2018年2月号

View Point

加藤 久雄(かとう ひさお)

長野市長

昭和17年長野市生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業後、都内の企業に就職。昭和42年に株式会社本久入社、昭和48年常務取締役、昭和56年専務取締役、昭和58年本久ケーヨー株式会社代表取締役社長、昭和60年株式会社本久代表取締役社長、平成19年11月長野商工会議所会頭、平成25年11月長野市長、現在2期目。

1期4年間の経験をいかし
  皆様のご協力をいただきながら
    将来に不安のない長野市を築きます

 日本は今、少子高齢化、人口減少という右肩下がりの時代にあります。市の役割は、何をおいても市民の安全と生活を守ることです。2期目においても、機を見て的確な手を思い切って打ってまいります。将来にわたり不安のない長野市を築き、一人ひとりが幸せを実感できるよう、今後とも市民の皆様また経済界の皆様のご協力をいただきながら、全力で市政運営に邁進してまいります。

誰が何をするか
わかりやすい組織で成果を出す

── 長野市長2期目を迎えられた抱負を、1期目のことも振り返りながらお聞かせください。

加藤
 4年前の就任以来、今と将来の市民の幸せのために私は全力でやってまいりました。2期目の今も同じ気持ちです。
 日本は今、少子高齢化、人口減少という右肩下がりの時代にあります。下りのエスカレーターに反対向きで乗っているようなもので、昨日までと同じことをしていたら、状況は悪くなるばかりです。それゆえこれまでの4年間で私は、機を見て思い切った手を打ってきました。ただ、それができたのも、前市長までのレガシーがあればこそです。塚田市長時代には新幹線が敷かれ、五輪施設ができただけでなく、市民にボランティア精神が培われました。鷲澤市長時代にも、10大プロジェクトとして素晴らしいハードをつくっていただきました。私の役目は、両市長の築いたものを基礎として、ここへどんどんソフトを入れることです。
 その一歩として、今長野市が抱えるさまざまな課題に対し、誰が何をするか目的を明確にし、成果に責任が持てるよう、組織を整理し担当部署のネーミングをわかりやすくしました。
 たとえばこども未来部です。これまで保健福祉部と教育委員会に分かれていた子どもに関わる機能を1つにまとめ、結婚、妊娠、出産、育児にいたるまで切れ目のないきめ細かな支援体制を整えました。新たに設置したマリッジサポート課では、「夢先案内人」と銘打ったいわゆるお節介おじさん・おばさんの育成や、長野市結婚応援ポータルサイト「ご縁ながの・ココカラ」の開設など、結婚支援に積極的に取り組んでいます。加えて人口増に向け、人口増推進課を設け、ここを中心に組織に横串を入れ、すべての部局が課題に対応できる体制を整えました。
 文化芸術、スポーツの振興については、教育委員会にあった機能を市長部局へ移し、文化スポーツ振興部の中で、文化芸術とスポーツを地域活性化につなげ、市民の連帯感やふるさとへの想いの醸成を図っています。
 農業も長野市にとって非常に重要な産業でありながら、耕作放棄地問題とともに、鳥獣被害が深刻な問題になっています。そこでこの問題に対しては、いのしか対策課を設けました。

 

市民の安全と生活を守るのが
市の役割の基本

── 人口減少などに対し、今や将来の暮らしを心配する市民も多いと思います。

加藤
市の役割は、市民の安全と生活を守ることが基本です。市の予算に占める社会保障費の割合は、20年前の4倍近く、10年前のおよそ2倍に伸びています。一方、長野県毎月人口異動調査によりますと、昨年10月1日現在、長野市の15歳人口が3、635人、0歳人口が2、774人と、この間を比較しても861人の減少となっています。高齢化の流れも、少子化の流れも止まりません。高齢化の流れも、少子化の流れも止まりません。今、的確な手を打って、将来にわたり不安のない長野市を築かねばなりません。
 まずは人口増に向けて、市では国の働き方改革と軸を一にし、子育てしながら安心して働ける環境の整備に努めます。

 また、県外への人材流出を止めることにも力を入れます。大学進学者の8割が県外の大学に進学し、うち6割が帰ってきません。彼らに対し、外で学んだことを地元へ持ち帰り、ふるさとを元気にしてもらえるように、市では「おしごとながの」「ナガノのシゴト博」などを通じて、長野地域にたくさんある優良企業をPRし、学生と企業をマッチングする場を設けていきます。
 次に、社会保障費を抑制するため、市民の健康づくりにも積極的に取り組みます。たとえば、生活習慣病を予防し、100歳まで健康でいられるよう、先ごろ「ながのベジライフ宣言」をしました。。また、高齢者には自分の健康維持が、子や孫のためでもあることをご理解いただき、いつまでも元気でいながら、その知恵や経験を社会で活かしていただきたい。市はその環境づくりもします。
 児童福祉に目を向けますと、昨年発表された子どもの貧困率は、前回の調査から改善したものの、依然、経済的に厳しいひとり親家庭も多くあります。貧困の連鎖を断ち切るべく、ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援や、親の就職支援に力を入れています。
 市民の安全と生活を守るため、災害対策も欠かせません。お住まいの地域における災害発生のリスクと、災害が発生した際の避難経路、手順などについて、事前に把握いただけるよう努めます。
 公共交通については、おでかけパスポートが持続可能な事業となるよう利用促進をお願いするとともに、中山間地の交通を守ることも重要な課題です。買い物難民支援も含め、現状のニーズに即した対応をします。渋滞解消も順次進めます。

 

商工会議所をはじめ
経済界との連携も強化して

── 街の活性化や産業振興についてはいかがですか。

加藤
 市の顔でもある中心市街地活性化では、住民主体の取り組みによる活性化策を応援するとともに、次の善光寺御開帳に向けては、昭和通り以南の中央通りが今年4月に県から市へ移管されることから、長野駅から善光寺まで、善光寺表参道として歩いて楽しめる、歩行者優先の道づくりをします。ほかにも県庁緑町線の整備、セントラルスクゥエアのイベント広場としての活用促進、信濃美術館や善光寺と一体となるような城山公園再整備をします。もんぜんぷら座の活用についても、耐震化も含め市民の皆様のご意見を伺いながら進めます。
 今年4月、長野市に県立大学が開校することも、大きなチャンスです。後町小学校跡地には寮ができて若い人が増えるでしょう。再来年に向けては、長野保健医療大学の看護学部が川中島町今井原に、JR長野駅東口には清泉女学院大学の看護学部の設置が進められています。いずれも長野市の活性化に向けた基盤になっていくと思います。また、東町、西町、横町などを中心とする一帯では、100軒以上の古民家を若い人がビジネスに活用しています。ありがたいことにこれも街の活性化にとって、大きな力になりつつあります。
 産業振興については、農業では農地の集約による大規模化、若い世代の新規就農や定年帰農、企業の参入を進めます。観光では、松代の大室古墳群や象山地下壕、川中島古戦場を活かす取り組み、戸隠・飯綱ではフォレストアドベンチャーなど、グリーンシーズンのてこ入れをします。インバウンド増に向け、受け入れ環境整備などにもより力を入れていきます。
 今日お話しした市の施策を進めるうえで、商工会議所をはじめ経済界との連携は欠かせません。「ナガノのシゴト博」にも多大なご協力をいただいたように、今後とも官民の連携強化に努めます。

 

加藤 久雄さんの横顔
趣味は「人の健康にお節介すること」。自身も、登庁日の朝はジョギングで自宅から通い、庁舎に着くと8階まで階段を上って、そこで88回スクワットするのがルーティンになっている。


ページ: 1 2 3