2016年12月号

View Point

平山 静(ひらやま しずか)

財務省関東財務局長野財務事務所長

昭和35年生まれ。昭和54年江戸崎西高校(茨城)卒、関東財務局入局。前橋財務事務所理財課長、財務総合政策研究所研修部教務課長、理財部金融調整官、東京財務事務所総務課長などを経て、平成28年7月より現職。

長野経済は改善傾向にあります。
 関係機関とのネットワークを活かし
  地域活性化のお役に立ちます

 長野財務事務所は、財務省の総合出先機関として、地方公共団体への貸し付けなど財政に関する仕事、県内経済の調査に関する仕事、銀行などの監督を行う金融・証券に関する仕事、国有財産を管理する仕事など、地域に密着した仕事をしています。長野商工会議所様とも連携を取りながら、地域と国とのパイプ役として、地域事業者支援や地域経済の活性化のために努めてまいります。

財務省の総合出先機関として
地域に密着

── 長野財務事務所は、どんなお仕事をなさっているのでしょうか。

平山
長野財務事務所は、財務省の長野県における出先機関です。国税や関税の仕事を除き、財務省が所管する財政や国有財産に関する一切の仕事を長野県内において担っています。また、金融庁から事務の委任を受け、県内金融機関などの監督も行っています。
 業務の柱は4つあり、財政に関する仕事、経済調査に関する仕事、金融庁から委任された金融・証券に関する仕事、国有財産に関する仕事となっています。
 財政に関する仕事は、地方公共団体が行う学校、病院の建設や、上・下水道、廃棄物処理施設、社会福祉施設などの生活関連施設の整備などに資金が必要な場合、国が直接金融市場から調達した「財政融資資金」を地方公共団体に貸し付け、資金の一部に充てていただくことで、豊かで住みよい社会環境づくりに協力しています。また、台風などにより災害が発生した場合にも、復旧が円滑に行われるよう資金の貸し付けを行っています。
 経済調査に関する仕事は、地域経済の動きなどを的確に把握するため、統計法に基づく法人企業統計調査や法人企業景気予測調査を行うほか、県内企業へのヒアリング調査も行っています。これらの調査結果は、財務省の施策の企画・立案に役立てられるほか、報道発表などで公表し、地域の皆様に広く利用いただいています。その他に、たばこ小売業者に対する出張販売の許可なども行っています。
 金融証券に関する仕事は、地域の皆様が安心して取引できるように、銀行や信用金庫、信用組合などに対する監督を行うほか、利用者保護の観点から生命保険会社の募集行為や貸金業者、プリペイドカード発行者などに関する監督も行っています。また、投資家保護の観点から株式や債券などの有価証券等の取引が公正に行われるよう金融商品取引業者の監督もしています。
 国有財産に関する仕事は、庁舎の再配置などにより国で利用しなくなった財産や、相続税の金銭納入に代えて物納された財産などについて、学校や公園といった公共的な施設の用地として、地方公共団体などに売り払いや貸し付けを行うほか、広く皆様にご参加いただけるよう一般競争入札による売り払いを行っています。

 

長野県経済は
着実に改善傾向にある

── 県内経済の現在の状況をどうご覧になり、長野財務事務所としてどのような対応を考えておられますか。

平山
 先般公表した平成28年7月から9月期の法人企業景気予測調査は、4期連続のマイナスでしたが、マイナス幅は徐々に縮小してきています。今後の見通しについても、10月から12月期はプラスに転じ、国内外需要もプラスになると予想され、経営者のマインドにも変化がみられます。平成28年度通期の売上高、経常利益予測に関しても、前年比では減収減益でありますが、水準として低いものではありません。設備投資も前年に比べて増加見込みで、雇用や所得環境も改善してきています。個人消費はなお弱含みな状況にありますが、景況感は悪いながらも上向いており、先行きは着実に改善すると考えます。
 今後の経済成長を実現するためには、収益力を高めていく必要があります。法人企業景気予測調査のなかでも、設備投資の目的を、設備の維持更新よりも生産力向上に置く中小企業の割合が上回っています。経営者の皆様には、ぜひ収益力向上に向けた前向きな投資をお願いしたいところです。
 長野県産業の特徴として、2次産業の割合が高く、特に情報通信、電子部品・デバイス、生産用機械、電気機械の比率が高いことが挙げられます。輸出関連企業も多いため、海外の経済情勢や為替変動といった下振れリスクについて留意する必要はあるものの、こうした分野はIoTなど成長分野の需要を取り込める可能性も持っています。また長野県には観光資源も多く、経済のポテンシャルは高いと評価しています。
 昨年全国の企業に対して金融庁が行った調査によると、自分たちの経営課題を金融機関に相談したことがないと答えた企業が一定数ある一方で、メインバンクと相談して支援を受けた企業のうち8割以上が、売上の増加や財務内容の改善につながるなど何らかの効果があったと回答しています。私どもでは金融機関に対し、中小企業の課題解決に向けた情報提供やコンサルティングの支援や、担保・保証に依存しない事業性評価に基づく融資を促しています。事業者の皆様にはぜひ金融機関と深度あるコミュニケーションをとっていただければと思います。

 

事業者支援、
地域活性の黒子役として

── 読者へメッセージを頂戴できますか。

平山
 長野財務事務所では、広報・公聴活動に力を入れています。広報活動では、国の財政や将来の課題、社会保障と税の一体改革、景気の動向、特殊詐欺など金融犯罪被害にあわないための注意点などについて、皆様の身近な地域に出向きお話をさせていただくほか、学校などで経済・金融教育の場を設けたり、多重債務の相談に乗ったりしています。こうした講演や相談は無料で行っていますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
 公聴については、地域の課題やニーズ、国の施策に対するご意見を皆様からお聞きし、それを中央につなぐパイプ役を務めています。たとえば、現在地方創生に向け国を挙げて経済対策が実施され、地域においても各市町村が地方版総合戦略を立案し、地方創生に向けた取り組みが進んでいます。長野財務事務所では、地方公共団体の取り組みの進捗状況を把握しながら、何か課題などがあれば、これを中央へつなぐ活動をしています。
 財務省には、全国に10の財務局と財務支局、40の財務事務所、13の出張所があり、他の省庁に比べより地域に密着した仕事ができます。自治体や関係諸機関との連携も取りやすい立場にあります。金融機関、長野商工会議所様をはじめとする商工団体、士業団体など、中小企業支援に関する主要プレーヤーとの結びつきもあり、この11月1日には、経済産業局と連携して、金融機関、商工団体、士業、事業者を対象にした説明会、意見交換会を開催したほか、信用保証協会が事務局を務める信州再生支援ネットワーク会議でも中小企業支援に関連した情報の発信・共有化をしています。
 今後も長野商工会議所様とも密に連携を取りながら、地域とのネットワークをしっかりと構築し、地域の視点で物事を考え、地域と国をつなぐ黒子として、少しでも地域の事業者様のためになり、地域活性のお役に立てるよう努めてまいります。

平山 静さんの横顔
今年7月に赴任し、休日は長野県を知るために各地を巡る。夏から秋にかけて、上高地、八方尾根、唐松岳、蓼科山、戸隠、黒姫など山や高原も数多く訪ねられた。


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