2017年3月号

View Point

水野 雅義(みずの まさよし)

長野商工会議所副会頭
ホクト株式会社代表取締役社長

昭和40年9月生まれ。青山学院大学経営学部卒業。平成2年ホクト産業株式会社(現ホクト株式会社)入社。平成7年常務取締役九州支店長。平成12年専務取締役管理本部長。平成17年4月専務取締役。同年6月取締役副社長。平成18年代表取締役社長就任。現在に至る。

想いのある人の声に耳を傾け
 たとえ小さなアイデアでも
  チーム全員で育てていく組織づくり

 副会頭という重責を私が担えるか不安ですが、私の若さに期待されているなら、商工会議所活動に若い会員の声を反映させることに努めてまいります。
 変化への対応が迫られる時代に生き残り、さらに成長するには、想いのある人の声に耳を傾け、たとえ小さなアイデアでも、その芽を摘むことなくチーム全員で育てていくことが、商工会議所活動でも企業経営でも大切になるかと思います。

若い会員の意見を
反映させる取り組みを

── 水野社長は、このたび長野商工会議所副会頭に就任されました。抱負をお聞かせください。

水野
お話を頂戴したときは、たいへん驚きました。「私で本当にいいの」というのが正直なところです。各地の商工会議所で新しい役員が発表されるのを新聞で拝見したら、私以外に50代の方はお一人しかいません。私みたいな者に務まるのかなと思っていますし、いろんな方から「大変なお立場になりましたね」とお声を掛けられても、何が大変なのか実感が湧かない状況です。
 実は当会議所青年部の長野支部長をまだやっておりまして、菅沼会長のもと松代支部、篠ノ井支部、長野支部を統合し、一体感のある組織にすべく改革の渦中にあります。3月に迎える任期には支部統合が実現し、この改革の一助となればと思っています。
 そんなこともあり、副会頭への就任を請われた際も、北村会頭から「若い人を」とすごく言われました。昔と比べたら51歳の私も「若い人」なのかもしれません。要請をいただいた理由のひとつが「若さ」なら、これから若い会員の意見を少しでも商工会議所活動全体に反映させることが、私の務めになると考えています。

 

教育に関する親の役割、
企業の役割

── 今この地域が抱える問題について、どんなことに関心をお持ちですか。

水野
 たとえば教育問題です。今回のお話をいただく前に、会頭から教育問題特別委員会へ入るよう言われました。私がPTA会長や市PTA連合会長をやっていたこともあり、親と地域事業主という2つの視点をもって、教育問題にどう取り組むべきか検討しろとのことでした。委員会では、「長野市大人と子どもの心得八か条」の推進をはじめ地域全体の公共心、道徳心向上に関する事業、保護者が学校行事などに参加しやすい職場環境づくり、学校と地域教育の関係強化に関する調査・研究などを進めてきました。
 少子化の影響なのか、甘やかされて育っている子どもが多いです。また、子も親も自分中心になっていると感じます。子どもは学校の先生が育てるものではなく、親が親の立場として育てるものです。自立した子どもを育てると目標を掲げても、それを親が自覚していないとうまくいきません。子どものことを親が知らなすぎるのです。スマホの向こうの相手とつながっていても、目の前の相手のことは無関心なのでしょうか。
 企業も変わらねばなりません。社員が子どもの参観日に行きやすい環境をつくるなど、比較的容易にできることもあります。若い人に活躍してもらって地域を元気にするというなら、今の子育て世代を積極的に支援すべきです。
 子どもの教育問題からは離れますが、若い世代との接し方も、昔と変わってきています。たとえば今の新入社員に「仕事は俺の背中を見て盗め」と言っても通じません。先輩社員がトレーナーになり、手取り足取り教えなくてはいけない。彼らは理不尽なことはやらない一方、なぜこれをやるのか腹に落ちるとすごく真剣に取り組みます。時代とともに若者のあり方が変化していることを理解する必要がありそうです。やるべきことを丁寧に伝えることで、彼らは企業にとって大きな戦力になります。また、今の若者は女性の方が男性より自立しています。彼女たちの意欲を後押しする仕組みづくりも今後一層大切になってきます。

 

「今のまま」から
変わってみることも必要

── 教育問題の他に長野の状況について気に懸けていることはありますか。

水野
 地方創生が叫ばれますが、皆さん実感されていないのではないですか。地方が元気になれば、地方の企業も元気になること、今のままではいけないこと、それは誰しも分かっているのに、どうしたらいいか悩んでいると思います。過日JRさんへの陳情に同席させていただいたのですが、私自身知らないことがずいぶんあると感じました。
 私も長野を元気にする一助となるため、今後具体的に何ができるか考えていきます。たとえば、長野のいいところをもっとアピールすることもその一つだと思います。長野は自然が豊かで空気や水が良いことに加え、災害が少ないから住みやすいと言う人がいます。他所から来た人は評価しているのに、ずっと長野に住んでいる私たちが気付かない魅力がほかにもあるはずです。そうしたよさを丹念に掘り起こし発信していくことは必要だと考えます。
 先ほども申しましたが、「若い人」の意見を取り上げることも、地域を元気にするきっかけになるでしょう。長野びんずるをはじめさまざまな行事で、マンネリ化を危惧する声があります。今のままでいいんだという気持ちでやっていると、問題に気付くのが遅れ、後になって大きなものを失いかねません。長野を良くしたいと願う若い人たちは結構いますので、彼らの声を上げマンネリから動いていくことも必要でしょう。具体的な話ができなくて恐縮ですが、長今の時代のいいところを活かしながら、変わっていけばいいのです。想いのある若い人が声を上げる場が増えていけば、少しずつ変わっていくと思います。

 

ちょっとしたアイデアを
摘まずに育てる

── 地域の中小企業が抱える課題についてどうお考えですか。

水野
 業種による違いもあり、私が一概に論じることはできません。たとえば当社のように、バイイング・パワーの強い環境でビジネスする企業なら、生き残るために徹底的なコストカットをするか、それとも商品の差別化を図るか、2つの道で選択を迫られます。ほかの業種ではまた別の悩みがあるでしょう。だから、当会議所としてはまず、さまざまな業種の方々の意見を一つずつ汲み取り、整理してみることが大切になると思います。
 また、ビジネスの環境が変化しても、自ら転換し違う分野に進むことで伸びていった企業もあります。たとえちょっとしたアイデアでも、その芽を摘むことなく育てることで、企業が変われる可能性もあるのです。そのお手伝いをすることも、当会議所の役割だと考えます。
 同じことを続けていたら環境の変化についていけず、いずれ取り返しのつかない事態を招くのは企業も同じです。当社も今、危機感をもって組織の意識改革に取り組んでいます。一人ひとりが自分の置かれている役割を理解し、当事者としてやるべきことを、たとえ小さなアイデアでもいいから気兼ねなく発信できる土壌があり、それをチーム全員で掘り下げることで、変化へのうねりを生むような会社になればと願っています。

水野 雅義さんの横顔
趣味はスポーツ観戦。AC長野パルセイロのスポンサーであり、レディースの選手が会社に所属していることから、ホームの試合にはよく足を運ぶ。


ページ: 1 2 3