2016年11月号

人きらっとひかる

ミュージックスターマインで表現
技術と伝統の美しい融合

平山 英雄さん
株式会社 紅屋青木煙火店

 さまざまな花火が音楽に合わせて舞い踊るミュージックスターマイン。花火ならではの幻想的でドラマチックなパフォーマンスが魅力です。平山英雄さんは、その企画、制作、演出、そして実際の上演まで手がける国内屈指の総合ディレクター。技術と伝統が融合した芸術表現に情熱を注いでいます。

国内屈指のエンターテイメント
長野えびす講の
ミュージックスターマイン

2015(平成27)年の長野えびす講大煙火大会で観客を沸かせた平山さんディレクションのミュージックスターマイン
 晩秋の花火として、いまや全国的に有名になった「長野えびす講煙火大会」。毎年、この大会の大きな呼び物となっているミュージックスターマインが、実は全国でもめったに観ることのできない規模と品質のエンターテイメントであることをご存じでしょうか。
 ミュージックスターマインは、音楽と花火をシンクロさせた芸術表現。音と光の絶妙な一体感が、舞台ショーさながらの感動をもたらします。もともとヨーロッパが発祥ですが、日本の伝統的で高度な花火技術との出会いによって、新しい芸術表現が実現。ここ十数年の間に劇的な進化を遂げ、花火パフォーマンスの一分野として、各地の花火大会を盛り上げています。
 平山英雄さんは、国内外から注目されている敏腕のミュージックスターマイン・ディレクター。日本を代表する花火師の一人、青木昭夫さんが代表を務める紅屋青木煙火店のスタッフとして活躍しています。「長野えびす講煙火大会」で上演されるミュージックスターマインは、「地元長野で最高のパフォーマンスを披露したい」と、渾身を傾けて制作するもの。国内はもちろん世界でも屈指と呼べる作品です。

「音楽と花火」の可能性に
賭け、長野へ

 平山さんがミュージックスターマインに興味を持つようになったのは、今から15年あまり前。東京で会社員をしていた当時、旅行で訪れた山形県赤川の花火大会で初めて鑑賞し、衝撃を受けたといいます。それをきっかけに、休みを利用しては各地の花火大会に赴くようになり、次第に虜になっていきました。
 「パフォーマンスの魅力に惹かれたのに加え、音楽と花火を組み合わせた表現に、新しいビジネスとしての可能性を感じました」。
 ミュージックスターマインは、その場にいないと絶対に味わえない、一期一会の感覚が突出しています。その演出を「自分の思うようにやってみたい」と強く思った平山さんですが、花火に関してはまったくの素人。基礎から学ぼうと、紅屋青木煙火店に転職します。福岡出身の平山さんにとって長野は縁のない土地。しかし、伝統的な花火技術の蓄積があり、国内外の評価が高い同社を知り、迷わず夢を賭ける決意をしたのです。
 「製造メーカーなので、ふだんは玉を作る工程に携わっています。そこで得た知識や経験を踏まえ、社内の皆さんにサポートしてもらいながら演出を検討できるのは幸運だと思います」。
 同社にとっても平山さんの入社が新たな分野を切り開くきっかけとなりました。「“平山ワールド”に期待している」と、青木社長は話します。

曲と光が完全にシンクロする
究極のアート表現を目指して

全国各地で開催される名だたる花火大会で最高賞、優秀賞に輝いている紅屋青木煙火店。その存在は世界に知られている
 ミュージックスターマインの音楽は単なるBGMではありません。音と光が厳密にシンクロし、相乗効果を発揮してストーリーが展開していきます。そのための技術を、平山さんはほぼ独学で身につけました。先進の海外技術も積極的に導入しています。また、常に音楽や演出のことを考えながら試行錯誤を繰り返しているといいます。
 国内の大会などへの出場で経験を積む一方、2012年には世界最大規模の「モントリオール国際花火大会」に出場し、30分のショーを披露。高い評価を受け、ディレクターとしての存在感を内外にアピールしました。
 一度に数千発の花火を用い、ダイナミックに繰り広げられるミュージックスターマイン。「目標とするのは、音と光がぴたりと一致した一糸乱れのないパフォーマンス。アートあるいはショーとして、高い完成度を追求していきたいのです」と、平山さんは語ります。「長野えびす講煙火大会」に向けても力のこもった作品づくりが進んでいる様子。大会当日への期待が膨らみます。

 

事業所名 株式会社 紅屋青木煙火店
創  業 1916(大正5)年
業務内容 煙火の企画製造、打ち上げ。伝統の大玉から新作煙火、ミュージックスターマインまで行う国内屈指のメーカー。全国の主要な花火大会、競技会で内閣総理大臣賞をはじめ最高賞受賞の実績を重ね、海外からの評価も高い。
所 在 地 長野市安茂里1075 TEL 026-226-0321
    〈工場〉長野市平柴大黒山770

福岡県出身。IT関連の大手企業社員だった時代に、旅行先の山形赤川の花火大会で音楽と花火の共演に出会って衝撃を受け、「音楽と花火」の可能性を模索し始め、2003年、紅屋青木煙火店に転職。花火製造の技術の習得と平行し、ミュージックスターマインを独学。現在、日本を代表するミュージックスターマイン・ディレクターとして活躍している。


ページ: 1 2 3