2018年1月号

View Point

北村 正博(きたむら まさひろ)

長野商工会議所会頭

昭和22年、長野市生まれ。長野工業高等学校電気科卒業後、市内電子メーカーを経て、昭和45年に長野ソフトウェア・サービス株式会社を設立。昭和47年に社名を株式会社システムリース、平成2年に株式会社システックスとし現在に至る。平成25年11月より長野商工会議所会頭。平成26年には株式会社信州フードラボを設立。

長会員がどんなことでも安心して相談でき
 皆様の事業をしっかりサポートできる
  より開かれ、信頼のおける長野商工会議所に

 中心市街地の活性化や人口減少対策、事業承継問題など、取り組むべき課題が数多くありますが、会員の皆様のために長野商工会議所は何ができるか、今年もこれを大前提に考え事業を推進してまいります。
 当会議所は、会員の皆様に開かれた組織でなければなりません。会員がどんなことでも安心して相談でき、事業を継続・発展するためのサポートがしっかりできる信頼のおける組織でありたいと思います。

人口減少対策では子どもの
長野ファンを増やす

── 年頭にあたり、今年どんな事業に力を入れていくか抱負をお聞かせください。

北村
 長野商工会議所で継続的に取り組んでいる課題について、順を追ってお話しします。
 まず権堂の再生について。これは、中心市街地全体に賑わいを取り戻すために、何が何でもやっていきたいことです。大型ショッピングセンターへの建て替えが計画されたイトーヨーカドーを核に再開発を進めたいと考えていましたが、同社の社内事情もあり、現在このプランは休止状態にあります。権堂の皆さんの大半の方が期待していることでもあり、我々は今も強くイトーヨーカドーに要望をしているところです。
 次に人口減少対策について。人口減少に歯止めをかけるためには長野ファンを増やそうと、昨年までにNAGANO検定を5回、子ども向け検定を2回開催しました。子ども向け検定に力を入れているのは、進学などでいったん長野を離れても、幼いときにふるさとの良さを知っていれば、将来戻ってもらえると信じているからです。
 また、長野へのUターン率を高めるには、子どもたちに地場の産業や企業を知ってもらうことも大切です。昨年の産業フェアには地元企業を知ってもらうため、高校生に加え、課外学習で小学校5年生に来場してもらいました。今年は教育委員会にもお願いし、さらに広く小中学生の参加を促します。
 子どもたち向けには、もうひとつ構想があります。実は昨年11月に旭川を訪れ、子ども向けプログラミングコンテストを視察しました。地元高専や工業高校、企業の支援もあり、たいへんな盛り上がりでした。これをぜひ長野へ導入したいのです。当会議所の情報文化部会が中心となり、子どもたちにプログラミング体験などをしてもらい、ゲーム的なプログラムを作成してコンテストを開催します。長野市に50数社あるIT関連企業にもご協力いただくことで、長野市のソフト産業へ人を呼ぶ動きにもなるはずです。
 もうひとつ、マリッジサポートも人口減少対策の一環です。ただ、成約したカップルがでてきているものの、マッチングが難しいこと、登録数が伸びないことも事実です。こちらについては、今後方法を検討しながら継続していきます。

 

事業承継問題には
日本商工会議所(以下日商)とも
連携して取り組む

── 事業承継や会員支援事業についてはいかがですか。

北村
事業承継は非常に悩ましい問題です。経営者の皆さんが、社員や会社のためと思って事業に励むほど会社の評価額は上がり、事業承継の際に相続税や贈与税の負担が増します。上場会社なら株式の売却をその資金に充てればよいですが、商工会議所の会員企業の大半は非上場です。会社の業績をよくして法人税をしっかり払っているのに、さらに事業承継で大きな負担を負わねばならない。頑張っている経営者が報われないのには矛盾を感じます。これでは、経営者と後継者の意欲を削ぎ、起業家の芽も摘みます。このままいけば日本では新しい製品やサービスも生まれにくくなり、産業のあらゆる分野で国際競争力を失うことになるでしょう。
 
