2017年12月号

View Point

加藤 誠(かとう まこと)

長野商工会議所建設工業部会長
中部建設工業株式会社代表取締役

昭和56年3月 慶應義塾大学法学部法律学科卒業。昭和56年4月 伊藤忠商事㈱入社。平成6年3月 同社退社。平成6年4月 中部建設工業㈱入社 取締役副社長。平成15年9月 同社代表取締役現在に至る。

長野商工会議所の機能を十全に活用しながら
  今後も社会インフラの守り手としての
    建設業界の使命を果たしていきます

 建設工業部会の会員さんには、地域における社会インフラの守り手としての自負があります。しかし、業界の地域間格差、大手と零細の規模の格差が大きくなっている今、大変な思いをしている企業が数多くあります。当部会では、今後も会員企業が長野地域でその使命を果たせるように、長野商工会議所による支援事業、各業種団体との連携強化、婚活支援などに力を入れていきます。

建設部会長として取り組む
3つのこと

── 長野商工会議所建設工業部会長に就任されての抱負をお聞かせください。

加藤
 建設工業部会には、建設施工を中心にその関連業種の設計、電気、管工事など沢山の会員がいらっしゃいます。今回のご指名は突然のことで、本当にびっくりしました。いろんな方から「やってくれ」と脅されて(笑)お引き受けしましたが、こうなれば腹をくくって会員事業者のために一生懸命やっていきたいと思っています。
 さて、地域経済が盛り上がりを欠くなか、建設業界も大変な思いをしている企業が多く、また業界特有のつらい事情もあります。公共工事の価格は、業者側に価格決定権はなく、物価調査会の『建物物価』、経済調査会の『積算資料』などに示された資材や工事の値段の積み上げを100として、これより高く落札できない仕組みになっています。例えば米国では、仕事量に対し人手が足りなかったり、小さな仕事で儲からないが緊急を要したりする場合、基準値の100%以上で落札するケースがあります。日本にはそうした例外はなく、しかも県内建設業は田中県政で悪玉扱いされ、常軌を逸した入札制度が持ち込まれた結果、落札率が50%台にまで下がった時期もありました。現在ようやく87・5〜92・5%程度まで回復しましたが、健全な経営のためには、もっと上げたいというのが現実です。
 また、東京オリンピックの準備のため人手不足や労務単価、材料費の高騰が進んでいます。地方で十分な建設需要があれば、受注価格も同時に上がるのでコスト増にも対応できますが、今需要があるのは東京なので、地方はコストばかりが上昇する状況です。地域間格差、大手と中小の格差は、非常に大きくなっています。
 こうしたなか私は建設工業部会長として、3つのことをやっていきたいと思っています。1つ目は、会員のための支援事業。2つ目は、建設業協会など各建設関連団体や関連協会との連携を深めて、協力して課題解決に取り組むこと。3つ目は婚活支援です。これらを大きな目標として部会運営をやっていきたいと思っています。

 

商工会議所の機能を
もっと利用すべき

── 加藤部会長が目標に挙げた3つのテーマについて、それぞれ詳しくお話しいただけますか。

加藤
まず会員のための支援事業についてです。商工会議所は公的な責任もある本当にいい組織です。会員はこの組織をもっと有効に活用すべきだと思います。例えば独自に経営コンサルを頼むとそれなりの費用が掛かりますが、商工会議所の経営指導なら安い会費で同様な使い方ができます。素晴らしいスタッフが揃っており、課題が専門的なものになれば適切なコンサルも紹介してくれます。また時勢に合わせた各種講習会や著名人の講演会などを開催しており、社員の資格取得、企業の法令対応、ビジネスの拡大、等々、様々な経営強化・改善の機会が発信されています。こうした商工会議所が持つ機能をもっと経営者の皆様に理解して頂き、商工会議所をもっと活用してもらえるよう周知していくことが、延いては会員の事業支援につながると考えています。
 2つ目は、各関係団体との連携です。業界に起きている問題解決などは1社、個人の力ではどうしようもないことが沢山あります。そういった要望については、皆様の声を商工会議所としてまとめて、陳情していきたいと考えています。部会員は各々その業種の団体や協会に属していますが、業種別の組織は実際そうでなくても、我田引水的な集まりだと見られがちです。従って同じことを陳情するにも、商工会議所の名前、あるいは連名で実施することで公平性・中立性が担保されます。こうした意味でも、商工会議所をうまく活用すべきです。
 市建設業協会では、緊急時出動組織表をつくり24時間365日災害に備えています。昨今、気候変動により気象が凶暴化していますが、社会インフラの守り手として私たちがどんな役割を果たしているか、世の中にはあまり知られていません。部会内の他業種でも同様でしょう。商工会議所はこうした取り組みを踏まえたうえで、この業界の地位向上のためにも、個別団体を縁の下からサポートしていきたいと考えております。
 3つ目の婚活支援は、北村会頭肝いりの事業でもあります。「結婚」の選択が正しく、「未婚」は間違いだ、などと言うつもりは毛頭ありません。ただ、結婚しない男女が増えていることは事実です。本人にとって勿体ないことですし、社会にとっても好ましくないことと感じています。当部会では商工会議所にお願いして、今年7月23日初めて建設男子優先のマリッジ・マッチングをやりました。そうしたところ、男女40名ずつが集まり、13組のカップルができました。彼らが最終的に結婚に結びつくかは未知数です。しかし、これまで臆病だったり面倒臭がったりしていた人に、こうした出会いの場に触れてもらうことで、結婚というものを少しでも意識してもらえたら、その後の動きも変わってくる気がします。
 建設男子には口ベタな人が多いようです。男社会で女性との出会いは少なく、仕事で疲れていれば巡り会いや結婚に対して積極的になれない人も沢山いらっしゃるでしょう。生真面目で頼りがいのある、そんな建設男子が好みだという女性も沢山いるはずですから、マリッジ・マッチングのような活動は今後もぜひ進めていきます。

 

建造物の長寿命化に取り組み
地域に貢献

── 御社の地域における役割はどこにあるとお考えですか。

加藤
 先ほども申し上げましたが、これは当社に限ったことではなく、建設業に携わる者として地域インフラを守る使命があると考えます。
 実は当社は、長野県で初めてアスファルト舗装を始めた会社です。太平洋戦争で日本国中のインフラがずたずたになった折、そこから復興をしていく大きな柱が、木橋から鉄橋への架け替えと道路の舗装化でした。
先々代はここへ目を付け、アスファルト舗装を事業化したのです。当時、市内全道路の7割が当社による舗装だったと聞いております。
 今後建設業の仕事は、公共も民間も新設から維持へと、その中心が移っていきます。当社も色々な模索をするなかで、ポリウレアコーティング事業を始めました。コンクリートや鉄、木材など様々な素材へ、ポリウレア樹脂を吹き付けるだけで、耐衝撃、耐摩耗、防水、防蝕といった効果が得られ、建物だけでなく橋脚やトンネルなどにも幅広く活用できると見込まれます。当社はこの事業を通じて構造物の長寿命化に貢献し、これからも地域の社会インフラの守り手として使命を果たします。

 

加藤 誠さんの横顔
学生時代からゴルフに親しむ。また、お子様が始めたのをきっかけに自身もスキーを再開するなど、身体を動かすのが好きだと話す。


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