2014年11月号

View Point

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荒井 英彦(あらい ひでひこ)

長野県信用保証協会会長
昭和26年生まれ。高知大学文理学部卒。昭和49年長野県職員採用。環境保全研究所所長、商工労働部長、東京事務所長、環境部長を歴任。平成24年に長野県信用保証協会常勤監事。平成26年4月より現職。

 

 

景気が上向こうとするこの時期こそ
経営改善に取り組むチャンス。
長野県信用保証協会もしっかり支援します。

 長野県経済は未だ足踏み状態にあり、回復の実感に乏しいですが、景気が上向く材料も揃い出し、県内には製造業や観光産 業で期待できる芽が育ち始めています。中小企業の皆様が次のステージに立つために、今こそ自社の強み弱みを見つめ直し、経営改善に取り組むチャンスです。 長野県信用保証協会も皆様の支援に努めますので、どうぞお気軽にお声をお掛けください。

景気回復の実感にはまだまだ乏しい状況

── 長野県経済の現状と課題について、どうお考えでしょうか。

荒井 春先の消費増税の影響もあり、長野県経済は足踏み状態にあると認識しています。先だって金融機関の皆様と意見を交換した折にも、現状について共通の理解でした。
 景気が回復局面にあるか判断する指標として、私どもは資金需要、特に設備投資の伸びを重視しますが、今のところ大きな伸びは現れていません。景気回復の実感にはまだまだ乏しい状況であると感じています。
 個々の経済指標の中には、好材料があることも事実です。たとえば有効求人倍率は1.13倍と全国平均を上回っています。ですから、ゆるやかな回復基調に はあるものの、消費税のさらなる引き上げ等懸念材料もあり、経営者にとっては先行きへの不安が消えないといったところでしょう。
 リーマンショック後の不況下、私どもがお手伝いしご融資した案件について、返済緩和をしてきました。現在、保証残高に占める返済緩和の割合は15%ほど で、ここ3年間高止まりしています。つまり、手元の資金は回っているものの、大幅な業績回復で返済が一気に進む状況にはないということです。
 企業の皆様にとっての課題は経営改善でしょう。返済計画をきちんとつくりながら、将来に対して見通しを持つことと、計画的な事業運営を実施することが求められています。
 これを支えるためにも、金融機関や長野商工会議所など商工団体と連携しながら、当協会は経営支援に力を入れて取り組んでいます。取り組みへの効果が出てくるには時間も掛かりますが、これを地道にやっていくことが何より大切です。
 経済のグローバル化が進んだ今、企業を取り巻く外的環境は目まぐるしく変わっていきます。企業としては、主体性を持って自分たちができることをやっていく以外に対応策はありませんし、経営改善は先送りできない重要な課題です。

製造業や観光産業には期待できる芽もある

── 経済状況や企業の課題には、長野県ならではのものはございますか。

荒井 長野県では、産業に占める製造業の割合が高く、製造業の回復が経済全体の回復にとって大きな鍵になります。ま た、製造業の中でも中小の割合が大きく、厳しいコスト要求にご苦労されている企業も多いわけですが、ならば、付加価値の高い製品を生み出し、競合と差別化 できる独自性ある提案ができるようになることが求められます。
 製造業は今、医療・介護の分野で新しい案件が出てきていますし、車関係でも高い技術が要求される分野が注目されています。さらに今後、飯伊地方で航空宇宙特区構想が進めば、新たな産業の核ができるかもしれません。
 また、本県では観光産業も盛んです。高齢化や人口減が避けて通れない状況の中、観光産業が頑張って、県外国外から人やお金を呼び込むことも、県経済にとって課題です。スキーにおけるインバウンド等新しい芽が出ていることに期待する一方、北陸新幹線開通や善光寺御開帳を一過性のものとすることなく、おもてなし等の受入体制や情報発信を一層大事にして、長野ファンの裾野を拡げていくことだと思います。
 東京五輪の開催や和食の世界遺産登録など、海外からお客様を呼ぶ好条件が今整ってきました。新幹線延伸を機に、北陸地方との広域連携とともに、県内における地域連携を強め、中長期の滞在客を増やすことも期待しています。
 長野市の経済については、さまざまな産業がバランスよく発達している印象です。今後は、新幹線延伸後を見据え、長野市経済の柱となりうる産業を育てることも必要で、新しくできる県立大学も活用し、新産業を担う人材育成を図るなど大きな視点での構想が求められます。

中小企業者にとって「顔の見える信用保証協会」に

── 長野県信用保証協会ではどんな役割を果たされていきますか。

荒井 信用保証協会は、中小企業と金融機関を結びつける「かけ橋」です。将来性ある中小企業の公的保証人としてお役に立てるよう、刻々と変わる皆様のニーズに機敏に対応できる体制をつくります。そのためにも、できるだけ幅広い業態の企業へ足を運び、直接お話を伺うよう努めます。
 当協会の役割も、保証することが主眼の時代から、当事者としてその企業の経営に関心と責任を持ち、経営者と近い関係で仕事をする時代に変わりました。今後は専門性と総合性を兼ね備えて企業の皆様の信頼に応えていきます。専門性については、ここ数年力を入れている再生支援、経営支援などに磨きをかけます。特に若い職員を中心に、中小企業診断士の資格を取得し、より深く効果的なサポートができる体制を整えます。
 総合性としては、商工会議所や金融機関とのハブ機能を発揮して総合的にサポートすることです。中小企業が先の見通しが立たないというとき、経営環境が不 透明なこととともに、自身の課題として、事業継承など将来に向けた体制づくりや、次の時代に何を自社の事業の柱にするかといった問題に不安を抱えている方 が多いです。
 次のステップの踊り場ともいえるこの時期に、早めに手を打てる企業はチャンスを掴めます。外的な環境が 変われば、自社の業績もよくなるだろうと座して待つのではなく、自ら変わらなければ次のステージには立てません。景気が上向こうとしているこの時期にこ そ、自社の強み弱みを見つめ直し、地道に企業改善に取り組み、足元を固めるべきで、当協会もそのお手伝いをしていきます。その際、私どもの能力では賄いきれない部分については、専門家に協力を仰いだり、長野商工会議所や各支援センターとネットワークをつくるなどして、あらゆる面でサポートしていきます。
 たとえば昨年度から、長野県中小企業診断協会と連携し、私どもが経営診断費用を負担する中小企業診断士活用支援事業を開始しました。また、政府が実施し ている経営改善計画策定支援事業を活用し、国から計画策定費用の一部補助を受けた中小企業者の自己負担分について、その2分の1を当協会が補助する事業も 始めました。
 他にも長野県には、中小企業向けの様々な支援制度があります。事業主の皆様は、当協会の本店各支店でも、長野商工会議所や各金融機関でも結構ですので、 どうぞ遠慮なさらずに身近な機関へご相談ください。私どもも、皆様に気楽にお声を掛けていただける「顔の見える信用保証協会」を今後とも目指してまいりま す。

荒井 英彦さんの横顔
趣味は里山歩き。中野市にお住まいの今、休日の朝に天気がいいと、斑尾山や焼額山に登山に行く。これからが里山歩きには格好の季節と話す。

 


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