことがポイントになります。幸い長野市の場合は、信州大学があり、4月には4年制の県立大学もできます。若い方が増えることは、地域に活気をもたらします。さらに、芸術館もできましたしサッカー場もきれいになりました。こうしたインフラをどう活用していくかも、人を集めるという意味で重要になってきます。 
 また、これは地方一般についていえることですが、昔からその地域にいる人は、身の回りに囲いをつくり、「よそ者」や「旅の人」といって別格扱いしがちです。しかし、今後は外から来た方の知見も借りたり、他地域との連携をもっと進めたりしないと、地域は埋没してしまいます。そんな中、最近、山ノ内町ではいわゆるよそ者と呼ばれる人が、古い建物をリノベーションして店を始めています。同様に長野市の善光寺周辺でも、そうした起業が増えてきました。これも良い傾向かと思います。
 商売もこの狭いマーケットだけを対象にしていたのでは、限界が出てきます。囲いの中に閉じ籠もっていては、状況は変わりようがありません。今まで通用した商売の考え方・やり方は捨て、自分を縛る囲いを破って、いろんな人の意見を聞き、自ら変化していくことが求められています。
 そうした際、商工会議所の人脈もきっと役に立つはずです。
特に当会議所は、大企業から個人事業所まで幅広い層の会員で構成され、皆一緒に活動している非常に珍しい組織です。これを活用しない手はないと私は思います。
 商工会議所としては、会員の皆様の期待に応えられるように、人を寄せることが求められますが、当会議所はこれまでもいろんな形で交流事業やマッチング事業をほかに先駆けて実践してきました。こうした取り組みをさらに盛り上げていけたらと思っています。

 

事業承継支援や
ビジネスマッチングに努めます

── 中小企業が今抱える問題の解決に向けて、貴行はどんな役割を果たしていかれますか。

松下
 皆さんが抱える1番大きな問題は、やはり事業承継です。事業者が何とか事業を繋げる方策を探ったり、それができないにしても跡地をどう活用するか考えたりする際、相談に乗るお手伝いは商工会議所でもしています。そうした支援は、私ども金融機関にとっても大きな課題であると認識し、県の中小企業支援センターなどとの連携も含めて、積極的に対応していきます。
 また、昨今インターネットの発展に伴い、そこを抜きにした商売の可能性が語れなくなってきました。例えばキャッシュレス化の進展など決済方法も大きく変わろうとしています。特に小売業の皆様は、技術の進歩に対応したネットの活用を急ピッチで進める必要があるでしょう。もともと決済機能を担ってきた銀行として、本来の機能を高度化し、より使いやすいサービスを提供することも、私どもに与えられた宿題と感じています。
 もう1つ、直接金融とは関わりはありませんが、ビジネスに必要な情報提供にも努めます。先ほども、これからの商売には、いろんな人や地域との輪を広げ、外からの知見を得ることが大切だと申し上げました。弊行でも、東京や海外で食のイベントを開くなど、ビジネスマッチングの機会を提供し、地域企業の皆様の商売の間口を広げるお手伝いをしています。これからも、私どもの海外支店や地方銀行同士の広域的な連携を活用しながら、皆様のお役に立つよう努めます。
 金融とは、経済の血液のような存在です。ここが滞ることは絶対にあってはなりません。それゆえ私どもは、株式会社でありながら公的な使命を担う存在と肝に銘じています。ただ先に触れたとおり、お金を回す前提としてこの地域に人を集めなければなりません。それは「地域活力の創造」を長期経営計画のテーマに掲げる私どもの使命でもあります。今後もビジネスマッチングに努めながら、長野県経済の復権に寄与します。

 

松下 正樹さんの横顔
昔から山菜や茸を採りに野山を歩くことが好きだったが、昨年腰を痛めて以来出かけられずにいるとか。もう1つの趣味は、プラモデルづくり。


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