2017年2月号

View Point

伊藤 隆三(いとう りゅうぞう)

長野商工会議所副会頭
株式会社守谷商会代表取締役社長

昭和23年11月生まれ。早稲田大学法学部卒業。昭和47年㈱守谷商会入社。 平成15年常務取締役東京支店長就任。平成18年代表取締役社長就任。現在に至る。長野労働基準協会副会長、長野市建設業協会会長なども務める。

経済の地域間格差を打破するためにも長野商工会議所会員に資する活動を
 しっかり盛り上げていきます

 長野商工会議所副会頭に就任し、北村会頭の方針・施策を実現するとともに、商工業者が元気になる事業の継続・推進、地域に根ざした経済団体として力の発揮、委員会・部会活動の充実に取り組んでいきます。大都市圏と異なり、地域経済を取り巻く環境は厳しいですが、販路開拓や安定した事業継続など、中小企業が抱える問題に一つ一つ向き合っていきます。

副会頭として取り組む
4つの課題

── 伊藤社長は、このたび長野商工会議所副会頭に就任されました。抱負をお聞かせください。

伊藤
 北村会頭は非常に見識も高く、地域の経済や長野商工会議所会員の状況をよく把握されているので、まずは地会頭の方針・施策を実現する一助となるべく努めていきます。
 2つ目は、長野の皆さんが誇りを持てる事業、そして商工業者の皆さんの元気が出る事業の継続と推進に皆さんと共に尽くしたいと思います。たとえば、昨年も盛大にできた長野びんずるや長野えびす講煙火大会などはもとより、地域の活性化、松代や戸隠の魅力発信にも力を入れます。さらに、UFOものづくりサロンについても、大学や高専、行政の力をいただきながら、一層充実したかたちへ盛り上げていきます。
 3つ目は、当会議所の団体としての力をより発揮することです。利害関係のある機関や団体などに対し、会員一人で、あるいはバラバラに想いや要望を伝えることは難しいです。その点、当会議所は規模が大きく、組織としてしっかり根づいていますから、その力を活かし、会員にとって有益な活動をしていきます。
 もう1つは、委員会・部会の下支えに力を入れてまいりたいです。当会議所の事業の大きな部分を担っている委員会・部会へ、できるだけたくさんの会員の皆さんに参画いただくことで、より活発な活動につなげていきます。正副委員長・部会長はもとより、当会議所職員の皆さんにもご苦労お掛けしますが、共に取り組んでまいりたいです。
 今お話しした4つのことを、北村会頭はじめ先輩の副会頭、会員の皆様のご指導をいただきながら、努めてまいりたいと考えております。

 

地域間格差を感じる
現在の経済状況

── 今の長野地域の経済状況、中小企業が抱える課題についてどうお考えですか。

伊藤
 過日、日銀松本支店長とお話しする機会がありました。日銀によりますと、長野県の雇用者所得は全国平均を下回っており、特に賞与が低い水準にあるとのことです。私としては、景気の先行きがいまひとつはっきりせず、経済が不活発で停滞感が強いように感じます。大都市圏は活発なのですが、長野地域を含めた地方の経済状況は、どちらかといえば厳しい状況にあります。
 私どもが携わる建設業を切り口に捉えてみると、一部で民間の宿泊施設や工場など規模の大きな仕事が動いているものの、安倍政権になってからこの3年で、昨年が一番厳しかったと思います。公共事業予算はここ3年でほぼ変わっていません。だいたい6兆円ぐらいで、補正がその1割内外です。しかしながら、その予算の振り分け先が大都市圏中心となり、公共事業の地域間格差は非常に大きくなっています。
 これは民間の案件も同様です。設備計画が上がっていても、景気の足取りが重いため、計画に対する実施率は3割を多少超えた程度です。しかもその大半が大都市圏に偏っています。こうした状況を鑑みますと、経済一般の状況と変わらず、建設業も厳しい環境にあります。
 現在、国も地方再生をスローガンに掲げていますので、今後この実行性をいかに高めていくかが問われてくるのではないでしょうか。
 一方、中小企業が抱える課題について、私にたいそうなことは申し上げられませんが、長野県には規模が大きくなくとも非常に優れた製品や技術を持った企業がたくさんあるものの、販売先の確保という面では弱いと感じています。大手企業なら自前で販路を開拓する力があり、現に成果を上げているところはたくさんあります。しかしながら、いい製品や技術を持ちながら、規模が大きくないために販路開拓の余力がないところが多いのではないでしょうか。当会議所としても、そのお手伝いができればと考えています。
 支援にあたっては、当事者である事業者の皆さんの意見もお聞きしなければなりませんし、商工会議所単独でできないことは、行政も含めた他の団体と連携することが必要です。また、こうした活動に先進的に取り組んでいる商工会議所や団体の活動を勉強させていただいて、当地にふさわしい制度や仕組みを組み立てていくことも大切だと考えます。

 

NEDOと共同で
環境技術の開発に取り組む

── 守谷商会は、今後地域のなかでどのような役割を担っていかれますか。

伊藤
 建設業者としての大きな課題は、優良な社会資本の整備に力を尽くすことです。地域の皆さんの安全・安心を確保し、より快適に楽しい生活を送っていただくために、自分たちが責務を果たさねばならないと、私は日ごろから社内や業界の会合などでお話ししています。
 これを前提として、当社が力を入れているものの一つが、環境技術の開発です。現在、『地下水循環型地中採熱システム』の研究に取り組んでおり、国立研究開発法人NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究テーマにも採択されました。このシステムは、発電出力が非常に安定していて、一般家庭でも採用できるようコストを小さくするべく研究を進めております。社内での実証実験も順調に進み、間もなく完成の予定です。1日でも早く製品化し、広めていきたいと考えています。
 また、当社はISO9001と同14001の認証取得をしていますが、昨年5月に2つの要領書を1本化しました。品質と環境対応の両立がその目的で、品質をきちんと確保することが、環境への負荷を最小化することにもなる業務フローを構築し、これを実施しています。
 最後に、私が会長を務める長野市建設業協会について触れさせてください。同協会は、市民に資する想いの建設業者が110社ほど集まった団体で、大半が当会議所の会員を兼ねています。メンバーは、ひとたび水害・地震や豪雪などの災害が発生した際には、自分の仕事をさし置いても、災害対応にあたるべく、長野市内で各々の担当範囲を定めています。ただ、その想いを1つに結集したときの力は素晴らしいものの、こうした活動を続けるには、事業者自体の経営が健全でなければなりません。長野市建設業協会として、会員の建設事業者が健全な事業を継続できるように力を尽くしていきます。
 長野市では、ここ数年の間に規模の大きな投資が続き、それらは昨年度で一段落しました。しかし、市内にはまだまだ処置すべきインフラ課題が残っています。そうしたところに継続的な予算付けをしていただくよう、協会として要望しております。先ほどもお話ししたとおり、協会会員のほとんどが当会議所会員を兼ねていますので、こうした活動が当会議所を盛り上げることにもなり、また市民生活の安全・安心にも資すると考えています。

伊藤 隆三さんの横顔
本を読むのが好きで、歴史物から経済関係まで幅広く手を伸ばす。最近は意識して古典をしっかり読み込むようにしている。


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