 この問題には、日商でも真剣に取り組んでいます。当会議所でも会員の皆様のご要望を受け、県内の他商工会議所にお声掛けして県商工会議所連合会を通じて与党に事業承継時の税負担の減免を要望しました。また昨年日商では事業承継税制の抜本改革を求める決起大会を行いました。今後も日商と連携して活動していきます。
 
 次に広域専門指導員による中小企業支援についてです。3年前から県より助成金をいただき、県連に2名、県内5エリアに各2名の計12名を配置し、効果も徐々に上がっています。この先、よりきめ細かな対応をすべく、県連に2名、18商工会議所に1名ずつ計20名まで増員する予定でしたが、現在の助成金の使い勝手がよろしくありません。そこで増員はいったん休み、現在助成金の仕組みについて改善を県へ要望しているところです。
 
 商工会議所は、会員の皆様に開かれた組織でなければなりません。会員がどんなことでも安心して相談でき、事業を継続するサポートがしっかりできる信頼のおける組織でありたいと思います。まず我々が会員企業の想いを的確に把握すること。そして寄せられた相談や要望を、きちんと皆様へフィードバックすること。そうすることによって商工会議所機能の強化が図られ、会員の拡大にもつながります。

 

県内 18商工会議所の会頭で
地域の課題を共有

── そのほかに、重視されている課題にはどんなものがありますか。

北村
 冒頭でもお話しした産業フェアについてですが、昨年は初めて当会議所がメインの事務局となり、名称も「産業フェアin善光寺」から「産業フェアin信州」へと変更しました。ありがたいことに中野、飯山、富山、高岡からも出展いただき、来場者数も増えました。今後さらに新幹線沿線のもっと広い範囲で出展を募ることで、人や技術の交流を盛んにし、販路の拡大に結びつけていきます。
 えびす講煙火大会は昨年112回を迎え、1万3千発を超える花火を打ち上げることができました。これもご協賛いただいた皆様、活動に協力していただいた皆様、多くのボランティアの皆様のおかげです。今後も晩秋の長野の風物詩として続けていくには、警備や保険など安全に関する費用確保が欠かせません。開催費用の負担のあり方をどうしていくか、検討する時期にきているかもしれません。
 篠ノ井会館の建設も今年以降の課題です。ご承知の通り、川中島幹線の拡幅工事は、篠ノ井支所の会館の一部にかかります。土地の売却契約を締結することが昨年12月の常議員会で承認を得て、収容に伴う篠ノ井支所の土地・建物の補償契約を長野市と締結いたしました。どんな建物をつくるかはこれから検討することになります。
 続いて、広域連携の推進について。松本、上越の皆さんとは政治、経済の両面で非常に良いお付き合いをさせていただいています。また、県内 18商工会議所の連携も進めようと、昨年初めて会頭による視察研修旅行を実施しました。こうした機会を通じて会頭同士の絆を強め、地域の課題を持ち寄り、共有し、みんなの総意で長野県の経済の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 スポーツの振興では、AC長野パルセイロをもっと応援していきます。チームにもこれに見合う試合をしてもらいたいと望んでいます。また、今年は平昌五輪の年でもあり、長野五輪開催から20年目を迎えます。一昨年のリオ五輪でも、長野県出身選手が活躍しました。アスリートの皆さんが成長できる土壌づくりにも協力していきたいと思います。
 最後に教育問題です。当会議所内に教育問題特別委員会をつくり、子どもたちが長野市に誇りをもって活躍できるような人間力を醸成する活動に取り組んできました。これについては、長期的な視点を持って続けていきます。
 いずれにしましても、会員の皆様のために当会議所は何ができるか、今年もこれを大前提に考え事業を推進していきます。

 

北村 正博会頭の横顔
「動かなければ何も始まらないし、何も得られないから」と、自分の足でとにかく歩き現場に出向くことを大切にしている。「知恵のない者は汗をかけ」が信条。


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