2015年7月号

人きらっとひかる

宮本 友幸さん

基本を守り、自分にウソをつかない
ていねいな仕事を、淡々と

宮本 友幸さん
株式会社 岩野商会 工事部 課長補佐

 多様な職種の熟練技能士が全国から集い、技術の頂点を競う「技能グランプリ」。今年2月、千葉県の幕張メッセで開催された第28回大会の「プラスチック系床仕上げ」(内装工事)部門で、みごと第1位となったのが、宮本友幸さんです。積み上げてきた経験にあぐらをかくことなく、常に「基本」を大切にする姿勢が、全国トップの技術を支えています。

全国の技能者が
一堂に集う競技会での快挙

第28回技能グランプリ
第28回技能グランプリで第1位(厚生労働大臣賞)に輝き、楯を手にする宮本さん

 「技能グランプリ」(主催/中央職業脳力開発協会)は、年齢に関係なく、一定の経験や資格を持つ熟練技能士が技術を競い合う全国大会です。内装工事を手がける株式会社岩野商会で20年以上にわたり床仕上げの業務に携わってきた宮本友幸さんがこの大会に出場したのは、今回が3回目。前々回大会では2位だったことから、周囲から「第1位」を期待され、ややプレッシャーを感じながらの出場となりました。
 宮本さんの競技種目「プラスチック系床仕上げ」は、樹脂製の長尺シートや塩ビタイルなどを接着剤で階段状の床に貼る競技です。課題が発表されたのは今年1月。年度内の引き渡しが迫った現場を複数抱え、忙しいさなかだったことに加え、今回は競技内容が一部刷新されました。本番までの限られた時間に、いかに集中して練習できるかが鍵でしたが、「練習でやったことを十分に発揮できた」と、宮本さんは大会を振り返ります。4時間半の競技時間を十分に生かし切り、競技を終える時は、「寸法通りに収まり、仕上げの見栄えも思った通り」。その結果の第1位でした。

常に妥協なく基本に忠実に
きっちりと、きれいに

大会当日の課題
大会当日の課題。幅900mm、奥行き1800mmの階段上の土台に4時間半の制限時間内に長尺シートやタイルを貼り、完成度を競います。全国から10選手が参加

 3度目にしてついに手にした快挙を、宮本さんは喜びながらも、ゴールではなく、職人としての一つの通過点として冷静に受け止めているようです。
 「競技の課題は、ふだんの仕事内容とあまり変わらないんです」。だからこそ、”いつも”が発揮され、それが評価される、ある意味、非常に厳しい大会といえそうです。
 日頃、宮本さんが心がけているのは「基本に忠実に手順を踏むこと」そして「きっちりと、きれいに仕上げること」。どんな現場でも、自分が納得できるまで、その2点にこだわります。住宅の建築では、これからそこに住む施主の暮らしを思い、公共施設などの大きな建物では、その土地の施設として長く愛されるよう気を配るといいます。
 この日、取材にお邪魔した現場は新築中の体育館の洗面所。その隅々まで几帳面に神経を注ぐ宮本さんの手によって、無味乾燥なコンクリートの床が、凹凸のない滑らかで美しい床や壁に、みるみる変わっていきました。

伝統ある会社を担う
技術者の一人として

 今年、大会に出場した同僚は、宮本さんの他に4名。うち1名は「カーペット系床仕上げ」の競技で2位に輝きました。会社からは過去の大会でも優勝者が出ています。
 「こうした大会を通じ、また、県内外での仕事を通じ、長い年月をかけて技術的な信頼を築き上げてきた先輩たちの思いを引き継ぎ、その伝統を壊さないようにしなくては」と、宮本さん。今後も精度の高い、ていねいな仕事を積み重ね、伝統をはぐくんでいきたいと、表情をひきしめます。
 同時に、若い技能者を育てていく役割も担っています。
 「今思えば、入社して4、5年は修業のようなものでした。思ったように体が動かず、目指す仕上げとはほど遠いものしかできずに苦しい時期が続きました。でも、それがあるから、今があるんです」。
 結果を急ぎがちな若い世代に、技術だけではなく、時間をかけて身につける仕事のおもしろみを伝えていくことが新たな課題。そこでも、気負わず、冷静に、着実に、歩を進めていく宮本さんの個性が発揮されそうです。

 

株式会社 岩野商会 事業所名:株式会社 岩野商会
創業:1955(昭和30)年
業務内容:建築仕上げ工事〔内装・インテリア事業、防水加工事業、ビルメンテナンス事業、サイン/イベントプロデュース事業、テントシート事業、3M販売特約店 フィルム販売事業〕
所在地:長野市大字北長池2051番地 TEL 026-263-7000(代)
URL:http://www.iwano.co.jp/

長野市出身。岩野商会に入社して21年目を迎えるベテラン技術者。住宅からビル、公共施設までさまざまな建物の内装工事で技術を発揮している。1年おきに開催される「技能グランプリ」に3回連続出場。今年2月の千葉大会・プラスチック系床仕上げの競技種目で、前回の2位に続き第1位(厚生労働大臣賞)を受賞した。「きっちりした美しい仕上げ」をモットーに長野県内外の現場を飛び回って施工するとともに、後進の育成にも尽力している。


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